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イベント案内 - 第3回 生物多様性保全に関する政策研究会
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※このイベントは終了しました。議事結果概要はページの一番下をご覧下さい。

1、趣旨
 現在、世界的に生物多様性の損失が懸念されています。このため、1992年に生物多様性条約が合意され、各国でその保全の取組みがされていますが、十分な効果を上げていません。 このため、2006年の生物多様生物条約締約国会議(COP8)の決議があるように、企業による生物多様性保全への貢献が期待されています。

 このような事情を背景として、FoE Japanでは、平成20年度の環境省請負事業として、「企業の生物多様性に関する活動の評価基準作成に関するフィージビリティー調査」を実施しました。この調査では、市民やNGOなどの視点から企業の生物多様性保全活動を評価する基準案を提案しました。

 この基準案を審議するために設置した「検討委員会」では、このような企業の自主的取組みのみならず、国や地方自治体の政策を転換すべきであり、そのための政策提言を検討すべきだとの意見が多く出されました。

  そこで、今般FoE Japanは、地球環境パートナーシッププラザ(GEIC)との協働により、生物多様性保全のための政策提言を目的として「生物多様性保全に関する政策研究会」(仮称)を設置することと致しました。今後、数回の研究会と意見交換会(公開シンポジウム)が予定されています。

2、第3回 政策研究会の開催予定
【日時】 平成21年8月21日(金)18:30〜20:30
【場所】 環境パートナーシップオフィス(EPO)会議室
     〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F
【URL】 https://www.geic.or.jp/geic/intro/access.html#epo
【議題】 1. 委員からの発表 (発表15分程度、質疑10分程度)
        志村 智子さん (日本自然保護協会) (※予定)
        坂本 有希さん (地球・人間環境フォーラム)
        木戸 一成さん (積水ハウス株式会社) 
        岡本 享二さん (ブレーメン・コンサルティング株式会社)

      2. 討議 原材料調達における生物多様性への配慮について

      3.今後の予定


【委員】 下表参照(※予定)
【協力】 跡見学園女子大学
【その他】 お申込み、参加費等は不要ですので、直接会場までお越し下さいませ。


3、研究会委員一覧 (※予定)
足立 直樹 株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役
粟野 美佳子 WWF Japan 業務室ビジネスパートナーシップ・マーケティング グループ長
市田 則孝 バードライフ・アジア 会長
上田 恵介 立教大学 理学部生命理学科 教授
大沼 あゆみ 慶應義塾大学 経済学部 教授
岡本 享二 ブレーメン・コンサルティング 株式会社 代表取締役社長
亀井 一行 アスクル 株式会社 環境マネジメント、品質マネジメント 統括部長
河野 磨美子 財団法人 地球環境戦略研究機関 エコアクション21中央事務局
岸 和幸 株式会社 リコー 社会環境本部 環境コミュニケーション推進室
木戸 一成 積水ハウス株式会社 環境推進部
坂本 有希 地球・人間環境フォーラム 企画調査部次長
佐藤 健一 ソーシャル サポーター (元 富士ゼロックスCSR部)
志村 智子 日本自然保護協会 管理部長
鈴木 勝男 FoE Japan 理事
関 健志 財団法人 日本生態系協会 事務局長
田中 章 東京都市大学 環境情報学部 准教授
谷口 正次 国連大学 ゼロエミッションフォーラム 理事
代島 裕世 サラヤ 株式会社 営業統括本部広告宣伝部長兼コンシューマー営業部マーケティング担当部長
泊 みゆき バイオマス産業社会ネットワーク共同代表
永石 文明 特定非営利活動法人 ヘリテイジ・トラスト 代表理事
畠山 武道 上智大学 地球環境学研究科 教授
日比 保史 コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 代表
松田 裕之 横浜国立大学 環境情報研究院 教授
宮崎 正浩 FoE Japan 客員研究員、跡見学園女子大学マネジメント学部教授
籾井 まり FoE Japan 客員研究員、ディープグリーンコンサルティング代表
山田 順之 鹿島建設(株)環境本部地球環境室
(計26名)
4、議事結果概要
T.委員からの発表

1.1日本自然保護協会(NACS−J)の活動(志村委員)
 生物多様性条約の2010年目標は世界の生態学的な地域において少なくとも10%を効果的に保全することが目標である。日本の自然公園は国土の14%となっており、優等生のように見える。しかし、生物多様性の視点からは十分ではない。自然公園法の目的に生物多様性が入ったのが今年の6月であった。また、自然公園のうち13%が原生的なものが保存されるのみで、他の地域は、木材伐採が可能であり、十分保護されていない。
 NACS−J では、SISPA(戦略的保全地域システム)を作成している。日本では、自然植生は2割で、大部分が北海道に存在する。例えば、九州では、危機にある植物群落のうち法的に保護されているのは14%のみである。SISPAは、現在の保護地域政策でカバーされていない重要地域を見出すことで、開発と保護の対立を事前に回避することを目指している。
 1980年代末〜1990年代は遠くにある特別な「奥山」の保護が進んだ。21世紀では、身近な自然(目に見えないもの)の保護が課題である。

1.2木材調達について(坂本委員)
 欧米での木材調達は、90年代からのNGOの抗議運動によって、企業が自主的に木材調達方針を採択したことで始まった。その後、英国、EU等の政府が調達方針を定めた。
 EUでは、包括的な違法伐採対策として、FLEGT(森林法とその施行、ガバナンス、貿易)を実施。英国では、合法性だけでなく、持続可能性を求めている(実態的には、認証があればよいことになっている)。しかし、英国の基準は社会性(現地住民の権利など)が十分ではない。オランダの基準は社会性が厳しく、FSCもこの基準に達しないほどである。
また、EUは、生産国との2国間協定によって合法性が証明された木材のみを輸入許可する制度を開始している。英国では、水際で規制すべきではないかという議論が出ているが、現時点では、導入されていない。
 米国では、レイシー法を2008年に改正し、生産国の国内法に違反して伐採されたものは、米国への輸入、国内取引等が禁止となった(どの程度厳密に運用されているかは不明)。
日本では、グリーン調達法(政府調達)の改正により、合法性や持続可能であるものとしているが、その厳密な定義(判断基準)がない。様々な認証制度の検証は行っておらず、企業に自主性に任している。日本で欠けているのは、@サプライヤーの違法伐採の理解、A生産国への支援、B合法性や持続可能性の基準の明確化、C水際の対策(日本政府はWTOとの関係から否定的であるが)。

1.3 積水ハウスの木材調達の取組み(木戸委員)
 木材調達ガイドラインの制定など生物多様性保全に取り組んできた。企業がCSR調達に取り組む理由は、市場では、製品の品質、価格、配達のみならず、プロセスが重視されていることによる。
当社では、国のグリーン調達方針が木材の合法性と持続可能性に配慮すべきとしていることから、10項目の木材調達ガイドラインを定めた。社内で点数で評価できるようにし、安定供給とのバランスを取ることとした(ただし、合法性と絶滅危惧種リスクは最低限満たす必要がある)。
住宅産業は基本的に組み立て産業であり、多くのサプライヤーで成り立っているため、当社では、サプライヤーを集めて調達方針とその運用方法の詳細な説明を行った。調達レベルが低い木材は、レベルの高いものに切り替えを行った。
フェアウッド調達に関する政策課題は、次の通りである;@調達木材の伐採地に至るトレーサビリティの向上のための制度設計;Aフェアウッド採用に対する経済的支援(認証コストなどは企業負担となっているのが現状);B木材認証制度同士の関係の整理;Cフェアウッドに関する一般生活者へのプロモーション。

1.4米国での生物多様性保全への取組み(岡本委員)
 2009年5月の米国出張の報告があった。今回のテーマである原材料調達については、ヒューレッドパッカード社はサプライヤーが8,9次まであってその管理は非常にむつかしい。また、米国では生物多様性という言葉は使わないで、その保護を実際には行っている。日本では生物多様性といっているが、これが逆に多くの人が生物多様性から引いてしまう原因となっているのではないか。


U.討議
本研究会での今後の検討方法について議論された。主な論点は下記の通り。
- 昨年度(平成20年度)に企業の取り組みに関する検討を行ったのであるから、本研究会では、企業との関係での政策に焦点を当てて議論してはどうか。
- 政策提言を議論するためは、現状の問題点や政策提言が企業から見てよいかどうかなどを十分議論する必要があるので、来年3月までに結果を出すためには、検討課題は絞るべきだ。
- 原材料調達は、本来は国の調達方針であり、企業はこれを習うということであるので、企業の調達方針の議論では、国の政策も議論すべき。
- 原材料調達しては、木材に焦点を絞って検討するというのは理解できるが、木材を購入する業種は限定されているので、紙などにも拡張してはどうか。
- 多くの自然開発は、国が主体と実施するものであるので、生物多様性を保護するためには、国の政策を検討するべきである。
- 政策提言は、企業、行政、市民が協力できるようなものにすべきではないか。また、欧米の良い事例があれば、それも参考すべきである。


V.今後の予定
今後限られた時間内で政策提言を十分議論できるよう、次回の分科会(10月3日、10月17日)では、事前に具体的な案を持ち寄って、整理した上で、討議することとなった。このため、分科会の参加者は、できる限り、9月4日(金)までに政策提言のメモを宮崎あてに提出することとなった。

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