台風19号被災地を脅かすメガソーラー計画
宮城県丸森町耕野地区(人口約600人)の山林に115.5ヘクタールのメガソーラー設置計画が進められています。
丸森町は2019年10月の台風19号により最も甚大な被害を受けた地域の一つです。大規模な土砂崩れ、道路崩落が発生しました。11名が犠牲(うち行方不明者を含む6名が土砂災害による)となり、現在でも多くの住民の方々が仮設住宅で生活されているとのことです。被災した住民にさらなる不安をもたらすのが、土砂崩れや洪水を防ぐ山林を広範囲に伐採し、切り土や盛り土により地形を大きく改変するメガソーラー計画です。
耕野地区に計画されているのは「丸森プロジェクト太陽光発電所」と「仙南プロジェクト太陽光発電所」の2つの太陽光発電所です。この二つは隣接していており、事業者は異なりますが事業統括、用地交渉業者、施工業者(EPC)、関係する業者はほぼ共通し、住民への交渉も説明会も一緒に実施されています。二ヶ所の面積を合わせると115.5ヘクタールで東京ドーム25個分に相当します。しかし、二つの事業を別事業とすると、環境アセスメントの対象外となっていまうのです。
※環境アセスメントの適用要件(2020年4月施行)・・・第1種事業:4万kW以上。第2種事業:3万kW以上
※宮城県条例による環境アセスメント適用要件・・・第1種事業:3万kW以上又は75ha 以上。第2種事業:50ha以上75ha未満(事業実施区域内に環境保全の観点から法令等により指定された地域があるものに限る。)
事業概要
事業地の大きさと位置関係
2020年6月、住民主体で住民アンケート調査を行ったところ、賛成28.2%、反対65%、無回答6.6%(回答9割)という結果となりました。半数を上回る住民が事業に反対していることになります。
本事業に多くの住民が反対する主な理由のひとつが、自然災害のリスクの増加です。台風19号でも地滑り、土砂崩れが多発し、道路の冠水、家屋の浸水被害も発生しました。耕野地区の地形、地質は脆い特性があり、大規模な土砂崩落の危険性が懸念されています。土壌流出を防ぐ森林を広範囲に伐採し、大規模に切り土と盛り土を行う土地改変は、ますます自然災害への脆弱性を高ることになります。
台風19号直後の耕野小学校校庭
また、森林の保水力の喪失も大きな心配となります。耕野地区には上水道設備がなく、全戸が井戸水を使って生活しています。実は、すでに稼働している別の太陽光発電所(4.6ヘクタール)が開発直後から、付近の住宅の井戸の水位に影響を与えてしまった事例があるといいます。メガソーラー計画を検証する!丸森町耕野の場合(その5) – YouTube 住民側は、5ヶ所設置される調整池の設計・運用計画に関しても、甚大な災害をもたらす可能性があると懸念しています。
本事業の不透明なプロセスや不明確な責任の所在にも住民は不信感を募らせています。
2018年頃から2つの事業の関係者は一緒に地権者に個別交渉を始め、当初、計画の全体像が地域に示されることはありませんでした。2020年2月に住民側からの要請により、ようやく説明会が開催されましたが、説明されたのは簡単な概要のみでした。2020年7月の住民説明会により事業内容が明らかになりましたが、事業者の実態についてはいまだ不明なままです。災害時等の管理方法、責任の所在も不明です。そのような中、2020年12月、本事業を担当する主要事業者が反対する区町への収賄を持ちかけたことで逮捕されました。
このように、地域住民の命にも関わる問題山積の事業ですが、現在も操業に向け手続きが継続されているということです。
FoE Japanは、本事業による生態系の破壊、災害リスクの増加、住民生活への影響に問題視すると同時に、再生可能エネルギーによる温室効果ガス吸収源の破壊、あからさまな環境アセスメント逃れ、林地開発許可法の許可条件に反することから、再生可能エネルギー事業として認められるべきでないと考えます。
▼オンライン署名はこちらから
現在、住民組織とFridays For Future Sendaiが事業の中止を求めて署名活動を行っています。ぜひご協力ください。
▼住民のみなさんのメッセージ
【緊急署名!!】宮城県丸森町に自然を破壊する大規模メガソーラーを建てないで – YouTube
▼耕野地区メガソーラー計画問題
(20+) 耕野地区メガソーラー計画問題 | Facebook
▼住民の方々による事業計画と問題点の説明
メガソーラー計画を検証する!丸森町耕野のケース(その2)。山奥の桃源郷に突如やってきた巨大な訪問者!!その計画の実態は?
※本ブログ記事に掲載する写真・図等は住民の方々からお借りしています。無断利用はご遠慮ください。