G-bio石巻市バイオマス火発に、日・モザンビークのNGOから中止要請 燃料生産にモザンビークの広大な土地を占有 「形を変えた植民地主義」と批判

バイオマス
建設予定地と建設予定地周辺で立ち並ぶ事業反対ののぼり

本日、日本およびモザンビークで環境や人権、国際協力などに取り組むの3つのNGOが連名で、株式会社G-Bioイニシアティブ(東京都千代田区)に対し、同社が宮城県石巻市で進めるバイオマス火力発電所(出力102,750kW)について中止を求める要請書を発出しました。

同社はこの発電所の燃料として、モザンビークの大面積にわたる土地()でポンガミアというマメ科の植物を栽培し、日本に輸入する予定です。

要請書では、栽培地が「荒廃地」にみえたとしても「独自の生態系が育まれていたり、もしくは住民が季節的に使っていたりする土地であることもしばしばある」とし、「広大な土地に、単一の外来種を植えることは、地域の固有の生態系に大きな負の影響をもたらす」と指摘しています。

土地や農民の権利擁護、環境問題などに取り組むモザンビークのNGO 「Justiçia Ambiental! (Friends of the Earth Mozambique)」土地・生命・生態系プログラムコーディネーターのヴァネッサ・カバネラス氏は、「日本の電気のためにこのように広大な土地を占有することは、形を変えた植民地主義だ」と批判し、事業の中止を求めるとともに、ポンガミアを栽培する土地に関する情報開示を求めています。

同発電所をめぐっては、騒音・振動・悪臭など生活環境の悪化が生じるおそれがあるため、地元自治体や住民が反対しており、石巻市議会、宮城県議会の両議会は、全会一致で「G-bio発電所建設は中止すべきと国に意見書を提出する」と決議しています。

今回の要請書提出によって、燃料生産が予定されているモザンビーク側の市民社会からも懸念の声があがったことになります。

注)2021年7月11日、石巻市須江地区で行われた住民説明会後、住民およびFoE Japanスタッフに対し、G-bioは栽培地の面積に関して「40万ヘクタール」と説明しました。しかし、本要請書を発出後の10月19日の電話でのやりとりで、”40万ヘクタールというのは事実と異なる”と述べました。現在、面積に関しての詳細は確認中です。

要請書本文は以下の通りです。

要請書>PDF版


2021年10月15日

株式会社G-Bioイニシアティブ
代表取締役会長 髙𣘺 俊春 様
代表取締役社長 柳沼 紀之 様

Friends of the Earth Mozambique/Justiçia Ambiental!
国際環境NGO FoE Japan
日本国際ボランティアセンター(JVC)

G-bio石巻須江バイオマス火力発電事業の中止を求める要請書と質問書

私たちは、貴社が宮城県石巻市須江地区で計画されているG-bio石巻須江バイオマス火力発電所(出力102,750kW)が、日本にもモザンビークにも、大きな環境社会影響をもたらすことを懸念しています。

貴社は燃料の原料となるインド原産のポンガミアを栽培するため、モザンビーク中西部で40万ヘクタールもの土地を使うと説明されています。貴社は、「荒廃地」を使うとしていますが、具体的にどの土地なのかは説明していません。一見「荒廃地」にみえたとしても、実はそこに適した植物が生育し、独自の生態系が育まれていたり、もしくは住民が季節的に使っていたりする土地であることはしばしばあります。百歩譲って何も生育していない土地であったとしても、また住民が使っていない土地であったとしても、40万ヘクタールもの広大な土地に、単一の外来種を植えることは、地域の固有の生態系に大きな負の影響をもたらします。

日本の電気をつくるために、このように広大な土地を占有することは、形をかえた植民地主義ともいうべきものです。

また、栽培、加工、長距離輸送、燃焼などライフサイクルでみれば、この事業は膨大な量の温室効果ガスを排出します。

発電所の建設予定地周辺には小学校、保育所、住宅地があり、振動、悪臭、大気汚染など生活環境の悪化、燃料を運ぶ大型トレーラーの通行増加による危険性などがあり、須江地区の住民が強く反対しています。

以上のことから、私たちはこの事業の中止を強く要請いたします。

あわせまして、以下について明らかにしていただけますようお願いいたします。

  1. モザンビークでの栽培地の具体的な場所はどこか
  2. 土地はすでに取得しているのか
  3. 栽培計画およびスケジュール
  4. 栽培事業の許認可はとっているのか

以 上


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