声明:原発新設を含む大規模電源への公的融資制度の導入に抗議ー国民負担を増大させエネルギー転換を妨げるおそれ

国際環境NGO FoE Japan

2026年7月17日

  2026年7月17日、原発新設を含む大規模電源への公的融資制度の創設が書き込まれた改正電気事業法が成立しました。
 FoE Japanは、これは、本来事業者が負うべき原発のリスクやコストを、将来世代も含めた国民に負わせるものとして強く抗議します。

 今回導入される制度は、原発をはじめとする大規模電源の建設等に対し、財政投融資という公的資金を原資とした長期融資を行う新たなしくみです。政府は、電力広域的運営推進機関(OCCTO)を通じて融資を実施します。

 この制度は、本来であれば事業者が負うべき投資リスクを国が肩代わりするものです。近年、原発の建設費は欧米ではすでに数兆円に達し、建設期間も大きく延長しています。そのため原子力事業者が民間金融機関からの融資で資金調達することは困難であるとして、今回の制度が導入されました。しかし、これは市場原理にも、公正な事業環境を実現するという電力システム改革の理念にも反します。また最終的には、そのコストは広く将来世代も含めた国民が負うことになります。

 FoE Japanは、法案提出以前から、他の環境団体や消費者団体のネットワークとともに、この制度の問題点について訴え、署名活動や経済産業省との交渉を行ってきました。この過程で、制度の対象となる電源や財源、貸し倒れリスクへの対応などについて繰り返し質問を行いました。しかし、制度の重要な内容は改正電気事業法に明記されず、経済産業省が行う今後の制度設計に委ねられ、多くの点が曖昧なまま法案は成立しました。

 特に重大な問題は、国民負担の増大につながりかねないことです。政府は、融資の財源として財政投融資を活用するとしています。また、将来的に卸電力市場の値差収益を原資とした「補助」も可能とする条文となっています。加えて審議会での議論では、万一貸し倒れが発生した場合に、一般送配電事業者から拠出金を徴収する枠組みも検討されています。結果として、原発建設のリスクが、広く国民や電力利用者に転嫁されるおそれがあります。

 一方、気候変動対策として早急に求められているのは、省エネルギーや再生可能エネルギー、送配電網の整備、蓄電システムや需要側対策など、短期間で効果を発揮し、地域にも利益をもたらす投資です。巨額の公的資金を原発など一部の大規模電源に集中させることは、今必要な投資を遅らせ、日本のエネルギー転換にブレーキをかけるものとなります。

 融資制度案の具体的な対象や詳細な設計は今後、経済産業省の審議会で議論されます。FoE Japanは、制度設計の透明性を求めるとともに、公的資金による原発新設支援に反対し続けます。また、国民負担を増大させる制度について十分な情報公開と国会での検証を求めます。

 私たちは、将来世代にさらなる負担を残す原発や化石燃料依存ではなく、省エネルギーと再生可能エネルギーを中心とした持続可能で公平なエネルギー政策への転換を改めて強く求めます。

<法律関係情報>

・電気事業法の一部を改正する法律案(衆議院)

閣法 第221回国会 36 電気事業法の一部を改正する法律案
・同(参議院)

電気事業法の一部を改正する法律案:参議院 

・「電気事業法の一部を改正する法律案」閣議決定(2026年3月24日、経済産業省)

「電気事業法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました(METI/経済産業省) 

・なお、2026年7月に以下が新設され、今後の詳細制度設計が行われる見込み

総合資源エネルギー調査会 電力ガス事業分科会 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 電力事業環境整備ワーキンググループ
電力事業環境整備ワーキンググループ (METI/経済産業省) 

<参考>
・「原発融資新制度」の撤回を求める署名提出集会(2026年4月28日)

・オンライン署名「原発新設で電気代が上がる?!国民負担の新融資制度案に反対します」

オンライン署名 · 原発新設で電気代が上がる?! 国民負担の新融資制度案に反対します – 日本 · Change.org 

 

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