輸出信用機関キャンペーン
ECA改革キャンペーン
OECD(経済協力開発機構)各国は、自国企業の輸出や海外向けビジネスを後押しするために、民間の保険ではカバーしきれないリスクを公的資金で保証する公的輸出信用機関(Export Credit Agencies =ECA)を設置し、貿易保険などを運用しています。
しかし、人権侵害や環境破壊をもたらす大型事業に公的資金が使われることへの批判が1990年代から高まり、ECAの改革が国際的な課題になりました。
その後、多くのECAにおいて環境ガイドラインの策定が進められましたが、内容は不十分です。世界銀行グループや国際金融機関が援助を見送るようなリスクの大きい事業へも資金援助を行うことが多く、これらの事業による環境社会影響は深刻なものとなっています。
温室効果ガスを排出する発電所や大規模ダム、採掘事業、原生林での道路開発、石油パイプラインなどは、環境、政治、社会、文化的影響にリスクが大きいため、ほとんどの場合、ECAの資金援助がなければ成り立ちません。こうした事業による影響を防ぐには、ECAの環境政策を充実させることが重要です。
1998年3月、ドイツのメセムに46ヶ国163のNGOが集まり、ECA改革に取り組む国際キャンペーン「ECA Watch」を旗揚げしました。FoE Japanはこの国際キャンペーンに参加する日本で唯一のNGOです。
ECA Watchのホームページはこちら
>https://www.eca-watch.org/index.html
※ ECA(Export Credit Agencies)
政府が保証する資金や保険を、海外で事業を行う私企業に対して提供する公的機関。ほとんどの先進国が少なくとも1つのECAを有する。
日本では国際協力銀行(JBIC)の行う国際金融等業務がECAとしての役割を担っている。
キャンペーンの目的
「ECA Watch」は2000年5月、ECA改革キャンペーンの方針を定めたジャカルタ宣言を採択しました。
この宣言にはキャンペーンが掲げる目標や要求事項が盛り込まれました。
・ ECAやOECDのECA作業チームによる情報の透明性・一般からのアクセスの確保
・ 国際金融機関の手続きや基準に劣らず厳格で、拘束力のある共通の環境社会ガイドラインおよび基準
・ ECAの業務の指針となる明確な人権基準の採択
・ ECAが汚職を助長するような事態をなくすための拘束力のある基準およびガイドラインの採択
・ 経済的に生産性の高い民間投資のみに資金援助をするというコミットメントの採択
・ 発展途上国に対するECA債務の包括的な救済措置の採択
【主な活動】
自国政府に対する働きかけのほか、次の活動を国際的ネットワークを活かして行っています。
1. 各国ECAのプロジェクト・政策に関する情報交換
2. OECD(海外経済協力機構)やG8サミット等、国際交渉の場における働きかけ
3. ECAプロジェクトのケーススタディ 等
これまでの活動
***ECA Watch全体の活動情報はECA Watchホームページをご覧ください***
2021.10.28 報告書発行:日本はG20諸国の中で化石燃料への最も大きな資金源の一つ-日本の化石燃料への公的支援はG20で2番手にーエネルギー関連事業への公的支援に関する最新報告書が指摘
2021.05.04 【海外NGOによるプレスリリース】政府機関による化石燃料融資に気候訴訟リスクのおそれ
2020.03.19 報告書発表:日本は気候危機を最も助長 G20諸国の輸出信用機関の中で石炭など化石燃料への投融資が最大 -米NGOの報告書で明らかに
2018.11.06 報告書発表:日本が何百万トンもの温室効果ガス排出を支援 ― 米NGOの報告書で明らかに
2014.11.05 輸出信用機関の石炭火力支援方針に関し、日本政府にNGO提言を提出
2005.12.‐‐ OECDの輸出信用アレンジメント改訂
2005.09.05 OECDによる環境対策という名のもとの大型ダム開発
2005.04.07 大規模水力を自然エネルギーに加えるべきではない! NGOからのレター(PDF版)
2003.12.18 OECDが輸出信用機関における共通の環境ガイドラインを採択(PDF版)
2002.07.23 NGOが報告、G8各国の輸出信用機関による原発輸出支援の実態
2001.05.14 OECD閣僚理事会でOECD輸出信用グループは環境配慮に後ろ向き
2000.05.‐‐ 続くインドネシアの暴力と混乱・ECAの責任を問う -「ジャカルタ宣言」発表-
1999.10.26 OECDで輸出信用機関の環境基準、協議本格化」
1999.10.26 NGOの提言
1999.10.‐‐ 各国の輸出信用機関の動き
1999.10.26 「輸出信用機関の共通のガイドラインを策定するにあたって
1998.05.‐‐ 「輸出・海外民間投資支援機関の環境基準の分析」イエール大学
1999.03.31 輸出信用・投資保険機関の改革への国内外のNGOの要求(概要)