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インドネシア・チレボン石炭火力発電事業
西ジャワ州チレボン石炭火力拡張: 住民が行政訴訟 「インドネシア環境法に違反」
国際協力銀行(JBIC。日本政府100%出資)が融資を検討しているインドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業・拡張計画(1000MW。総事業費約20億ドル。丸紅、中部電力が出資)に関し、12月6日、地元住民らが「不当に環境許認可が発行された」と、西ジャワ州政府に対する行政訴訟を起こしました(原告は6名。住民弁護団は17名で構成)。
(写真左)チレボンに関する行政訴訟の手続きを完了した住民弁護団。西ジャワ州バンドゥン行政裁判所前。(2016年12月6日。WALHI西ジャワ撮影)
(写真右)チレボン石炭火力拡張計画(2号機)の事業予定地と周りに広がる塩田。アクセス道路の整備や土地造成作業が一部で始まっている。(2016年10月。WALHI西ジャワ撮影)
同事業は既設の1号機(660MW)について、先月11月10日、地元住民らがJBICに対する異議申立書を提出。小規模漁業や塩づくりなど生計手段への深刻な影響を指摘しました。住民らは2号機の拡張計画が進めば、さらに被害がひどくなると懸念し、拡張計画の中止を求めています。
以下、現地NGOのプレスリリース(和訳)になります。
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プレスリリース
住民が石炭火力発電事業に関し、西ジャワ州政府を起訴
バンドゥン発 2016年12月6日― (インドネシア)西ジャワ州チレボンの石炭火力発電所拡張計画の影響を受けるコミュニティーが、本日、西ジャワ州政府が同事業に対する環境許認可の発行を決定したことに関し、(行政)訴訟を起こしました。住民は同許認可が多くの構成・手続要件を満たしておらず、法律に違反していると主張しています。拡張計画はチレボン県アスタナジャプラ郡、および、ムンドゥ郡で実施されるものです。(訴訟を起こした)住民環境保護(RAPEL)は「気候正義のための提言チーム」を弁護団とし、バンドゥン行政裁判所で起訴しました。
環境許認可(番号660/10/19.1.02.0/BPMPT/2016)はチレボン石炭火力発電所の拡張計画(1,000 MW)を許可する手続きの一つとして、2016年5月11日に発行されました。新規の同発電所は204.3ヘクタールを利用し、チレボン・エナジー・プラサラナ社(CEPR)によって実施されます。同訴状によれば、許認可は手続・構成要件を満たしておらず、多くの点で法律に違反しています。
既設のチレボン石炭火力発電所は、地元住民の生計手段に大変大きな悪影響を及ぼしました。拡張計画によって、小規模漁業、小エビとり、貝採り、テラシ(小エビのペースト)づくり、塩づくりをしているより多くの住民が生計手段を失う恐れがあります。カンチ・クロン村のほぼすべての住民が生活の糧として沿岸の自然資源に依存してきました。(しかし、)多くの貝類、魚類、エビ類、その他の生物を見つけるのがどんどん難しくなっています。1号機による損害や環境破壊は、地元カンチの住民に悪影響を及ぼしてきました。2号機が建設されれば、状況は悪化するでしょう。また、同事業はすでに社会間の対立を引き起こしたり、地元コミュニティーの社会構造を悪化させてきました。
コミュニティーの代理となる弁護団(17名)の一人Muhnur Sathaya Prabu.SHは、空間計画法(2007年法律第26号)、環境管理法(2009年法律第32号)、環境許可(2012年政令第27号)、環境影響評価文書手続き(2012年環境大臣規則第16号)、環境影響評価住民参加及び環境認可手続き(2012年環境大臣規則第17号)といった複数の法律や規則に違反していることから、環境許認可に関する審議がなされることになると述べました。つまり、環境許認可は適切な法の適用を監督することができておらず、無効と考えられます。
RAPELのコーディネーターであるMoch Aan Anwaruddinは、環境アセスメント(EIA)の土台となるべきプロセスにおいて、特にアスタナジャプラ郡の影響住民の声が取り入れられなかったと説明しました。
「プロセスに参加を許された住民は、同事業の直接影響を受ける住民の意見を代表していません。実際、私たちは2016年5月にチレボンとバンドゥンで開催されたEIAに関する協議の場に招待されていないなかでも、カンチでの2号機の石炭火力発電所の建設に異議を表明するため、出席を求めました。」
「小規模漁民や塩づくりに従事している地元住民の生計手段は、新規の発電所によってさらに悪化するでしょう。同時に、すでに起きている社会的な摩擦を悪化させ、1号機の建設ですでに見られたような社会の分裂につながる可能性があります。現在起きている土地紛争は言うまでもありません。」とMoch Aan Anwaruddinは述べました。
インドネシア環境フォーラム(WALHI:FoEインドネシア)西ジャワ州の提言運動担当であるWahyu Widiantoは、「35,000 MWの新規発電容量計画のうち、22,000 MWを石炭ベースで賄うというインドネシア政府の政策は、健全な環境で過ごす住民の権利や生活の糧と生存に必要な自然資源へのアクセスといった住民の権利にまったく違反しています。これらには、土地、食料、水、大気に対する権利も含まれます。したがって、環境許認可は取り消されなくてはなりません。」と述べました。
また、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)でのパリ協定を批准した2016年法律第16号の可決により、インドネシア政府は国際的に公約した排出削減量に見合うエネルギー・セクターの目的を立てなくてはなりません。したがって、ジョコ・ウィドド大統領はインドネシア、特に西ジャワ州でのこれ以上の石炭火力発電所の新規建設計画を見直し、中止しなくてはなりません。
詳細はこちらの問合せ先まで:
Moch Aan Awaruddin / 0877 8561 7564 (RAPEL).
Dhanur Santiko, SH / 0811 2220 363
Wahyu Widianto/ 0813 2042 3076 (WALHI Jawa Barat)
※インドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業について
1号機は、丸紅(32.5%)、韓国中部電力(27.5%)、Samtan(20%)、Indika Energy(20%)の出資するチレボン・エレクトリック・パワー社(CEP)がインドネシア国有電力会社(PLN)との間で30 年にわたる電力売買契約(PPA)を締結。総事業費は約8.5億米ドルで、融資総額5.95億ドルのうちJBICが2.14億ドルを融資した。2012年に商業運転が開始されている。
2号機は、丸紅(35%)、Indika Energy(25%)、Samtan(20%)、Komipo(10%)、中部電力(10%)の出資するチレボン・エナジー・プラサラナ社(CEPR)がPLNとの間で25年にわたるPPAを締結。総事業費は約20億米ドルにのぼり、うち8割程度について、現在、JBIC、韓国輸銀、日本・フランスの民間銀行団が融資を検討中。現場では本格着工に向け、アクセス道路の整備や土地造成作業などが進められている。2020年に運転開始見込み。
詳細はこちら → https://www.foejapan.org/aid/jbic02/cirebon/background.html
●関連WEBサイト
「JBICの石炭発電融資にNo!」プログラムについて → https://sekitan.jp/jbic/