「原発の建設費用を国民に転嫁する新制度導入に賛成?反対?」ー自民党総裁選候補、立憲民主党代表選候補に公開質問を送付

福島支援と脱原発2024.9.30

9月19日、自民党総裁選候補9名、立憲民主党代表選候補4名宛に、公開質問書を送付しました。
質問は1つ。ズバリ「原発の建設費用を国民に転嫁する新制度導入に賛成?反対?」

「なんで?」と思われる方がいるかもしれません。

実は今、経済産業省が、原発新増設に道をひらくために、原発建設のためのお金を国民から広く徴収する制度をひそかに検討中なんです。現在、FoE Japanも含む複数の環境NGOや市民団体、有識者などが反対署名を呼びかけています。詳しくはこちらをご覧ください。

質問書はこの署名の呼びかけ人有志の連名で送付しました。

9月25日現在3名の方からご回答がありました。以下、回答が来た順にご紹介します。

枝野幸男氏(立憲)
(断固)反対
理由:「福島第一原発事故処理費用の託送料金上乗せ」と同様、本来は原発事業者が責任をもって負うべきコストを転嫁(外部化)するもの。再エネに現実的な採算性・経済性で劣る原子力発電のコストを外部化し見えにくくするための経産省の見え透いた姑息な手段で許されない。
原発肩入れ/再エネ妨害、地域独占や発送電分離は進めず、闇カルテルは見逃し、挙句に独占価格の抑制に物価対策補助金まで注ぎ込む経産省の大手電力会社死守の偏ったアナクロな姿勢が改められなければ、日本はますます先進各国からおいて行かれることになってしまう。

泉健太氏(立憲)
反対
理由:立憲民主党は、原子力発電所の新設・増設は行わずとも、エネルギーの安定供給は可能であると考えています。再生可能エネルギーの普及、省エネ、蓄エネに積極投資を行うべきです。

高市早苗氏(自民)
反対
理由:
・昨年7月に閣議決定したGX推進戦略では、
ー原子力の安全性向上を目指し、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組む
ー地域の理解確保を大前提に、廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを対象として、具体化を進めていく`
とされている。

・その中で、経済産業省の審議会においてこ有識者より、次世代革新炉への投資・コスト回収やファイナンス等の観点での課題が提示され、 目下、議論が行われているテーマであると認識している。ただし、その議論においては、イギリスの「規制資産べース(RAB)モデル」を参考にすることも含め、何ら結論が示唆されているものではないと聞いている。

・脱炭素電源としての次世代革新炉への投資を進めるための事業環境整備については、長期にわたる課題であるとともに、様々なステークホルダーが関わることである。わが国にとってベストな方策をしつかりと見極めていく必要があると考えている。

【以下、個人的な感想と若干のコメントです】

  • 枝野さんは、3.11のとき官房長官で、その後経済産業大臣として、福島第一原発事故対応、原発やエネルギーに関するもろもろの方針決定にあたりました。言いたいことがある人も多いでしょう(私もです)。ただ、おそらく原発に関してご自身の思いも強いのではないかと思います。2023年のGX脱炭素電源法案の国会審議の際、「原発の運転期間40年規定」を骨抜きにする法案に対して、反対の立場から気迫あふれる質問を行っておられたのは印象的でした。今回の枝野さんの回答からも、自民党のもとで進んだ原発回帰政策、経済合理性のない原発の理不尽なコスト転嫁に対する怒り(?)のようなものを感じました。
  • 泉さんの回答は、「立憲民主党として」原子力発電所の新設・増設は行う必要はないと考えている、というものでした。
    今回誕生した、野田新代表のもとで、立憲民主党の「原発ゼロ」という党是は影をひそめ、「原発に依存しない社会」という「現実路線」をとるようだと取りざたされています。
    しかし、原発継続は果たして「現実的」なのでしょうか
    立憲民主党は「原発ゼロ法案」を2018年国会に提出しましたが、法案を策定する際に、幅広い市民が参加する場で公開での議論を何度も行って内容をつくっていきました。それを覆すというのであれば、きちんと幅広い議論をしてもらいたいところです
  • 原発推進派の高市さんが「反対」と書いてくださったことには驚きました
    ただ、その理由をよく読むと、次世代革新炉の建設に向けた投資・コスト回収は必要だという前提で、「まだ審議会で議論中で、原発建設への資金集めの仕組みをRABモデルでやると決まったわけではない」ということなのかなと読めました。それでも自民党総裁選候補の中で唯一回答をお送りいただいたことには感謝いたします。
  • 小泉さんからも回答(?)がきていたのですが、党から、総裁選挙にあたり公平性を欠くからアンケートには答えないようにという通達がきているので、答えられない、というものでした。まあ「答えられない」という連絡をいただいたことは、まったく答えないよりも丁寧ですが。もちろん、候補者のもとには多くのアンケートが届いていると思いますので、すべてに答えることはできないと思いますが。一律に答えるなというのがもし自民党の方針だとしたら、それは問題です。総裁選だからこそ、党員であるかどうかを問わず、なるべく国民からの疑問に答えるべきではないかと思いました。

(満田夏花)

 

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