マングローブ再生プロジェクト 13年目の活動報告 /2021年

気候変動

活動内容

・ スムット村、ウォノクルト・クロン村、トラトゥバン村、アピ・アピ村、プチャカラン村にマングローブ、海岸林を計40,000本植林。
 -マングローブの活着率は97%。
 -アピアピ村にマングローブ保護のための海岸防波堤45mを設置。

・ スムット村、ウォノクルト・クロン村、トラトゥバン村、アピ・アピ村、プチャカラン村にて持続可能な養殖業による生計回復支援。
-浸水で壊れた養殖場に網を設置、堤防の修復(17,610㎡)。
-持続可能な養殖業のパイロットプロジェクト開始。

-避難計画の策定。
-バンドゥンガン村の災害管理チームの設置。
-バンドゥンガン村の救助標識・機材の整備。

マングローブ再生保全活動

気候変動によるプカロンガンの海岸線の浸食は、2021年には2,231mに達しました。天然のマングローブ林が侵食されているため、海面上昇や高波による被害はますます深刻化する恐れがあります。 沿岸被害を軽減するため、アピ・アピ村への防波堤の設置と5つの村へのマングローブ植林を行いました。これまでに設置した防波堤は全長100mとなります。地元の資材を使って低コストで効果的な防波堤を実現しています。防波堤の内側に植林したマングローブの苗木は高波の影響を受けることなく成長しています。

浸水コミュニティへの支援

プカロンガン市沿岸部のバンドゥンガン村は、2000年以降、毎年のように洪水が発生しています。近年の洪水の主な原因は、地盤沈下、海面上昇、豪雨(降雨パターンの変化)です。2019年に行政が建設した防潮堤により、堤防の内陸側は海面上昇による浸水は軽減した地域もありますが(一部、堤防建設により冠水して住むことが出来なくなった集落もあります)、降雨を起因とする洪水は増加、深刻化する傾向にあります。また、堤防の外側では、引き続き海からの浸水・高波の被害を受け続けています。

2021年度は、行政とコミュニティが水害に備える防災システムの構築支援を行いました。浸水エリアの特定、避難計画の策定、避難の管理・組織化等の連続ワークショップを実施しました。ワークショップにはバンドゥンガン村の各地区・集落のリーダーが参加しました。まず、実際の洪水時の経験により浸水エリアを特定しました。各集落の主な道路で40~75cmの浸水レベルとなるため、安全な避難経路の選定を行いました。また、避難所の設置、避難手順などの避難計画を策定しました。避難経路にはプカロンガン市により、避難標識が設置されました。今後、避難時の安全確保のためのロープも設置される予定です。

ワークショップの結果として、コミュニティ災害管理チームの結成が決まりました。住民間、複数の地区間、地区と市行政の間の連絡メカニズムを整理し、訓練を実施しました。バンドゥンガン村での経験は、プカロンガン市を通じて周辺の村々でも水害対策研修として普及・導入されることになっています。

スムット村のスモネットやウォノクルト・クロン村のパンタイ・サリはバンデンガン村よりもさらにリスクの高い集落となります。スモネットでは75世帯中、約半分が内陸部等に移転しています。影響の実態に即した移転支援と水害対策の検討が急がれます。

洪水は生産活動・生計手段にも深刻な影響を与えています。プカロンガン県では、洪水や海面上昇により、200ヘクタール以上の養殖場が被害を受け、養殖業が続けられなくなっています。このため、養殖場へのネットの設置、堤防の補修、養殖場周囲へのマングローブの植林などの復旧支援を行いました。さらに、持続可能な養殖の導入による生計回復を目指しています。2021年度は、パイロットプロジェクトとして5ヶ所(合計1.76ヘクタール)の養殖場の修復と養殖場へのマングローブ植林を支援しました。5ヶ所の養殖場では、単一、または複数品目を組み合わせ、それぞれに異なる手法、戦略で試験操業を行いました。今後、効果的かつ持続可能な手法を検証していきます。

 

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