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インドネシア・チレボン石炭火力発電事業
【現地NGOプレスリリース】
インドネシア環境団体が現地政府に司法通知を提出
日本と韓国が支援する西ジャワ州チレボン石炭火力事業・拡張計画
要点:
・ バンドゥン地裁によって違法と宣言された旧許認可の代わりに、新しい環境許認可が2017年7月17日に事業者であるチレボン・エネルギー・プラサラナ社(CEPR社)に対して発行された。バンドゥン行政裁判所は、地方空間計画に違反が見つかったため、同許認可は「法的に欠陥がある」と宣言した。
・ 環境団体は、新しい環境許認可が、環境に関する2009年法律第32号で規定されている司法手続きや内容に違反していることを確認した。特に、根拠となる前提への対処がなされていない。
・ 新しい環境許認可は、協議会も一切開かれぬまま、透明性、アカウンタビリティー、参加を確保した形での意思決定の原則を完全に無視して発行され、違法な石炭火力発電所の建設が遅れることがないよう、性急な形で発行された。
2017年11月14日バンドゥン発 ― 国際協力銀行(JBIC)と韓国輸出入銀行(KEXIM)がインドネシア西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業・拡張計画に対する1回目の貸付を行なった今日、同事業に対する新たな司法に係る異議が提出された。
インドネシア環境フォーラム(WALHI)は同西ジャワ州支部を通じ、バンドゥン法律扶助協会(LBH)、および、コミュニティーや草の根組織とともに、西ジャワ州政府に対し、今日、司法通知を提出した。
同通知は、1000 MWの拡張計画を進める事業者に対し発行された環境許認可に対し、同団体の異議を表明したものである。同許認可は、2017年4月のバンドゥン行政地裁によって違法と宣言された旧・許認可の代わりに発行されたものである。
同通知は、気候正義のための提言チームにより正式に提出され、西ジャワ州投資・ワンドア統一サービス局の局長宛てとなっている。
新しい環境許認可は、チレボン拡張計画について環境面での問題はないと7月13日に宣言した同局の決定に続き、7月17日に同局により発行された。
「私たちは、西ジャワ州政府が私たちの要求に答え、環境法に明確に違反している新しい環境許認可を取り消すよう要請する。また、同許認可の要件とされる法的根拠については、何ら対処や変化はないままである。したがって、地方空間計画に違反し続けている状況である。」とバンドゥンLBH、および、同司法通知の署名者でもあるShahriは述べた。
同許認可は、住民参加がまったくないなか発行されており、環境アセスメントや環境許認可の手続きにおいて、住民参加を要件としている2012年大臣規則第17号に明確に違反している。
チレボン石炭火力発電所の拡張計画は、チレボン・エネルギー・プラサラナ社によって進められ、日本の輸出信用機関であるJBICが主に支援している。JBICは、インドネシア法を尊重する市民社会の注意喚起もあり、議論を呼んでいる同事業の司法問題を以前から認識してきた。
JBICは、同事業に対する貸付を一時停止し、同事業の評価を行なうために専門家も活用してきた。このことは、同事業が違反している法律について、JBICがよく知っていることを示している。
同事業に対する別の融資者は、韓国輸出入銀行である。韓国で最近あった国家監査において、韓国輸銀の総裁は、戦略金融委員会から海外の石炭関連事業への投資リスクについて質問を受けている。
「JBICや韓国輸銀は、訴訟の判決を知りながら、依然として貸付を行なう決定を下した。これはインドネシア法を明らかに軽蔑していることに他ならない。」とWALHIのエネルギー・都市問題キャンペーナーは述べた。
「政府は、チレボン拡張計画が継続できるよう、あらゆることをしている。違法行為や自身のもつ空間計画法に対し、また、同拡張計画で引き起こされる環境被害に対し、そして最も重要なことに、同計画に反対している住民の声に対して、政府は自ら目をつぶり、耳をふさいでいる。」
司法通知を受け取った者は、7日で同通知の要求を満たすよう求められている。もし、同要求が満たされず、解決が図られない場合には、同チームは更なる司法段階に進むこととなる。
連絡先:
• Syahri : +62 822 1446 2369
• Dadan Ramdan : +62 8221 1675 968
• Dwi Sawung. : +63 999 4120029
(※)インドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業
1号機は、丸紅(32.5%)、韓国中部電力(27.5%)、Samtan(20%)、Indika Energy(20%)の出資するチレボン・エレクトリック・パワー社(CEP)がインドネシア国有電力会社(PLN)との間で30 年にわたる電力売買契約(PPA)を締結。総事業費は約8.5億米ドルで、融資総額5.95億ドルのうちJBICが2.14億ドルを融資した。2012年に商業運転が開始されている。2号機は、丸紅(35%)、JERA(10%)、Samtan(20%)、Komipo(10%)、IMECO(18.75%)、Indika Energy(6.25%)の出資するチレボン・エナジー・プラサラナ社(CEPR)がPLNとの間で25年にわたるPPAを締結。総事業費は約22億米ドルにのぼり、うち8割程度について、JBIC、韓国輸銀、日本・オランダの民間銀行団が融資を供与する(JBICはうち7.31億ドル)。現場では本格着工に向け、アクセス道路の整備や土地造成作業などが進められており、2021年に運転開始見込み。
詳細はこちら → https://www.foejapan.org/aid/jbic02/cirebon/background.html
●関連WEBサイト
「JBICの石炭発電融資にNo!」プログラムについて → https://sekitan.jp/jbic/