原発事故避難者の住宅をめぐる政府交渉報告~「国の責任」はどこへ?
2月20日、「避難の協同センター」「原発事故被害者の救済を求める全国運動」の主催で、原発事故避難者の住宅をめぐる政府交渉が行われました。復興庁、内閣府、総務省、財務省、厚生労働省、国土交通省が出席。
この交渉で復興庁が、避難者の数や実態について正確に把握をしていなかったことが明らかになりました。
都道府県別や住宅種別(公営住宅、民間賃貸等)の避難者数については、「把握していない」と回答。また、「福島県によれば、3月で住宅提供を打ち切られる避難者(12,363世帯)のうち、4月以降の住居が決まっていない避難者は2158世帯」と回答。2158世帯といえば、全体の17%。
「えっ!? そんなに少ないわけない」
この問題に取り組んできた関係者の多くがそう思いました。
実際には、4月以降の住居がきまっていない人は、もっと多いと思われます。
というのは、福島県は(4月以降の住居が)「確定」「ほぼ確定」「未確定」という3つのカテゴリーを設けており、「ひだんれん」が福島県に確認した結果、このうち「ほぼ確定」については、「退去のみが決まっており、転居先が決まっていない人も含まれている」ことを認めています。復興庁は、この「退去のみが決まっており、転居先が決まっていない人も含まれている」という相当数の人たちを「4月以降の住居が確定」しているとカウントしてしまっているのです。くわしくは、こちらの報告をご覧ください(PDF)
福島県による区域外避難者の戸別訪問
※「ある程度」とは、退去が決まっており、引っ越し先が決まっていない数が含まれている。
これでは、事態を過小評価することにもなります。
大きなポイントになったのが「国の責任」です。
多くの自治体が、住宅提供の打ち切りにあたり、人道的立場から独自の避難者支援策を打ち出しているのですが、自治体ゆえの限界や、自治体間の格差が明らかになっています。主催側は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の事例を一つ一つあげ、現場情報に基づいて国の認識をただしたのですが、国の回答は、「福島県によれば」「避難先の状況に応じて」など、責任を福島県や避難先自治体に転嫁させているのではないかと思えるようなものが多かったのは残念です。
避難者の窮状、たとえば、民間賃貸住宅の避難者における、管理会社の事実上の「追い出し」事例についても、まったく把握していませんでした。
復興庁は、都道府県・住宅種別の避難者数についても把握していませんでした。それでは対策のとりようがありません。
「原発事故子ども・被災者支援法」では、原発政策を推進してきた国の責任として、被災者が居住・避難・帰還の選択を自分の意思で行えるように支援することを明記。そのひとつとして「住宅の確保」についても挙げられています。
主催団体側からは、被災者のおかれているリアルな状況について口々に指摘。
私たちは、改めて、国として主体的に対策をとること、現行の住宅提供を継続させることを求めました。(満田夏花)
(具体的な質疑はこちらから)