『グリーン』ファイナンスがインドネシアの森林破壊に対し資金援助
バイオマスに関連する海外の記事をご紹介します。
インドネシアで「気候変動対策」として実施されるバイオマス発電事業が、熱帯雨林を破壊すると共に、パプア地域の先住民族の食料の確保を脅かし、飢餓にまで追いやっているという矛盾が指摘されています。
[Climate Home News / 2023.06.01] “Green” finance bankrolls forest destruction in Indonesia
記事内容のまとめ
炭素排出量削減を目的とした数百万ドルのグリーン・ファイナンスが、パプア地域の熱帯雨林と先住民族の伝統的な食料資源を破壊するバイオマス発電事業に投資されている。
その資金は、インドネシアの巨大企業メドコ・グループの、バイオマス発電所建設に使われている。メドコはすでに広大な熱帯雨林を伐採して、木材プランテーションを作っている。融資によって、メドコは少なくとも2,500ヘクタールまでプランテーションを拡大する予定で、さらなる熱帯雨林の伐採を計画している。
メドコの事業は、パプア南部を食料とエネルギーの供給源に変えようとするインドネシア政府の動きの一環であり、輸出用の木材チップを生産する広大なプランテーションを作ることを当初の目的として2000年代後半に始まった。メドコが認可を得た17万ヘクタールの土地は、Zanegi村に住む先住民族のMarindが昔から住んできた地域と大きく重なっている。資金不足により2014年頃には事業はほとんど止まっていたが、新しいバイオマス発電所の建設のために、2017年にインドネシア財務省管轄の国営インフラ融資会社PT Sarana Multi Infrastruktur(SMI)が600億ルピア(450万ドル)のプロジェクト・ファイナンスを提供した。この発電所で発電されたエネルギーは国営電力会社が購入すると約束されている。
この事業により、狩猟採集を行うMarindの人々は、伝統的な方法で食べ物を確保するのが困難になっている。メドコによって幅10キロメートルの自然林が単一の木ばかり生えた人工林に変えられたことで、村の人々が食料を確保するために狩猟することも難しくなった。安定した収入もなく、お金を払って入手できる食料は高価なため、多くの家族が米だけの食事で空腹をしのいでいる。その結果、子どもや妊婦が栄養失調に見舞われ、2012年以降、村内で10人以上の子どもが亡くなっている。
国営企業SMIは、インドネシアでの気候変動に関する目標達成に向けた支援にますます力を入れている。SMIの重役は、メドコの事業がMarindの人々に飢餓をもたらしているとのNPOや国連からの指摘にもかかわらず、この発電所を「気候変動の緩和に貢献する資金調達」の例として2020年に紹介している。
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[Climate Home News / 2023.06.01] “Green” finance bankrolls forest destruction in Indonesia