プレスリリース:日ASEAN特別首脳会議直前にアジア太平洋地域の市民が岸田総理に対し公開書簡の提出と同時市民アクション - 日本は脱化石燃料の「輝ける機会」を捉えるべき

脱化石燃料

12月16〜18日の日程で東京で開催される、日本ASEAN特別首脳会議(日・ASEANサミット)に合わせ、日本とアジア各国の首脳が脱炭素に向けた協力について議論する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会議」も開催される予定です。

これらの会議では、「輝ける友情、輝ける機会」というスローガンの下、日本が化石燃料依存からの脱却ではなく、ガスや石炭を今後も積極的に利用する方針を強く推し進めることが懸念されています。日本は国内だけでなく、アジア各国で化石燃料ガス、水素・アンモニア・バイオマス混焼やCCS(二酸化炭素回収・貯留)など、化石燃料の延命につながる投融資を進めており、アジアの脱炭素を遅らせています。

日・ASEANサミット開催前日の15日、約40人の国内外の環境団体と市民が東京に集結し、日本に対し、アジア太平洋全域での化石燃料支援を止め再生可能エネルギー支援の強化を求めるアクションを行いました。アクションでは化石燃料に依存する岸田総理大臣を模した巨大マスクが登場。参加者は手錠に見立てた光るブレスレットを身につけ、日本がASEAN各国を化石燃料に縛り付けていることに抗議の意思を示しました。また、その光で風力や太陽光を表現し、再生可能エネルギーへの希望を示しました。

同日には、日本の化石燃料依存を批判する#SayonaraFossilFuelsという共通のハッシュタグを使い、日本を含むアジア太平洋10カ国(日本、フィリピン、ベトナム、インドネシア、バングラデッシュ、インド、パキスタン、カナダ、アメリカ、オーストラリア)でアクションが行われる予定です。岸田総理が気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)でもアピールしたAZECに対し、そして脱炭素化を遅らせる日本の化石燃料支援に対して、ASEAN各国を含む海外からの大きな反発が示されました。

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さらに同日、アジア内外の89もの市民団体が連名で岸田総理に対し公開書簡(PDF英語原文和訳)を提出しました。アジア地域の市民は書簡で、日本の化石燃料に基づく技術開発は、東南アジアの再生可能エネルギーへの移行を阻み、化石燃料の使用を長引かせると懸念を示しました。また、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)(注1)、及び日本政府も研究を引用する(注3)国立再生可能エネルギー研究所(NREL)(注3)によれば、東南アジアには豊富な再生可能エネルギー資源があることを指摘。日本は東南アジアで化石燃料プロジェクトを推進することで、すでに世界的に最も気候変動に脆弱な地域のひとつ(注4)に住んでいるコミュニティを、さらに深刻な気候変動の影響にさらすことになると警告しました。また、東南アジアの電力消費者にとってもガスの拡大は、ガス価格の変動に伴って市場価格が急激に上昇するため、安定した安価な電力へのアクセスが阻害され、大きな経済的負担となるとしています。

一方で、化石燃料ガスや化石燃料に基づく技術を東南アジアに押し付けるのではなく、日本は毎年化石燃料に費やしている106億米ドルを再生可能エネルギーに振り向けることで、ASEAN諸国に対する真の友情と、気候変動対策における真のリーダーシップを示すことができると主張し、日本がこの「輝ける機会」に、すべての化石燃料ガス、水素・アンモニア・バイオマス混焼、CCS、その他の誤った対策への投融資を直ちに終了し、その代わりに、コミュニティのニーズを満たし、コミュニティに被害を与えない再生可能エネルギーへの支援に転換することを求めました 。

WALHI/インドネシア環境フォーラム(FoEインドネシア)の鉱山・エネルギー問題担当キャンペーナー、レレ・クリスタント氏は、「インドネシアにおける化石燃料の使用による損失については、すでに多くの証拠がある。石炭火力発電所による大気汚染で数十万人が死亡し、この被害による損失は2,100億米ドルに達する可能性があると報告されており、2ヘクタールの熱帯雨林が炭鉱のために伐採され、数百ヘクタールの住宅地がガスの掘削作業によって泥に沈んだ。私たちは、バイオマス、水素、アンモニアを使った混焼やCCS/CCUS、LNGの利用を通じて化石燃料の利用を拡大しようとする日本の取り組みの遊び場となることを拒否する。」と述べた。
※インドネシア市民団体から岸田首相宛てに提出した要請書「インドネシアでの化石燃料の延命と環境・生活破壊は直ちに止めて―公正かつ公平なエネルギー移行に地域コミュニティと市民社会の意味ある参加を」はこちら

Asian Peoples’ Movemenet on Debt and Developmentのコーディネーター、リディ・ナクピルは、「東京でのサミットは、日本が自国民とグローバルサウスに対する歴史的な責務を果たす機会を提供するものである。しかし、日本の現在のエネルギー戦略は、ASEANの人々やコミュニティではなく、企業の利益だけを追求している。このようなエネルギー戦略は、気候危機による不確実な未来と、より多くの害と危険をもたらすだけである。」と述べた。

Center for Energy, Ecology and Developmentの東南アジアにおける公正なエネルギー移行の活動をリードしている、アンジェリカ・ダカナイは、「日本による「ASEANの脱炭素化への道を支援する」というコミットメントには、ある真実が隠されている。日本は、東南アジアにおける化石燃料ガスの第2位の資金提供国として、この地域を悲惨な未来へと導いているのだ。その資金供与は、ヴェルデ島海峡の海洋生態系を破壊し、漁民の生活に悪影響を及ぼしているイリハンLNG輸入ターミナルのような事業にまで及んでいる。真に約束を果たすために、日本は東南アジアにおける再生可能エネルギーへの移行を支援する方向に努力を傾けるべきである。」とコメントした。

注1: IRENA and ACE. 2022. Renewable Energy Outlook for ASEAN: Towards a Regional Energy Transition.
注2: 資源エネルギー庁. March 2023.「カーボンニュートラル実現に向けた国際戦略

注3:National Renewable Energy Laboratory. June 2020. Exploring Renewable Energy Opportunities in Select Southeast Asian Countries: A Geospatial Analysis of the Levelized Cost of Energy of Utility-Scale Wind and Solar Photovoltaics.
注4: ジャーマンウォッチの調査によると、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム、カンボジアなど、20の国が2000〜2019年最も異常気象の影響を受けた。Germanwatch. 2022. Global Climate Risk Index 2021: Who Suffers Most from Extreme Weather Events?Weather-Related Loss Events in 2019 and 2000-2019.

 

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