森のプレゼント
JR西日本による支援
●2012年度実施できたこと
2011年度寄付総額 | 2,869,000円 (2012年度に活用させていただきました) |
● 森林保全のための地域材活用
国内の森林面積(国土の約 7 割)のうち、約4 割を占める多くの人工林(スギ、ヒノキ)は、日本国内での国産材の利用が少ないため、年々過密になり、真っ暗で不健全な森が増えてきています。人の手で植林され、“伐りどき“を迎えた木・森を放置すると、樹木の生長に伴うCO2固定機能や、水源かん養機能などを低下させてしまいます。
こうした不健全な森を健康にするためには、木を使うことが必要です。木を使うことで、①木材が炭素を固定し、②健康になった森林の大気保全機能が高まる、ということにつながります。2012年度、FoE Japanは、地域の木を使うことで地域の森を守る、以下の事業を行いました。
1. 地域の木をつかった、地域型復興住宅
2013 年を迎え、東日本大震災から2年が過ぎました。街や住宅の復興はまだまだ途についたばかりで、宮城県内だけでも72,000 戸の復興住宅が必要だといわれています。ここに、これまであまり使われてこなかった地域の木材(特にスギ)を活用することは、森を健康にすることにつながります。そのため、宮城県石巻市、東松島市において、“地域の木を使った復興住宅”を実現する取組みを行いました。
森林から木を適度に伐採・搬出し、丸太を製材して“木材“という資材にするのは、森林組合、製材所などの事業者ですが、実際に家を建てる工務店や建築士さんに、地域の木を採用してもらわなくては、木の流れは出来ません。そのために、石巻、東松島両市のこれらの業者を1グループにまとめ、地域の木をつかった復興住宅供給グループ『つぐっぺおらほの復興家づくりの会』を組織し、運営のための事務局機能を FoE Japan が担当しました。
“おらほの(=俺たちの)”があらわすとおり、自らも被災者である地元の事業者による家づくりは、地域経済の活性化にもつながり、復興をスピードアップすることにもつながります。毎月の運営会議を経てできた共通の住宅プランでは、そこに、半径およそ30km 圏内の石巻、登米、南三陸から算出される宮城県産材を出来る限り活用していきます。防災集団移転に向け、高台などで土地の造成が進んでいます。街で木を使うことで森林を保全するこの取組みに、今後ともご支援よろしくお願いいたします。
2. 被災木、地域材を活用した漁村復興拠点
東日本大震災で、津波被害の大きかった石巻市の三陸沿岸の漁村・十三浜。海岸沿いの集落は全て流出し、高台の仮設住宅での生活となっています。そこで、漁業の再興のため、浜近くに休憩所、直売所となるような拠点(小屋+デッキ)を作成しました。木材は津波により海水を被った「被災木」を製材して利用しつつ、被災後に再開した地元・南三陸の製材所からも木材を調達しました。漁作業、復旧作業などで、集落の内外の人が集まる事を願っています。
同じく宮城県山元町は平野に畑の広がる農業の町。海岸沿いの中浜地区は住宅のほぼ全てが流出してしまいました。それでも潮をかぶった畑を復旧しようと、遠く離れた仮設住宅から人々が沿岸に通ってきます。土を掘り返せば今でもガレキが出てきます。中浜地区の人々の集会所、作業の合間の休憩所として、隣接する蔵王町、丸森町の木材を使って集会所を設置しました。森を守る地域材活用が地域再建に役立っています。