ベルギー最大のバイオマス発電所が閉鎖。仏大手総合エネルギー会社のエンジー、バイオマス発電から撤退の兆しか?

バイオマス2024.7.5

EUの森林保全に取り組む環境NGO ファーン(Fern) からの報告で、ベルギーのフランダース州にある国内最大のバイオマス発電所、ローデンハイズ4(Rodenhuize4)が今年3月に閉鎖していたことがわかりました。もともとは石炭火力発電所だったローデンハイズ4発電所は、2011年にバイオマス発電所に転換したものの、EU再生可能エネルギー指令の厳格化とフランダース州における同指令の厳格な実施に伴い、2023年の公的財政支援の更新をせず、閉鎖に至ったということです。同発電所は、フランス大手の世界的な総合エネルギー会社、エンジー(Engie)社の所有です。

以下に、ファーンのブログ(仮訳)をご紹介します。

*本翻訳は、FoE Japanによる仮訳です。正確な内容は、以下リンク先の原文をご覧ください。

Fern ”BELGIUM’S LARGEST BIOMASS PLANT CLOSES… FOR GOOD"

ベルギー最大のバイオマス発電所が永久閉鎖

2023年3月、ベルギー最大のバイオマス発電所であるローデンハイズ4(Rodenhuize 4)が閉鎖された。運営会社のエンジー(Engie)は、公的財政支援の更新を申請しなかった。公的財政支援なしに、同発電所の採算性はない。これは良いニュースだ。フランスのエネルギー企業が、最近のEU法改正を見越して、このようなバイオマス発電所を戦略から外したとみられるからだ。

エンジー社はファーン(Fern)に対し、「固体バイオマスを使った大規模発電所の計画はない。私たちの優先事項は、再生可能エネルギー(風力、太陽光)に基づくプロジェクトやより柔軟な電力システムに向けたプロジェクト、そしてグリーン分子(green molecules)1である」と語った。

2011年、ゲント近郊にある205メガワットのローデンハイズ4石炭火力発電所は、バイオマス発電所に転換された。「マックス・グリーン (Max Green)」と名付けられたこの発電所は、もともとエンジー社とベルギーの投資グループ、アッカーマンズ&ファン・ハーレンの合弁事業だったが、アッカーマンズ&ファン・ハーレンは2015年に株式をエンジーに売却した。現時点では、バイオマスの燃焼の予定はないが、隣接するクニッペグローエン(Knippegroen)発電所が停止している際のバックアップとして、地元のアルセロール・ミッタル(Arcelor Mittal)製鉄所からの副生ガスを燃焼するために時折使用される予定だ。

ローデンハイズ4は、年間85万トンの木質ペレット(約150万トンの木材)を燃焼できる能力があり、これはベルギーの年間木材生産量の約3分の1(480万立方メートル)に相当する。しかし、ベルギーは人口密度の高い富裕国であるため、これほど多くの国産材を使用することは政治的に受け入れられない。燃やされた木材のほとんどは、カナダのブリティッシュコロンビア州、チリ、ロシアなど、大規模な木材採取への反対が少ない場所から輸送されたもので、フランダース州のズハル・デミル(Zuhal Demir)環境大臣は、違法伐採に由来するものがある可能性もあり、環境の観点からは筋が通らないことであると指摘した。「フランダースでは森林を保護し、追加的に植林するというのに、ロシアのタイガが容赦なく伐採され、フランダースで使用されることを許すわけにはいかない」。

それでも、この工場で燃やされる木材のかなりの部分は地元産であり、他の業界の木材使用者、特に製紙業界や木製パネル業界との間で緊張関係が生じていた。

フランダース州におけるEUの再生可能エネルギー指令の移管は野心的で、カスケード原則(木材の材料利用を優先すること)を実施し、樹皮、微細な木くず、微細な剪定枝、小枝、切り株を燃やす場合に限り、エネルギー会社が公的財政支援(ベルギーではグリーン証明書)を受けられるとする可能性を示している。加えて、木材・製紙産業連盟が原料として不要であると宣言した場合には、他の木材供給源にも支援が与えられる可能性がある。

すでに2014年には、地元の製紙業界と木材パネル業界が、このような宣言に署名することを拒否したため、工場は3ヶ月間休業せざるを得なかった。

2021年末、フランダース州政府は、合法性を証明することは不可能だとして、同工場の木質ペレットの輸入を阻止し、バイオマスに適用される持続可能性規則を強化した。

2022年、更新することができたにもかかわらず、エンジー社はグリーン証明書の更新を申請しないことを選択し、今やエネルギーのために木材を燃やすという誤った解決方法に背を向けようとしているようだ。これは世界中の森林にとっての朗報だ!


  1. グリーン分子とは、再生可能エネルギーから作られる電力(グリーン電子)を利用して作られる分子のこと(例:グリーン水素) ↩︎
 

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