マーシャル諸島と地球温暖化
「昔はここにはビーチが広がっていたのに・・・」。
マーシャル政府観光局に勤めるスザンヌ・マーフィーさんは心中の想い出と現在の状況のギャップについて深刻な面持ちで語ります。
マーシャル諸島共和国マジュロ環礁にある「マイルセブンティーン」。ここはスザンヌさんが十代の頃、よく遊んでいたビーチがあったところです。
しかし、今では海岸侵食によりヤシやパンダナスの木がなぎ倒され、無惨な情景が広がっています。
現段階では、この海岸侵食が地球温暖化による海面上昇で引き起こされているという科学的な証拠があるわけではありません。しかし、「気候変動に関する政府間パネル;IPCC」はその最新報告書の中で「適応策を講じることなく1mの海面上昇が生じた場合、マーシャル諸島共和国マジュロ環礁の土地80%が失われる」としています。やはり深刻な問題であることは間違いないようです。研究の中には、さらに恐ろしい結果を出しているものもあります。
「この美しい環礁島のビーチがなくなっていく」。こんなに悲しくそして深刻な問題を放っておいていいのでしょうか?
マーシャル諸島共和国の二酸化炭素排出量は世界全体の0.004%にも満たないものです。しかし、その平均2mという低い海抜ゆえに地球温暖化による海面上昇と異常気象の影響が最も大きく出てしまいます。いわば、温室効果ガスを最も多く排出している先進国がマーシャル諸島のような島を沈めているようなものなのです。こうした、現状の中、日本やアメリカは京都議定書の批准をためらっている場合ではないのです。
マーシャル諸島での気候変動に関する取り組み
マーシャル諸島と地球温暖化の影響
気温上昇の影響
海面上昇の影響
異常気象の影響
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波によってなぎ倒された木々たち。まだ生きているものもある。
ここ10年間で海岸線が少なくとも5mは後退しているという。
昔はここが平らな砂浜だった。今では侵食で段差ができてし
まって いて、ジャンプしなくてはならないとスザンヌさんはいう。
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