32の環境保護団体、H.I.S.に対してパーム油発電所の中止を改めて要請
「熱帯林を破壊し、気候変動を加速させる」

大手旅行会社H.I.S.が、宮城県角田市に建設中のパーム油を燃料としたバイオマス発電所に反対し、FoE Japanなど、気候変動や森林減少の問題に取り組む32の環境保護団体および学識経験者・NGO関係者ら18の個人は、本日、H.I.S.の澤田秀雄社長およびH.I.S. SUPER電力の赤尾昇平社長に対して、同事業からの撤退を改めて求める要請書および公開質問書を発出しました。日本に加え、イギリス、アメリカ、ドイツ、ベルギー、ロシア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、オーストラリア、スリランカ、タンザニア、ボリビア、モザンビーク、スウェーデン、ネパールの環境保護団体が連名に加わりました。

パーム油は主として食品用に使われてきましたが、近年、需要の増大に伴い、アブラヤシ・プランテーションが急速に拡大し、インドネシアやマレーシアにおける熱帯林の破壊の主要な要因のひとつになっています。インドネシアとマレーシアでは過去 20年間に約 350万haもの熱帯林がアブラヤシ・プランテーションに転換されました。

パーム油を燃料とした発電事業は、パーム油の需要を拡大し、熱帯林や泥炭地の開発圧力となります。また、土地利用転換・加工・輸送などのライフサイクルで考えれば、同事業は膨大な二酸化炭素の排出をもたらし、気候変動を加速させることとなります。H.I.S.は、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証のパーム油を使うとしていますが、環境保護団体は、RSPO認証の取得が温室効果ガスの排出を抑制するわけではないこと、耕作可能な土地が有限である以上、RSPOの認証油の生産量には限りがあることなどを指摘しています。

公開質問書では、H.I.S.の利用するパーム油の供給元、実際にRSPO認証油が使われるのか、食料と競合がないことに関する確認手段、事業のライフサイクル(土地利用変化、栽培、加工、輸送、燃焼)におよぶ温室効果ガス排出量について質問しています。

また、これらの団体・個人は、H.I.S.の首都圏および宮城県の支店宛てにも、同様のレターを送付し、「ボルネオの熱帯林のエコツアーやスタディツアーに力を入れてきたH.I.S.が、熱帯林や野生生物の生息地の破壊をもたらす根本的かつ構造的な問題に目をつぶり、その破壊に積極的に加担することは、信頼を損なう行為」と指摘しています。

環境保護団体などは、今後、株主や融資者に対しても働きかけを行っていく予定です。

連絡先:国際環境NGO FoE Japan

H.I.S.の澤田秀雄社長およびH.I.S. SUPER電力の赤尾昇平社長宛て質問書
H.I.S.支店・営業所宛てレター

【関連資料】
何が問題? H.I.S.のパーム油発電Q&A
「バイオマス発電をめぐる要請書 FIT法の目的である『環境負荷の低減』の実現を」
「バイオマス発電に関する共同提言」
声明:FITバイオマス発電に温室効果ガス(GHG)排出評価を!――学識者ら276人

 

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