【COP25 Vol.5】COP25は2週目へ

気候変動2024.7.10

COP 2週目に突入しました。2週目からは各国の閣僚級が集まり、ハイレベル交渉が始まります。1週目の金曜日には気候マーチが開催され、50万人があつまり(主催者発表)、気候正義を求めました。ゴールに設置されたステージにはグレタの姿もあり、希望はCOPではなくマーチに集まっている人々の中にあると訴えました。

 10日火曜から閣僚級会合が始まりますが、いくつかの議題に関する実務レベルの交渉は遅れを見せており、補助機関会合の結論は9日の夜にまでもつれ込む見込みです。FoE グループが注目する交渉の状況はどうなっているのか、そして今週の交渉の行方について、まとめました。

 損失と被害

 気候変動への適応が限界を迎え、すでに各国で損失と被害が生じています。損失と被害に関しては、条約のもとにあるワルシャワ国際メカニズム(WIM, Warsaw International Mechanism)というメカニズムが、専門的アドバイスや損失と被害に関する情報収集などを行なっていますが、今回のCOPでWIMのレビューが行われており、WIMの機能やガバナンスについて議論が行われています。

 「損失と被害」は米国がもっとも強固に懸念を示す議題でもあります。アメリカの強い主張で、COP21の決定文書に、パリ協定の損失と被害に関する第8条を損失と被害の責任の所在を追求する根拠とはしないとする文言がもりこまれました(注1)。

 今回のWIMのレビューにおいて、米国は損失と被害の責任や賠償について、COP21の決定文書に挿入されたものと同じ文言を挿入しようと強い姿勢を示しており、パリ協定でも損失と被害への先進国の責任追及を避けようとするアメリカの強い主張が反映されてしまうことになります。

 国際市場メカニズム

 市場メカニズムに関する交渉は遅れています。

 月曜日の早朝現在、いまだ様々な国が求める主要な主張は残ったまま交渉文書が出てきており、本格的な交渉は明日からのハイレベル会合に決着が持ち越される見通しです。(市場メカニズムについて詳しくはこちら)

 2週目に向けて

 2週目はハイレベル会合に入り、市民社会参加者はほとんどの交渉を傍聴できなくなります。とくに市場メカニズムの議論は、さらなる大型排出を許してしまう抜け穴のあるルールが交渉に含まれており、市民社会は非常に大きな危機感を抱いています。

 また、議長国が、Climate Ambition Alliance(気候野心連合)を呼びかけており、野心(気候変動目標)の引き上げを宣言する国を集めています。水曜日にオフィシャルイベントが企画されていますが、視点は公平性に欠けており、「宣言」や「イニシティブ」にとどまり、具体的な行動に結びついているのか市民社会がしっかりと監視する必要があります。

また、第一週目の交渉の様子、第二週目の交渉への期待に関する解説についてはこちらもご覧ください。

(小野寺ゆうり・高橋英恵・深草亜悠美)


注1: CP21.52 Agrees that Article 8 of the Agreement does not involve or provide a basis for any liability or compensation 

 

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