【声明】温室効果ガス削減目標2013年度比46%削減では不十分―気候正義にもとづきさらなる引き上げを!
2021年4月22日、米国バイデン大統領が主催する気候変動に関するリーダーズサミットにあわせ、「2013年度比46%削減、さらに50%(減)の高みに向けて挑戦を続ける」という日本の新たな温室効果ガス削減目標が発表されました。
「2013年度比46%削減」は、1990年比で約40%削減にとどまり、気候危機の現状と気候正義(Climate Justice)に見合うものとは到底言えません。歴史的責任を加えた「フェアシェア」の観点でみれば日本は本来、2025年頃には国内排出量をゼロにしなければならないほど、先進国としての責任は大きいものです(*1)。
現在進行中のエネルギー基本計画見直しの中で行われている議論は、石炭火力発電を2030年、そして2050年まで使い続け、新増設や新型炉も含めて原子力にも頼るというものです。まさに4月22日に開催された基本政策分科会でも、原子力や化石燃料も引き続き重視していくという議論が繰り広げられました。これは本来進めるべき省エネルギー、再生可能エネルギーへの取り組みに背を向け、妨げるものでしかありません。
4月22日、FoE Japanも呼びかけに参加した「緊急気候マーチ0422」のアクションが各地で行われました。横須賀では、建設中の石炭火力発電所の前で、約20名の市民が「脱石炭」の声をあげました。経済産業省別館前では、10代から20代の若者を中心に約100名が距離を取りながら集まり、「温室効果ガス削減目標の大幅引き上げを」求める声を上げました。
大幅な温室効果ガスの削減に加え、今ある社会の格差・不平等を解決しない限り、気候正義は達成されません。コロナ禍により、日本国内でも格差が広がっています。また一部の裕福な国と途上国の間のいわゆる南北格差も広がる一方です。行動が遅れれば遅れるほど、今後の状況改善や問題解決が難しくなります。FoE Japanは、「気候正義ーClimate Justice」の考え方に基づき、誤った対策を用いることなく、国内での最大限の削減努力と抜本的な社会変革を行うことを引き続き求めます。
<脚注>
(*1) Climate Equitey Reference Projectより。https://climateequityreference.org/
<写真>
左:横須賀石炭火力発電所建設地を一望できる展望エリアにて。
「日本の脱石炭」実現への想いを込めたFridays For Future Yokosukaのアクション。
右:夕方、経産省前でのスタンディング。10代から20代の若者を中心に約100名が距離を取りながら集まった。
■2021/4/20に発出した声明「日本政府は気候正義に基づき気候変動目標・対策の強化と実施を」はこちら
・気候正義の視点を政策に反映し、責任に見合った削減目標設定を
・排出削減に繋がらず、新たな問題をも生み出す「誤った気候変動対策」や、行動を先延ばしにするだけの「カーボンニュートラル」は否定されるべき
・石炭火力発電の全廃、化石燃料依存からの脱却に向けた道筋を示すべき
・気候正義と人権の視点に基づいた途上国「支援」を
・気候変動・エネルギー政策策定のプロセスを民主的に行うべき
関連リンク
・気候危機とコロナ禍からのシステム・チェンジを
・ 気候変動アクションマップ「System Change not Climate Change – 気候正義のために立ち上がろう!」
・「気候変動から世界をまもる30の方法」FoE Japan編、合同出版、2021年
・パワーシフト・キャンペーン
・スクール・オブ・サステナビリティ〜気候変動の危機から世界を守るために立ち上がろう!〜