【生物多様性とCSRの関係(1)】
「生物多様性」という固有のものを指さない「概念」も、「限りある資源」です。一度失われた自然や絶滅した生物は、たとえこの先、科学が発展しても完全に元通りにすることは出来ないでしょう。自然界から直接資源を得る、第一次産業を担う企業は、その活動と生物多様性が密接な関わりを持つため、安価だったり楽な方法に頼れば環境を損なってしまうというジレンマと昔から戦ってきました。
しかし、今この文を読んで頂いている方の中にも、「日本の多くの企業は環境を損なう様な業務を行っている企業はあまりなく、生物多様性とはほとんど関係ないのでは」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。ところが、実際は必ずしもそうではないのです。
例えば外国と日本の間で商品をやりとりする輸出入業(商社)や、生産者と加工業・小売業の仲立ちをする卸売業などがただ安いだけで取り扱う商品を選び、上に書いたような「安いけど環境を損なって生産された商品」ばかりを扱ってしまえば、普通の商品は市場から消えてゆくでしょう。一見、取り扱う品目の量に比べ殆ど何も消費しない卸売業も、「生物多様性を破壊した商品が出回るか、出回らないか」を、操作する力を持っていて、そこには確かに「責任」が存在しています。
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