【COP26 vol.4】史上最も不公平なCOP? - 参加を阻まれる途上国の市民社会
開幕ブログでもお伝えしたように、今回のCOPはコロナ禍の影響により、途上国からの参加が非常に困難な状況となっています。開催日に近づくにつれ規制が緩和されたり、COP参加者に対する支援パッケージなどが用意されたりしましたが、ワクチン接種が進んでいない途上国のメンバーには依然高いハードルがあり、コロナ対策のための追加費用も高額になるためそれぞれの国からの入国条件には差があり、参加の機会が平等に確保されているとは全く言えない状況です。FoEグループはじめ、途上国のClimate Justiceをもとめるグループの多くのメンバーが、新型コロナウイルスの状況や資金不足等の観点から参加を見送っています。
この問題を広く訴えるため、本日会場の前と、会場の中で350.orgとFoEインターナショナルの呼びかけでアクションが行われました。
アクションでは、今回COPにこれなかった人々の声をあつめた録音を流し、「Nothing about us without us(私たち抜きに、私たちのことは語れない)」と書かれたバナーを持って「気候変動交渉は気候変動の影響をうける私たち「人々」の交渉であるべきだ」とアピールしました。
録音メッセージを寄せたFoEインターナショナルの議長でFoEスリランカのヘマンサ・ウィサネージは「毎年COPに参加し、COPの場にグローバルサウスの声を届けてきました。英国政府はCOP参加者に対し、ワクチンの供給を約束したがはたされませんでした。スリランカではまだワクチンの接種も進んでおらず、コロナの追加対策にもお金がかかり、また高騰するホテルの価格は途上国の人々が払えるものではありません」とコメントしました。
COP開幕直前にも、英・ガーディアン紙が、島嶼国の政府がCOPの参加が困難で、海外に駐在する政府関係者をCOPに送り出すしかないといった状況も報道しています。
FoEインターナショナルの気候正義・エネルギープログラムコーディネーターでモザンビークに住むディプティ・バタナーガーも、今回のCOPには参加できなかったメンバーの一人です。「英国政府はコロナが今でも猛威をふるう中、最も排他的なCOPを強行してしまっています。グローバル・サウスの多くのメンバーがワクチンやビザをえることができず、頻繁に変更される隔離ルールに翻弄されています。COP26に正当性を見出すのは困難な状況です。豊かな国や、汚染企業が市場メカニズムなどの危険なアイディアを交渉で推進していくことが非常に懸念されます。」とメッセージを寄せました。
現在COP会場では、パリ協定6条の交渉などが日夜行われていますが、FoEグループが反対する市場メカニズムの議論では、更なる排出を許すようなルール作りが議論されています。
また大規模植林やCCS、原発など間違った方法に頼った「ネットゼロ」が強行に推進されています。
私たちに必要なのは、気候危機の影響を受ける人々の人権や命が守られること、化石燃料の採掘をやめ、化石燃料依存の社会から持続可能な社会へと移行していくこと、そして気候危機の影響をもっともうける途上国に対し資金支援や技術支援を行うこと、そしてその移行を支援していくことです。
今日ここにいない人々こそ、気候変動の影響を最も受け、気候変動に立ち向かい、気候変動の解決策を持つ人々であることを忘れてはならないと思います。
(深草亜悠美・高橋英恵)