【COP26 vol.2】「ネットゼロ目標ではなく具体的な行動を」開幕にあたってのFoE International記者会見
2週間にわたるCOPの開幕にあたり、FoE InternationalはCOP会場内で記者会見を行い、気候正義の観点から今回のCOPに期待することを語りました。
気候変動交渉を長年追ってきたFoE マレーシアのMeena Ramanは、
「私たちにとっての主要論点は2050年に向けたネットゼロ目標ではありません。特に先進国のネットゼロ宣言は論点ではありません。目標を掲げるには(2050年は)遅すぎで、小さすぎます。先進国が掲げるべき目標は、「真のゼロ」であるべきで、この目標を掲げるとしても、すでに遅すぎるくらいです」
と、先進国に向けたメッセージを発しました。
今回コロナによる入国制限等の関係で現地での参加が叶わなかったメンバーもいます。そのメンバーの1人であり、モザンビーク在住のFoE International気候正義プログラムのコーディネーターの1人であるDipti Bhatnagar は、この記者会見に向け事前にビデオレターを送り、その中で、新たな気候変動対策が先進国が途上国の土地や資源を搾取する構造を残していることを指摘しました。
「権力のある国々は、歴史的責任や気候負債のことを考えらたがらず、その代わりに炭素市場の話ばかりしています。彼らは「我々はどこにでも炭素を貯留できる」と言っていますが、でも実際具体的にはどこなのでしょうか?それは私の住む国のような途上国に埋めることを想定しているのです」
また、FoE EWNI(イングランド・ウェールズ・北アイルランド)のRachel Kennerleyは、
「英国は、自分が他の国に求めていることを自分の国で実行していません。国やコミュニティを越えて、人々は多くの化石燃料事業に反対しています。政府はいまだに何十億ドルもの資金をモザンビークでの天然ガス開発に費やし、気候危機や人権侵害を加速させています」
と、議長国の矛盾を指摘しました。
最後に、FoE ScotlandのMary Churchは、
「たとえ政治家が行動していなくても、過去にないほど多様で多くの市民が気候危機を防ぐために行動を起こしています。気候変動を止めるために活動する市民たちによって、利益ではなく人々の命が優先される向けたシステムチェンジは可能だと信じています」
と、今回のCOPへの期待を述べました。
「ネットゼロ目標ではなく具体的な行動を」
「ネットゼロ」や「カーボンニュートラル」という新しい言葉が使われ始めても、化石燃料を使用し続け、先進国が途上国の資源を自らの利益のために搾取する構造は変わなければ、気候危機は解決できません。
見栄えの良い「ネットゼロ」宣言や野心の引き上げといった口約束ではなく、化石燃料の使用をやめること、利益よりも人々の命を優先する紗j界に向けた具体的な行動が、今求められています。
(高橋英恵、深草亜悠美)
▼FoE Internationalの開会記者会見は、こちらからご覧いただけます。
https://unfccc-cop26.streamworld.de/webcast/friends-of-the-earth-international
▼COP26に関するブログはこちら
2021年10月31日「COP26開幕。2年ぶりに開催される国連気候変動会議の行方と、市民の声」