サヨナラCoal! – 気候変動に脅かされる途上国市民社会からの声

気候変動2024.7.10

action 2昨年のCOP23の会場において、日本が市民社会からの厳しい批判を受けたことを皆さんは覚えているでしょうか。それから約1年、日本の化石燃料融資に対する批判の声が、再びCOPの会場内に響き渡りました。

会場内でのアクションでは、特定の国名や企業名は名指しできないという制約があるため、工夫を凝らしてのアクション。気候変動の脅かされる途上国市民社会からの声が叫ばれました。

インドネシアで鉱山開発問題などに取り組むJATAMのスタッフ、アルウィヤ・シャウバヌ氏は、“日本はインドネシア有数の石炭事業への融資国。日本の国際協力銀行は、北カリマンタンの鉱山開発、そして(他の州での)石炭火力発電所に融資している。これらの鉱山や石炭火力発電所の建設計画地近くでは人権侵害が横行し、環境が汚染され、(住民たちの)土地も奪われ、そして生計手段をも奪っている状況です。日本はいますぐ、この私たちの生活を奪う破壊的な事業をやめるべき。”とスピーチ。

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FoE Japanの深草も、次のようにスピーチしました。

日本はG20の中で、化石燃料事業に対する最も高額な公的資金の融資国。世界の平均気温上昇を1.5℃に抑え、世界の温室効果ガス排出量を今世紀後半までにゼロにすることを目標に掲げたパリ協定の採択後も、日本の石炭火力発電の技術は高性能であると謳い、未だに融資を続けている。日本が融資している事業は、気候変動の影響を悪化させているだけなく、近隣住民への人権侵害、土地収奪、そして生計手段の喪失を引き起こしている。日本においても、今年の夏に度々見舞われた豪雨のように、気候変動の影響を無視できない状況になりつつある。今、日本に求められているのは、気候変動への影響に対する歴史的責任の下、途上国への削減支援する資金の拠出、そして、人々の命を中心に据えた気候変動への解決策であるべき”
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action 1また、気候ネットワークインターンの塚本悠平さんからは、

“日本が今本当に必要としているものは石炭ではない。必要なのは、再生可能エネルギー100%の社会への移行だ。今、行動を起こさないと、気候変動はより悪化し、将来世代への影響が大きくなる。エネルギーの効率化や再生可能エネルギーの技術など、私たちはすでに解決策を持っている。政府の皆さん、今すぐ、方向転換を。”

温室効果ガスを最も排出する電源である石炭火力からの脱却の流れが世界で加速している一方、日本はいまだに国内外で石炭火力を推進しています。昨年COP23期間中にも、日本の丸紅株式会社がベトナムで低効率の石炭火力発電所事業を進めていることが発覚し、大きな批判を呼びました。しかし、批判を浴びたにも関わらず、2018年4月に日本の公的金融機関である国際協力銀行は、同事業への融資を決定しています。

この一年間、気候変動の影響を受ける途上国の市民社会は期待をもって見守っていたはずです。しかし残念ながら、日本は世界の期待に応えるようには進んでいません。また、米国の環境団体によると、G20諸国の中で公的資金を使って化石燃料を支援している最大の国は日本であると報告されています (注1)。パリ協定の温度目標達成のためには今世紀後半の脱炭素化が必要であるため、石炭だけでなくその他の化石燃料からの脱却も加速する必要があります。今、方向転換できなければ、今後ますます孤立の道を歩むことになりかねません。

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(高橋英恵・深草亜悠美)

(注1) http://priceofoil.org/content/uploads/2017/07/talk_is_cheap_G20_report_July2017.pdf

 

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