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インドネシア・バタン石炭火力発電事業
【住民組織レター】事業に融資しないよう求めるJBICへの要請書
(2015年3月24日付)
(注)本レターは、3月24日付のレターを住民組織が郵送したものの、JBICの受
領が確認できなかったため、4月9日、同レターの日付を4月9日に変更したものを、
住民組織メンバー、および、グリーンピース・インドネシアのスタッフがJBICジャ
カルタ駐在員事務所に持参しました。
3月24日、バタン石炭火力発電所事業に4年間反対してきた現地の住民組織 UKPWR協会が、国際協力銀行(JBIC)に同事業への融資を行なわないよう求めるレターを提出しました。また、同要請書の添付文書では、主に人権侵害のケース等を具体的に例示し、こうしたケースの事実関係をJBICが独自に検証する必要性を指摘。JBICが同事業に対する融資の可否を決定する前に、「環境社会配慮確認のためのJBICガイドライン」の遵守・不遵守を判断するため、JBICが自らコミュニティーを訪問し、住民や関係機関への事実確認を行なうよう求めました。
以下、住民組織によるJBIC宛て要請書(和訳)です。
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>レター全文(PDF版)のダウンロードは、こちら
(注:本レターの原文はインドネシア語。同英訳を和訳)
国際協力銀行
代表取締役総裁 渡辺 博史 様
Cc: 安倍晋三 首相
Cc: 麻生太郎 財務相
Cc: 岡藤正広 伊藤忠商事株式会社代表取締役社長
Cc: 前田泰生 電源開発代表取締役会長
北村雅良 電源開発代表取締役社長 等
(その他のCc宛先は省略。全文はPDFでご覧下さい。)
バタン・コミュニティーからJBICに対し、融資拒否の意を示すレター
私たち、バタン・コミュニティーのUKPWR協会(Paguyuban UKPWR)のリーダー、および、メンバーは、早急な回答を期待し、貴行宛ての本レターを提出します。
2014年3月にも、バタン・コミュニティーのUKPWR協会はJBICにレターを送付し、日本政府や民間銀行にも写しを送りました。しかし、JBICからも誰からも、回答はありませんでした。その当時のレターも本レターとともに再送します。
さらに、バタン石炭火力発電所計画に係る私たちコミュニティーの状況について、私たちがグリーンピース・インドネシアに報告し、グリーンピースが私たちのために編集した事実関係に関する添付文書も送付します。
これらのあらゆる事実関係や最新情報は、独自の立証・照合が可能なものです。したがって、JBICが同事業に対する融資の可否を決定する前に、「環境社会配慮確認のためのJBICガイドライン」の遵守・不遵守を判断するにあたっては、こうした情報に係るデューデリジェンスを実施すべきであると私たちは考えます。私たちは、こうした問題を調査し、何が真実かを貴行自身の目で確認していただくため、貴行をコミュニティーに招待します。また、インドネシア国家人権委員会や裁判所、その他の関係機関から、ここで言及する公的文書等の写しを入手するよう、貴行に強く求めます。
私たちは、繰り返しになりますが、このコミュニティーに石炭火力発電所が建設されることを決して受け入れることはないという決意を強調させていただきたいと思います。また、私たちは同事業にJBICが融資しないよう再度要請します。
大事なことを言い忘れていましたが、情報共有のため、チレボン石炭火力発電所を押し付けられたコミュニティーが苦しんでいる生計手段への経済的損失や健康被害に関する調査(同発電所が生計手段へ及ぼした影響に関する2011年調査)を添付します。各発電所、および、各コミュニティーはそれぞれ異なりますし、唯一無二ではありますが、この情報は非常に関連したものだと私たちは考えています。同調査は、石炭火力発電所を私たちが押し付けられた場合に、どのような損害や苦難に直面するかを示しています。このことは、世界中で他国の(石炭火力発電所に関する)類似した報告書が多くあることからも確かなことで、どの報告書も影響を受けたコミュニティーが石炭によって被った真の代償をまとめています。
私たちバタンのコミュニティーは、たとえば、ハイブリッドソーラーや風力、バイオマス施設、ソーラー配電網、エネルギー効率機器など、再生可能エネルギーが私たちの村や県で計画されるのであれば、歓迎する用意があります。また、インドネシアで私たちの持つ素晴らしい地熱や、その他の潜在性の高い再生可能エネルギーに対して、貴行が融資支援することを歓迎します。私たちは、バタン石炭火力発電所への投資よりも、そうした投資が私たちのコミュニティーや国にずっと多くの恩恵をもたらすと考えます。
バタン・コミュニティーのUKPWR協会(Paguyuban UKPWR)
(以下、コミュニティー・リーダーらによる署名)
添付文書:
バタン・コミュニティーの状況に関する事実関係や最新情報は、以下に述べるとおりである。
(以下、見出しのみ掲載。全文はPDFでご覧下さい。)
• ●国家人権委員会の訪問
• ●環境林業省の訪問
• ●同事業を巡る多くの嫌がらせ、暴力、違法行為; 保障されないコミュニティーの安全
o 法的嫌がらせ
虚偽かつ捏造された罪状
法的嫌がらせ
買収の試みと司法の濫用
訴訟に先立つ軍の脅迫
平和的な抗議者に対する殴打と入院
o 買収
o チンピラによる暴力
o コミュニティー内で暴力や嫌がらせ行為をさせようとするチンピラによる組織化
o 石炭火力発電所に抗議するコミュニティーのメンバーに対する暴力が罰せられず、コミュニティーの主要な問題に
o 不法侵害、違法な所有物破壊、野蛮行為
o 暴力や脅迫への高官レベルの関与
o グリーンピースのスタッフに対する暴力行為
o コミュニティーの社会構造の破壊
o 権限のない個人による違法な土地売却
o 大統領が招待された後、脅迫が増加
• ●生計手段の喪失と適切な生計回復・改善措置の欠如:
o 失業と経済的な苦難:
• ●石炭火力発電計画に対するコミュニティーによる訴訟
o 用地許可に関する訴訟
o EIAに関する訴訟
• ●土地収用に関する政府の報道陣に対する紛らわしい、虚偽の陳述
• ●事業費の高騰
(翻訳:FoE Japan)
※インドネシア・バタン石炭火力発電事業に関する詳細はこちらをご覧下さい。
→https://www.foejapan.org/aid/jbic02/batang/index.html