【プレスリリース】ミャンマー「Yコンプレックス」についての要請に対し主要株主8社から回答 株主には、人権侵害への加担の防止についてさらなる行動が求められる

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日本企業とミャンマー国軍との関係について深い懸念を持つ8つの市民団体は、ヤンゴンで不動産開発事業(通称「Yコンプレックス」)を行っている東京建物株式会社と大和ハウス工業株式会社の主要株主101社に対し、2022年5月24日付で要請書を送付しました。この要請では両社が国軍による重大な人権侵害に関与している可能性があることを指摘し、Yコンプレックス事業がミャンマー国軍を利することを避けるための措置を両社が講じることを求めました。東京建物および大和ハウス工業が十分な措置を講じない場合には、投資の引き揚げも検討するよう求めています。

この要請に対し、今日までに8社から実質的な回答があり、内1社は私たちの要請を受けて企業にエンゲージメントを行なったと回答しました。また2社がエンゲージメントを検討すると回答しています。しかし、それ以外は自社の人権方針等を説明する、といった要請内容に対応しない回答を寄せ、エンゲージメントの有無を含む具体的な働きかけの状況も明かしませんでした。

事業会社 Yコンプレックス社(Y Complex Company Limited)(ミャンマー法人)は、シンガポール法人であるYangon Museum Development Pte. Ltd.( YMD)が80%、ミャンマー法人Yangon Technical andTrading Company Limited(YTT)が20%出資しています。YMDは、東京建物、株式会社フジタ(大和ハウス子会社)、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が共同で設立しています。JOINの出資と債務保証、また国際協力銀行の融資は、日本の公的資金が事業に投じられていることを意味します。事業はBOT方式で、国軍が所有する土地をサブリースして行われており、賃料はミャンマーの兵站局に支払われます。兵站局はミャンマー国軍の調達を行っており、兵站局に支払われる賃料はミャンマー国軍による市民の殺害、不当逮捕や恣意的拘束、性的暴力、強制失踪、拷問といった国際犯罪や深刻な人権侵害の資金源となる可能性があります。米国、英国、カナダは兵站局を制裁対象にしています。

ミャンマーの公式文書とされる資料によると、土地の賃料は年間およそ200万ドル(約2億3千万円)で、これが契約期間の50年間にわたり支払われることとなります。2022年4月の時点で、クーデター以降の賃料の支払いは止められているようですが、両社はこれまで市民社会が示してきた重大な人権侵害への懸念に対して具体的な回答を行っておらず、また本事業から撤退したわけではありません。

ミャンマーでは同国軍による暴力はエスカレートする一方です。民主化を求める活動家や元議員らが非合法軍政による不当な軍事法廷の判決により「死刑」を宣告されていましたが、7月末にそれが執行されたことが明らかとなりました。Yコンプレックスについては国際社会からの批判も強く、長年ミャンマーの人権問題に取り組んできたプログレッシブ・ボイスは7月の記事で、日本が人権と民主主義よりもミャンマー軍政との商業関係の維持を優先させていることの一例としてYコンプレックスを挙げています。東京建物および大和ハウス工業は、兵站局に賃料が入るような契約から直ちに離脱すべきです。また今回の要請に対し、回答しない投資家や人権方針が存在していることをアピールするだけの回答にとどまる株主が多数を占めており、更なる対応が求められます。株主には引き続き、責任ある投資家として、両社が国軍との経済的関係を断つためのエンゲージメントを実施するよう求めます。

詳細は要請書本文をご参照ください。

[日本語]
ミャンマーYコンプレックス事業に関与する東京建物、大和ハウス工業にエンゲージメントを求める要請書(2022年5月24日)

[English] Call for Engagement with Companies Involved in the Y Complex Project in Myanmar (May 24, 2022)

要請書送付先101機関

問合せ先

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