オーストラリアの新聞に意見広告ー新規ガス開発は気候危機を加速させる
本日、日本・韓国・台湾のNGOは、オーストラリアのシンクタンクである「オーストラリアン・インスティチュート」の協力のもと、オーストラリアに対し新規LNG開発を行わないよう求める公開書簡を新聞2紙に掲載しました。
日本は多くのLNGをオーストラリアから輸入しています。現在も日本の官民はオーストラリアで多くの化石燃料事業に投融資を行なっていますが、気候危機回避のためには石炭だけでなくガスからの脱却も求められています。
メディアリリース「アジアのNGOら、オーストラリアに対し新規ガス開発をやめるよう要請」
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日本、韓国、台湾のNGOが、オーストラリアに対し新規のガス開発をやめるよう求める公開書簡を発表しました。公開書簡は、オーストラリアン・インスティチュートによってThe Sydney Morning Herald および The Canberra Timesの2紙に意見広告として掲載されました。
書簡に賛同した団体は、アジアのエネルギーシステムはガスではなく再生可能エネルギーにシフトしているとコメント。またガス事業は気候危機を加速させ、アジアとオーストラリア両者の地域安全保障を損なうとしています。
書簡の要点
· 日本は2035年までに電力システムの9割をクリーンエネルギー化することが可能であり、すでに輸入するガスを第三国に転売している
· 韓国では太陽光と風力がすでにガス火力発電より安価になっており、蓄電池のコストも急速に下がっている
· 台湾はカーボンプライシング導入を進め、屋根置き太陽光を義務化している。エネルギーシステムにおけるガスの役割を低減させる政策方針である。
日本で気候変動問題に取り組むグループである気候ネットワークの鈴木康子は「この書簡はアジアが気候アクションと化石燃料フェーズアウトを深刻に考えていることをオーストラリアに伝えるものです。気候科学は、アジアにおいてもオーストラリアにおいても気候変動アクションとはこれ以上ガスを開発しないことを明確に示しています。」とコメント。
またFoE Japanの深草亜悠美は「オーストラリアでガス事業を行っている日本の企業はオーストラリアだけでなく、日本や世界のコミュニティに悪影響を与えています。日本政府はガスをクリーンなエネルギーとしていますが、それは単に正しくないだけでなく、日本のガス産業を推進しているだけにすぎません」とコメント。
韓国の気候変動シンクタンクSolutions for Our ClimateのJoojin Kimは「日本、韓国、台湾のコミュニティにとって、より強い気候変動アクションが重要です。しかし多くのガス企業が、(気候やコミュニティに)損害をもたらすオーストラリアでの事業を気候変動のためと言って正当化しています。アジアのガス産業は、その他の国のガス産業と同じく、多くの利益と可能な限り少ない税金を払うことを目指しています。ガス産業が求めている利益と、オーストラリアやアジアの人々が求めていることを区別する必要があります」とコメント。
台湾のClimate Action NetworkのChia-Wei Chaoは「アジアに再生可能エネルギーの波が押し寄せています。台湾の新たなカーボンプライシングや屋根置き太陽光の義務化はこの変革をさらに加速させるでしょう。オーストラリアのガスがこれまでは台湾や他のアジアの国で重要でしたが、この重要性は今後薄れていくでしょう。オーストラリアはその変革に対応する準備すべきです」とコメント。
オーストラリアン・インスティチュートのリサーチディレクター、Rod Campbellは「オーストラリアのガス開発計画はアジアが化石燃料から転換することをさらに難しくさせてしまいます。オーストラリアは、ガス企業に適切に課税することで、オーストラリア自身の、またアジアのエネルギー転換をサポートすることができます。INPEX(日本)やKOGAS(韓国)、CPC(台湾)などの企業が鉱物資源利用税を払わずにこれまで多くのガスをオーストラリアから輸入してきたことは理解に苦しみます。」とコメントしました。