「原発2割」のこわ~い正体とは?

経済産業省は、6月10日、原発の建て替え(リプレース)について、2040年代までに2~5基、50年代までに11~14基とする「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」を発表しました。

「綱渡り状態で稼働している老朽原発を建て替えるのかな? それはそれでまあ仕方ないかも」…と思う人もいるかもしれません。

が、違うのです! 

この指針案では、現在稼働中でトラブル続きの高浜原発や美浜原発3号機などの老朽原発は、限界まで使い倒す、なんなら定期点検の頻度を下げてでも稼働率を上げて「最大限活用する」という怖い内容も含まれているのです。

「建て替え」目標の前提になっているのは、2040年代、2050年代、電力供給に占める原発の割合を「2割」とする見込みです。この「2割」を達成するためには、稼働可能な原発をすべて動かしても足りなくなるため、すでに廃炉が決まり、現在止まっている原発の建て替えをするというのです。

7月6日、経済産業省とこの件で会合を持ちました。

「2割」を「見込み」とするからには、何らかの「根拠」的なものがあるかと思いきや…。

経産省曰く、この2割は、第7次エネルギー基本計画策定の際、2040年度原発2割としたものを、そのまま2040年代、50年代にスライドさせたものとのこと。あくまで「仮定」としつつも、建て替え基数の算定にあたっては、今稼働可能なすべての原発を含めたということなのです。

ということは…

  • 原子炉直下に活断層が認定された敦賀2号機も、
  • 基準地震動策定において不正が発覚した浜岡原発も、
  • 地盤の液状化の影響が指摘された柏崎刈羽1~4号機
  • 能登半島地震で被災した志賀原発も、
  • 東日本大震災で工事が中断している東電の東通原発も、

みーんな、この算定に含められているのです(下表)。

資源エネルギー庁資料および各種報道をもとにFoE Japan作成

というか、これらの原発をすべてかき集めて、ようやく2割に達するか達しないかというレベル。この「2割」がいかに非現実的で、危険なものなのかがよくわかります。

ちなみに、第6次エネルギー基本計画の策定時、2030年度の原発の比率を20-22%としています。これは、もはや誰がどう考えても「無理」という数値ですが、経済産業省は、「実現に向けてベストを尽くしていく」と回答。

いやいや、精神論ですか。ベストを尽くしたって、ムリなものはムリなんですが…。

稼働中の原発は、すでに相当老朽化が進んでいます。2040年度までには、高浜1,2号機、美浜3号機が、運転期間60年に達します。

原発の運転期間は福島第一原発事故のあと「原則40年」とされてきましたが、最近の法改悪によりこの規定は削除され、電気事業法に新たに60年を超える老朽原発の運転も可能とうする規定が追加されました。この電気事業法の追加規定を積極的に使い、60年超の運転も認めていくことも今回の「指針(案)」に含まれています。とはいうものの、さすがに老朽原発の運転は限界があるでしょう。

そこで、「原発2割」を達成するために、すでに廃止が決まり廃炉作業が進められている美浜1,2号機などの「建て替え」ということで、あらかじめ、原発の建設を進めておこう、というのが、今回の最大15基の原発の「建て替え」なのです。まあ、新設といってもよいでしょう。

出典:資源エネルギー庁資料(2025年6月24日)

現在、新設の話がでているのは美浜原発(福井県)。関西電力が、2025年9月に既存の敷地内での調査計画を発表し、大きなニュースになりました。調査期間は2025年11月から2030年頃まで。既存の原発の北側と南側を対象に、ボーリング調査などを実施するそうです。仮に新設に向けて動き出したとしても、一基数兆円にも及ぶ巨額の建設費、環境影響評価、原子炉設置許可、立地自治体や県への説明と同意など、ハードルは高いでしょう。

何よりも、増え続ける核のごみをどうするのかまったく目途がたっていない中、さらに核のごみを長期にわたって生み出す原発の新設は、将来世代に禍根を残すとしか言いようがありません。

FoE Japanを含む5団体は反対署名を呼びかけ、7月6日、17,775筆を経済産業省宛てに提出しました。(署名はまだ継続しています。)

また、「建て替えは超長期にわたり、国民にリスクとコストを負わせる」「前提となっている『原発2割』の根拠が不明」などとする意見を提出しました。

今後とも、注視していきたいと思います。

(満田夏花)

 

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