公開書簡:日本は無条件にパレスチナ国家を承認し、その主権・自決権・生存権を認めなければならない。

11月29日のパレスチナ人民連帯国際デー、また12月の人権ウィークに先立ち、FoE Japan含むFoEアジア太平洋のメンバー団体は、日本政府に対しパレスチナ国家承認を求める書簡を提出しました。

詳しくは書簡をご覧ください。


日本国総理大臣 高市早苗様
外務大臣 茂木敏充様

私たちは、世界73か国で活動する世界最大の環境連盟「FoEインターナショナル」の地域ネットワークである、FoEアジア太平洋を代表して書簡をお送りしています。FoE JapanもFoEアジア太平洋の一員で、私たちは現代社会が抱える最も緊急性の高い環境・社会問題の解決に取り組んでいます。FoEアジア太平洋には、パレスチナ環境NGOネットワーク(PENGON ― Friends of the Earth Palestine)を含む12の団体が所属しています。

私たちは、完全な主権を伴う形でのパレスチナ国家の全面的かつ無条件の承認を全面的に支持し、求めます。

9月29日、アメリカのドナルド・トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ガザでの戦争の終結に向けて20項目に及ぶ、新たな「和平案」を発表しました。しかし、当初から、戦後の復興や統治をめぐる議論においてでさえ、パレスチナ人は完全に排除されていました。パレスチナ人の参加がない「和平計画」と称されるものは、植民地支配の新たな形態にしかなり得ません。停戦後であるにもかかわらず、ガザ各地では殺害や爆撃が続いています。多くの人々が望んだにもかかわらず、ガザのパレスチナ人にとって大虐殺は終結していないのです。

つい最近、国連安全保障理事会が、トランプ氏の20項目計画を支持するアメリカ起草の決議を採択しました。この計画は、実質的にガザ地区に対する国際的な後見メカニズムを押し付けるものです。また、パレスチナ人の自決権を損ない、アメリカの占領国としての地位を確固たるものにしてしまいます。イスラエルによるガザの占領の終結を求めながら、別の国家が同じ役割を引き継ぐことを静観するなど、あり得ません。これはまったく容認できず、パレスチナ人の権利、尊厳、人間性へのさらなる打撃を意味します。

真の平和は、完全な主権を持つ自由なパレスチナの解放と承認とともに実現されなければなりません。そのような観点から、パレスチナ国家の承認およびパレスチナの人々の自決権は、占領権力の意向に左右されてはならず、無条件でなければならないのです。

160を超える国連加盟国がパレスチナ国家を正式に承認しています。この9月、日本政府は「当面はパレスチナ国家の承認を見送る」と述べ、二国家解決への継続的な支持とアメリカとの関係を強調しました。一方11月12日、高市首相は参議院予算委員会で、パレスチナ国家の承認について「最も効果的かつ実効的な時期を総合的に検討する。いつ承認するかの段階に入ってきている」と述べました

日本政府は、アメリカとの緊密な関係を活かし、パレスチナの人々にとって公平かつ公正な和平案、そしてパレスチナ国家の承認に向けた基盤を築く和平案を提唱すべきだと私たちは考えます。日本はパレスチナ国家承認をこれ以上の遅滞なく直ちに行うべきです。

日本はパレスチナと連帯し、平和のために断固とした行動を取る必要があります。

日本は、自らが掲げる「平和国家」という立場にふさわしい歴史的責任と道徳的権威を無視し続ける限り、その名を名乗り続けることはできません。パレスチナを承認し、現代における最悪の残虐行為の1つの終結を要求することは、不可欠であり、軍事化と分断に傾きつつある世界において、日本のリーダーシップを再び示すことにも繋がります。他の多くの国々以上に、日本は急速な軍事化や国際規範および法の支配の崩壊がもたらす危険性を理解しています。平和を追求する上で、こうした規範や法の支配を支持することは日本の義務なのです。

日本の戦後、憲法第9条では、国際紛争を解決する手段としての戦争および武力による威嚇または行使を放棄しています。しかし、近年の防衛予算増額へ向けた政策転換は、こうした基盤を揺るがしかねません。私たちは、そのような政策が地域の緊張を高め、人道支援、平和構築、気候変動対策、占領下や避難生活を強いられている人々への支援といった喫緊の国際的課題から公的資金を奪う恐れがあることに深い懸念を表明します。

日本は、暴力行為に関与したイスラエル入植者の資産凍結や、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への支援など、様々な行動を取ってきました。しかし、やるべきことはまだ数多く残されています。

私たちは日本国政府に対し、以下の行動を強く要求します。

  • 完全な国家主権を有するパレスチナ国家の即時かつ無条件の承認
  • イスラエルが協定を遵守し、国際法に基づき占領終結を保証する、包括的かつ公正な停戦案を公に支持すること
  • 承諾済みの量の支援物資、医薬品、その他の人道支援物資をガザ地区に搬入するための許可の要求
  • ヨルダン川西岸地区における入植者による継続的な攻撃と拡大に対する終結の要求
  • 日本へのイスラエル製ドローンの輸入を含む、イスラエルとの武器取引の停止
 

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