九十九里浜沖におけるCCSのための試掘に関する意見を提出

気候変動

現在、千葉県房総半島を中心に「首都圏CCS事業」が進められています。この事業は、日本製鉄君津製鉄所(将来的には京葉臨海工業地帯)から発生するCO2を、パイプラインを通して木更津市、袖ヶ浦市、市原市、長柄町、茂原市、白子町、九十九里町と千葉県を横断して運び、九十九里町沖の海底地下に貯蔵するというものです。これほどの大規模な事業の実施有無が、地元といってもパイプラインの通るごく狭い地域への説明のみで、2026年度末までに決められようとしています。

経済産業省は現在、このCCS事業の実施の前段階である「試掘」作業に許可を出そうとしており、2月9日まで、意見提出が呼び掛けられています。これまで、パイプライン設置予定の地域を中心に事業者による自主的な説明会が行われていますが、限られた地域の住民を対象に説明を行っているだけで、沖合での掘削に関する説明はほとんど行われていません。

これほどの大規模な事業を、十分な説明なしに進めて良いのでしょうか。FoE Japanは以下の意見を提出しました。

試掘の概要
評価井1坑目(九十九里町沖合約5キロメートルの位置にて、海面下約1,900メートルまでの垂直井を掘削):令和8年4月から7月まで(4カ月間)(予定)
評価井2坑目(約13キロメートルの位置にて、海面下約1,600メートルまでの垂直井を掘削):令和8年7月から10月まで(3カ月間)(予定)

提出した意見

・試掘事業の情報開示が非常に限られており、環境・社会にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、与えられた資料だけでは判断がつかない。試掘による環境への影響評価を行い、その内容を開示すべきである。

・許認可を申請している首都圏CCS株式会社は住民説明会を行っているが、説明会は主としてパイプラインが通過する自治体対象に限られ、その内容の大部が地上部のパイプライン建設に関する説明で、試掘や掘削により生じうる影響等は説明されていない。試掘についても住民にしっかりと説明すべきである。すでに漁業者や観光業、マリンスポーツ業界など、沿岸や洋上で活動する産業に説明を行っているのならばその内容について開示すべきである。

・CCS事業はコストが高く、大規模な掘削は環境に多大な負荷を与える。海洋への影響や地域社会への影響が十分に議論されないまま、試掘を始めるべきではない。

・首都圏CCS事業は、最初の段階では日本製鉄から排出されるCO2を回収し貯留することを目的とし、今後内房のその他の産業からもCO2を回収し貯留する計画である。日本製鉄は石炭をベースとした高炉に水素を注入して排出量を減らし、残りの排出をCCSなどで削減するとしている。これらの方法は石炭の使用を長引かせ、本来鉄鋼メーカーが目指すべきニアゼロ・エミッションでの生産にはつながらないという指摘もあり、この事業の必要性や意義が問われている。試掘の前に、事業そのものの見直しをすべきである。

・日本のCCS事業法は環境影響評価を義務化しておらず、事業の許認可についても、経済産業大臣に権限が集中している。事業の安全性が担保される制度が整っていない状況で、本体工事につながるような試掘を行うべきではない。

・CCSはコストが高くコスト低減の見込みも示されていない。事業の経済性の担保は困難で、政府の助成金や補助金がなければ事業が進まないのが現状である。2030年においても、またそれ以降も補助金がなければ継続できない分野になりかねず、化石燃料事業者の責任を納税者に転嫁するだけである。そのようなCCSの推進政策自体を見直すべきであり、試掘許可は拙速である。

 

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