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インドネシア・バタン石炭火力発電事業
国会質疑 「JBICは人権侵害の現地調査を。融資検討は慎重に」
日本が官民を挙げて建設しようとしている東南アジア最大級の「インドネシア・中ジャワ州バタン石炭火力発電所(2,000メガワット)」は、農業・漁業など生計手段の喪失や健康への影響を懸念する住民の根強い反対により、3年間、着工が遅れています。
同事業は総工費4,000億円超と言われており、現在、その4割(約1,600億円)を国際協力銀行(JBIC)が事業者(日本からは伊藤忠、J-Powerが出資)に融資しようと検討中です。
現地住民・NGOは、事業予定地の土地売却を拒む地権者や事業反対派リーダーらへの人権侵害等を指摘し、JBICが融資を出さぬよう、日本の市民に訴えてきましたが、3月25、26日、そのJBICの融資検討に関する質疑が参議院でなされました。以下、質疑の概要をまとめました。
○2015年3月25日 参議院・本会議での質疑内容
○2015年3月26日 参議院・財政金融委員会での質疑内容
<質疑の概要>
同事業に関する人権侵害の問題等を国会で取り上げたのは、尾立源幸 参議院議員(民主党・新緑風会)で、土地買収交渉の場で事業者に「国軍や警察が同行することで、住民の自由な意思決定を阻害」していた状況など、人権侵害が大きな問題になってきたことを指摘。また、「日本としても融資をする際に慎重に検討しなくてはならない。」と述べ、融資を検討中のJBICに現地調査の体制等を質しました。
JBICは、「すでに2013年7月に建設予定地を訪問し、『環境社会配慮確認のためのガイドライン』に則った調査を行なっており、ジャカルタ駐在員事務所を通じて、現地情勢の把握に努めている」と回答。「安全確保のために現地で軍や警察の護衛」を付けることがあるものの、「脅迫や強権的な手段を用いている事実にはあたらない」との認識を示しました。また、2014年9月に現地住民・NGOと東京で面談をし、現地情勢についてヒアリングを行なったとのことでした。(注:2014年9月、JBICは当初、同面談を拒否)
これに対して尾立 参議院議員は、JBICの現地調査後にも、警官や軍の暴力行為によって15名の住民が負傷した事件などが起きており、インドネシア国家人権委員会が用地買収交渉からの軍や警察の撤退等を勧告した例を挙げ、JBICが再度現地調査に行き、現地住民や行政機関としっかり話すよう求めました。
JBICは、インドネシア国家人権委員会等、関連機関への直接的な情報収集はこれまで行なっていないことを認めた上で、「今後、現地訪問を改めて実施し」、「必要に応じて、これら関係機関への、あるいは住民等とのヒアリングも行」なうと回答しました。
JBICの所管官庁である財務省は、「JBICが『環境社会配慮確認のためのガイドライン』に則って、引き続き、現地住民の声をよく聞きつつ、適切に環境社会配慮確認を行なうよう監督していきたい」との考えを示しました。
同事業については、JBICに対するレターも含め、環境社会面に関する問題を住民・NGOが繰り返し訴えてきました。JBICは、事業者がガイドラインに沿った適切な環境社会配慮を行なっているか、その確認を行なう上で、事業者が提供する情報のみに依存するのではなく、住民をはじめとした第三者の意見・情報をより積極的に聞き、客観的かつ思慮ある判断をすることが求められています。
>バタン石炭火力発電事業の詳細については、こちら