お知らせ
公開セミナー 生物多様性 トラとオランウータンとわたしたち 開催報告
2010年10月22日、神田総評会館で「公開セミナー 生物多様性~トラとオランウータンとわたしたち」が開催され ました。当日は、60名近くの参加者があり、活発な議論が交わされました。
セミナーは、スミヤントさん(人形遣)と山科勝司さん(音楽)による影絵「熱帯の森のつぶやき」から始まりまし た。トラとオランウータンの遭遇からなる影絵は非常に好評で、「影絵よかったです。最初からお話でなく感性に訴 えかけられてからだと、より話がスムーズに聞けます。」といった声が寄せられました。
次に、イントロダクションとして、FoEJapanの満田夏花が、インドネシアの森林減少の要因と日本の関係について 発表しました。詳細なデータを含んだ推移チャートや開発分布図に、写真を交えて、森林減少の現実を要約、さら に、パーム油、コピー用紙、金属部品として、日本の日常へと浸透する製品との因果関係に言及しました。
続いて、テラパックのヤヤット・アフィアントさんが、インドネシアで起こっている違法森林伐採と、それによる森 林生物多様性の減少状況について発表しました。ここでは、インドネシアの原生林の70%が既に失われ、そして、 森林伐採の80%が違法であるという発表がなされました。また、近年のインドネシア政府等による違法伐採取り締 まりによる改善と現状、及び、日本を含む国々とインドネシア国間の貿易協定による違法伐採への取り組みの報告が 行われました。
続いて、ボルネオ・オランウータン・サバイバル・ファウンデーションのトグ・マヌルンさんが、ボルネオ島におい て、森林減少や干ばつ、森林火災によって、生息地を奪われ続けてきたオランウータンの救助、保護や森林への再解 放活動を報告しました。また、200人近くの専門家、スタッフから成り立つこの団体による、オランウータン生息 地の保護、促進活動の詳細が語られました。
最後に、レインフォレスト・アクション・ネットワークの川上豊幸さんが、日本が消費している紙のふるさと、イン ドネシアのスマトラ・リアウ州の状況について発表しました。ここでは、天然林や泥炭地が、紙原料を得るためにア カシアやユーカリに転換されてきています。川上さんはこのような破壊を伴う紙の購買を避け、古紙や信頼できる認 証の紙の購買を呼びかけました。
会場からは、「現地の情報が具体的に知ることが出来ました。」「 生物多様性という観点で、生きものに関する情報 がもう少しあったらよかった。」「我々は、日本にいる立場で何ができるのか、我々に何をしてほしいのかについて のメッセージをもっと投げかけて欲しい。」「製紙会社の名前がわかってよかった。」「ヤヤットさんの質疑応答の 内容は興味深かった。」「今回、初めての事も多くてびっくりした所もあり、本当に何とかしないとなあと思いまし た。」「違法伐採取締の実態と課題を取り上げてほしい」「初心者向けのセミナーを取り上げてほしい」「進行、通 訳のかたの話し方が、とても聞きやすかった。」等の意見、感想が上がりました。
FoE Japan は、今後も、木材、紙、パーム油、金属などを切り口に、生物多様性と私たちの消費行動についての情報 発信や取り組みを行っていきます。
■資料ダウンロードコーナー(いずれも PDF ファイルです)
一括ダウンロード (34.2MB)
プログラム
影絵 ~熱帯の森のつぶやき
・・・スミヤント + 山科勝司
イントロダクション:森林減少の構造
・・・満田夏花 (国際環境NGO FoE Japan/メコン・ウォッチ)
事例1 : 生物多様性を壊すもの
・・・ヤヤット・アフィアント(テラパック)
事例2 : オランウータンの棲む森 ~カリマンタンの事例から
・・・トグ・マヌルン(ボルネオ・オランウータン・サバイバル・ファウンデーション)
事例3 : 紙がトラを追い詰める ~スマトラの事例から
・・・川上豊幸(レインフォレスト・アクションネットワーク日本代表部)
質疑&まとめ
シンポジウム「オランウータンの森を守れ!~生物多様性と日本の消費」
■主催 ウータン・森と生活を考える会、国際環境NGO FoE Japan、地球・人間環境フォーラム、
熱帯林行動ネットワーク、熱帯林行動ネットワーク名古屋、
レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表部
■協力 アースビジョン組織委員会、「環境・持続社会」研究センター、グリーンピース・ジャパン、
サステナビリティ日本フォーラム、社会的責任投資フォーラム、WWFジャパン、
トラ・ゾウ保護基金、フェアウッド・パートナーズ、
ボルネオ・オランウータン・サバイバル財団ジャパン、ボルネオ保全トラスト、
日本インドネシアNGOネットワーク、日本環境ジャーナリストの会、野生生物保全論研究会