プレスリリース:ODA円借款事業受注企業のミャンマーでの人権配慮に関する質問状を送付しました

国際環境NGO FoE Japan
武器取引反対ネットワーク(NAJAT)
アーユス仏教国際協力ネットワーク
日本国際ボランティアセンター(JVC)
メコン・ウォッチ

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日本政府の政府開発援助(ODA)事業や日本企業による海外でのビジネスにおいて適切な環境・社会・人権配慮がなされるよう、政策提言活動を行っている上記5つの市民団体は、ミャンマーでのODA・円借款事業を受注した日本企業のうち30社に対し、人権デュー・ ディリジェンスの実施状況についての質問状を1月29日付で送付しました。

 30社のうち27社は、国際協力機構(JICA)が公表する「円借款案件応札結果情報」の本体契約リストに記載されている受注企業で、3社は企業の発表したプレスリリースで事業への関与を確認しています。30社は現在実施中の円借款事業に従事していると見られますが、外務省・JICAが各事業の進捗状況を公開しないため、すでに事業が終了しているものも含まれる可能性があります。

 ミャンマーでは、ミャンマー軍が2021年2月1日にクーデターを起こし、選挙で選ばれた政権を転覆させて以降、同軍が戦争犯罪と人道に対する罪にも相当する深刻な人権侵害を続けています。そのためミャンマー全土で国内避難民が激増し、その数は200万人を超えていると推定されています。

 このミャンマー軍は、その活動資金の一部をビジネスから得ていることが明らかとなっています。国連の独立調査団は2019年発表の報告書で[*1]、​​同軍が国内外の商取引から得る収入が、同軍が深刻な人権侵害を行う能力をおおいに高めていると指摘しました。事実、円借款事業であるバゴー橋建設事業では、軍が所有する企業であるミャンマー・エコノミック・コーポレーション(MEC)がサプライチェーンに入っており、軍がODA事業から収益を得ていることが明らかになっています。

 またミャンマーでは、紛争地域での円滑な事業実施のために軍による「警備」が行われ、事業周辺地域の人々に対する人権侵害が起きた事例もあります。日本企業の関わる工事がきっかけとなって軍が人権侵害を起こすことで、企業活動が間接的に人権侵害に関与する恐れもあります。

 2021年のクーデター以降も日本政府はODAを継続しているため、私たちは政府に対し、これらの事業について情報を開示し、同国が民主的な状態に戻るまで一旦ODA事業を停止するよう重ねて要請してきました。しかし、日本政府は具体的な実施状況を開示せず、かつ、現在もODA事業を継続していることから、今回の質問状で実施企業に直接私たちの懸念を伝え、人権デュー・ ディリジェンスの実施状況を確認したものです。

 質問状では、人権デュー・ ディリジェンスの実施状況、実施していない場合の各社の人権方針との整合性、国連の独立調査団の報告書に掲載されている軍系企業が関連企業としてサプライチェーンに入っていないか、または資材などをそれら企業から調達していないかを質問しています。さらに、工事現場や事業関連施設で軍や治安部隊による警備が行われているかの確認の有無への回答も求めました。各社には2月29日までの回答を求めています。回答は各団体のホームページ等で公開する予定です。

[*1] メコン・ウォッチ.「メコン河開発メールニュース:ミャンマー>クーデター前、2019年に国連が国軍の経済的利益について報告書」(2021.2.24)

報告書 “Economic interests of the Myanmar military”(2019年8月5日)

質問状を送付したODA円借款事業受注企業と受注事業

1JFEエンジニアリング株式会社ティラワ地区インフラ開発
2NECネッツエスアイ株式会社通信網改善事業
3エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社通信網改善事業
4株式会社 きんでんヤンゴン環状鉄道改修
5株式会社 安藤・間東西経済回廊整備
6株式会社IHIインフラシステム東西経済回廊整備
7株式会社クボタ建設ヤンゴン都市圏上水整備
8株式会社トーエネックティラワ地区インフラ開発
9株式会社ピーエス三菱東西経済回廊整備
10株式会社フジタヤンゴン・マンダレー鉄道整備
11株式会社横河ブリッジバゴー橋建設
12株式会社三井E&Sティラワ地区インフラ開発
13住友商事株式会社ヤンゴン・マンダレー鉄道整備ヤンゴン環状鉄道改修ティラワ地区インフラ開発
14双日株式会社通信網改善事業 全国基幹送変電設備整備
15戸田建設株式会社ヤンゴン都市圏上水整備
16鉄建建設株式会社ティラワ地区インフラ開発ヤンゴン・マンダレー鉄道整備
17東急建設株式会社ヤンゴン・マンダレー鉄道整備バゴー橋建設
18東洋建設株式会社ティラワ地区インフラ開発
19豊田通商株式会社水力発電所改修
20新潟トランシス株式会社ヤンゴン・マンダレー鉄道整備
21日本信号株式会社ヤンゴン・マンダレー鉄道整備ヤンゴン環状鉄道改修
22日本電気株式会社 (NEC)通信網改善事業
23日立三菱水力株式会社水力発電所改修
24丸紅パワー&インフラシステムズ株式会社インフラ緊急復旧改善
25丸紅プロテックス株式会社ヤンゴン都市圏上水整備
26丸紅株式会社全国基幹送変電設備整備ヤンゴン・マンダレー鉄道整備
27三井住友建設株式会社バゴー橋建設
28三井物産プラントシステム株式会社ヤンゴン・マンダレー鉄道整備
29三菱商事株式会社インフラ緊急復旧改善全国基幹送変電設備整備ヤンゴン環状鉄道改修ヤンゴン・マンダレー鉄道整備
30りんかい日産建設株式会社ヤンゴン・マンダレー鉄道整備

問い合せ先

メコン・ウォッチ
〒110-0016 東京都台東区台東1-12-11 青木ビル3F 
TEL: +81-3-3832-5034 
E-mail: contact(@)mekongwatch.org  

 

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