【プレスリリース】世界15カ国35の環境保護団体、H.I.S.の株主に対してパーム油発電所の中止への働きかけを要請「株主としての責任を」
本日、FoE Japanなど、世界15カ国 35の環境保護団体および学識者など19人が、宮城県角田市でパーム油を燃料としたバイオマス発電所を建設しているH.I.S.の主要株主37社に対して、H.I.S.に同事業からの撤退を働きかけることを求める書簡を送付しました。これらの団体・個人はかねてより、パーム油を燃料とする発電事業は「熱帯林を破壊し、気候変動を加速させる」として反対してきました。
今回は、日本に加え、イギリス、アメリカ、オランダ、ロシア、ドイツ、ボスニアヘルツェゴビナ、オーストラリア、スリランカ、タンザニア、ベルギー、ボリビア、モザンビーク、スウェーデン、チェコの環境保護団体が連名しました。
パーム油は主として食品用に使われてきましたが、近年、需要の増大に伴い、アブラヤシ・プランテーションが急速に拡大し、インドネシアやマレーシアにおける熱帯林の破壊の主要な要因のひとつになっています。インドネシアとマレーシアでは過去 20年間に約 350万haもの熱帯林がアブラヤシ・プランテーションに転換されました。パーム油を発電のために利用することにより、需要がさらに急増し、プランテーションの拡大による森林開発圧力が強まることになります。
「パーム油の需要が拡大すれば、アブラヤシ農地を造成するための熱帯林や泥炭地の開発により、膨大な量のCO2が放出されます。森林が蓄えている膨大な炭素の排出を加味すれば、パーム油発電は、石炭火力発電よりはるかに多くのCO2が発生することとなります。」と、要請書の取りまとめにあたった国際環境NGO FoE Japanは指摘しています。
「ボルネオの熱帯林のエコツアーやスタディツアーに力を入れてきました。にもかかわらず、熱帯林や気候の破壊をもたらすこうしたビジネスに乗り出すことは、H.I.S.の経営上のリスクでもあります。株主としても、ESG投資の観点から、同社に対して働きかけてほしいと思います。」
FoE Japanは、今後、国際的にも反対の声を広げるとともに、温室効果ガスの排出削減効果をもたない事業や森林減少を伴うバイオマス事業などは、FITの対象としないように働きかけていきます。
連絡先:国際環境NGO FoE Japan
※H.I.S.の澤田秀雄社長およびH.I.S. SUPER電力の赤尾昇平社長に対しても、同事業からの撤退を改めて求める要請書および公開質問書を8/28付けで発出しています。
>プレスリリース
>H.I.S.の澤田秀雄社長およびH.I.S. SUPER電力の赤尾昇平社長宛て質問書
>H.I.S.支店・営業所宛てレター
【関連資料】
>何が問題? H.I.S.のパーム油発電Q&A
>「バイオマス発電をめぐる要請書 FIT法の目的である『環境負荷の低減』の実現を」
>「バイオマス発電に関する共同提言」
>声明:FITバイオマス発電に温室効果ガス(GHG)排出評価を!――学識者ら276人