「首都圏CCS事業を中止してください」1万2000超の署名を千葉県に提出
2026年4月に発足した住民団体「九十九里の海をまもる会」が、4月から呼びかけていた署名「九十九里の海をまもってー二酸化炭素を九十九里沖海底に捨てる首都圏ccs事業を中止してください」を10月28日、千葉県知事あてに提出しました。署名は、提出時点で合計12,898筆であり、呼びかけは続けられています。
FoE Japanも提出と意見交換、その後の記者会見に同席しました。
署名提出およびその後の意見交換には、千葉県のカーボンニュートラル推進課を中心に、環境政策課や水産課などから10名以上の職員が同席しました。

千葉県への署名提出と要望提出
市民側からは「九十九里の海をまもる会」、「CCS事業の中止を求める会(九十九里町)」、「首都圏CCSを考える西かずさの会(内房地域)」など約15名が参加しました。
事前に提出してあった要望および質問に対し、最初に県からの回答がありました。
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その概要は以下の通りです。
要望1:地元の理解が進んでいるとはいえない状況では、推進せず一旦立ち止まってほしい。
千葉県は、試掘の特定区域指定にあたり、知事コメントに「国・関係自治体と緊密に連携し、地元のご理解を得ながら、安全確保と環境保全を最優先にこの事業が進展するよう、取り組んでまいります。」とあるように、この事業を推進する立場をとっているが一旦停止してほしい。
→回答:事業者からの説明会や広報誌によって事業について周知をしている。県としては地元に寄り添った周知を引き続き求めていく。 8月下旬に(重油流出などの)事案があったことは県としても遺憾。引き続き安全確保と環境保全の最優先を事業者に求めていく。
要望2:「CCS事業に関する連絡会議」等を住民の意見を反映できるものにしてもらいたい。
県に設置されている「CCS事業に関する連絡会議」構成員はどのように決定されたのか経緯がわからない。地元の関係者とは、パイプライン通過自治体と漁業協同組合しか見当たらない。さらに関連企業が多数名を連ねているだけである。海は「漁業協同組合」のものではない。利害関係を有する他の観光業界団体や「市民」がどこにも入っていない。
→回答:連絡会議については、自治体や漁協など事業に直接関連する団体を中心に事業者に対して丁寧な説明を求めており、その中で市民に対しては事業者から直接伝えてもらう。
自治体については、事業に直接関係する自治体である。
要望3:CCS事業に関して影響調査をするべきである。
九十九里浜は県立九十九里自然公園に該当する県民の財産である。この自然・文化・6000年にも渡る美しい風景の歴史がすでに毀損されている。沖合とはいえ、浜と海は一体であるはずだ。そういった点も勘案するなら、試掘の時点で自然や社会に関する影響評価を実施するよう、国に要望すべきであった。いずれにせよ、本事業に関して独立した第三者機関にて影響評価をしてから県の立場を決定するべきではないか。
→回答:(8月下旬の事故・事案とハマグリの大量死について)因果関係がないと回答はしていない。県としては、独自の調査をしており産卵後の体力低下や大雨後の土砂の影響の可能性を考えているが、試掘との関連はわからないとしている。
要望4:千葉県は首都圏CCS事業に関連して、住民が自由に議論できるよう環境整備に努めることを強く求めるものである。
一部の団体等では、個人的な意見であっても表明することが、憚れるといったこともおきている。これは明らかな人権への侵害であり、民主主義をないがしろにするものである。
→回答:県民の賛否について県民投票やアンケートを実施する計画はない。
要望5:千葉県は国に対し、CCS事業への支出よりも豪雨や台風被害に関する拠出を優先するよう求めてほしい。
この点について、数多くの声が私たちには届いている。限られた予算の配分に関して、この地域は土砂災害も多く、地盤沈下など、地盤にさまざまな問題を抱える。そのような地域で80kmものパイプラインを通す工事に予算を配分するのではなく、復興を優先させるよう国に要望すべきである。
(パイプラインのガイドラインを見ると通すことが難しい内容であると思うが)
→回答:できると認識している。
要望6:千葉県はCCS事業と地震の可能性を調べ、国に進言してほしい。
CCSが地震を誘発する可能性については、すでに報道もあるとおり学術論文などでも指摘されている。さらに、これまで日本で行われたCCSの実証実験、長岡と苫小牧のいずれにおいても、期間中に掘削地より20-30kmの地点を震央とする震度7の地震が起きている。
→回答:CCS事業と地震については、カーボンマネジメント小委員会で因果関係はないと結論づけられている。県として独自の検討はしていない。
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意見交換の概要
県からの回答は、県としては「CCS事業に関する連絡会議」で事業者や漁協、自治体などと連絡・相談を行っており、その中で事業者に住民への説明を求めている、住民への詳細な説明は事業者が行っていると認識している、とのことでした。
*千葉県CCS事業に関する連絡会議:https://www.pref.chiba.lg.jp/carbon/ccs/index.html
千葉県自身も、県としてカーボンニュートラルを掲げているなかで、その達成のための手段として首都圏CCS事業を推進する立場にあります。
京葉工業地帯を抱え、重工業による温室効果ガス排出の多い千葉県にとっては、そこから排出されるCO2を回収する必要があるということでしょう。
しかし、地域や住民への影響の調査、そして理解を得るプロセスについては、ほぼ事業者に任せており、県として独自の検討や調査は行われていません。
参加者からも、
「海岸の近くに住んでいる。ほとんどの人が不安を持っている。自治会では情報共有されていても、自治会に入っていない人には届かない。環境アセスも行われていない。
九十九里の住民にとってはメリットがなく、リスクと漁業への影響しかない。 」
「千葉県が民主的な自治体かどうかが問われている。首都圏CCS事業についてはほとんど知られていない。この状況で市町村のトップだけが進めていく。しかしその影響を受けるのは地域住民。国の事業だといっても、その舞台は千葉県である。例えば連絡会議も、県民が自由に参加できるようになり、多くの人が認知する状況にするべき。」
などと声が上がりました。
九十九里の海をまもる会代表の品田知美さんは、
「(一方的な)説明をしてもらいたいわけではない。対話をしたい。県には、独立の立場で判断いただきたい。意見の吸い上げをお願いしたい。 」と最後に改めて要望しました。
このような声を直接届けることができたことは、大きな成果でした。
提出後の記者会見(県庁記者クラブ)にも多数参加いただき、
千葉テレビ、毎日新聞で報道されました。
千葉テレビYouTube:(125) 脱炭素社会に向けCO2の地中貯蔵事業CCS 中止求める団体 千葉県に署名提出(2026.10.28放送) – YouTube
今後のスケジュール等
10月、首都圏CCS事業株式会社は、11月から12月にかけて、各地で事業者主催の説明会を実施することを発表しました。
首都圏CCS事業に関する住民説明会の開催について(2026年11月~12月・全7回) | 首都圏CCS株式会社
「九十九里の海をまもる会」等から繰り返し要望してきたことの成果かもしれません。
また8月下旬の事故・事象を機に、住民などが自治体に届けた声が後押しになったかもしれません。
事前申し込み不要で、誰でも参加可能です。
ぜひ多くのみなさんに参加いただき、直接声を届けていただけたらと思います。
また、11月15日(日)に千葉県山武市で、事業者と地域住民の双方が登壇する「首都圏CCS事業を知る会」が開催されます。今回のイベントには、事業を進める首都圏CCS株式会社から芦田貴史氏が登壇するほか、「九十九里の海をまもる会」の品田知美氏、「山武ジャーナル」の鈴木匡哉氏、「首都圏CCS事業連絡会」の高澤知佳代氏らが登壇します。首都圏CCS事業を推進する事業者と、計画に疑問や懸念を持つ地域住民が同じ場に立ち、それぞれの立場から説明や意見を交わすことができる、非常に貴重な機会です。こちらもぜひご参加ください。
日時:2026年11月15日(日)13:00~16:00(開場12:30)
会場:山武市成東文化会館 のぎくプラザホール
参加費:無料
定員:一般席350席、車椅子席10席
案内:x.com/99seasideNOccs/status/2111217946618167319
(吉田明子)
