インターン報告:国際シンポジウム「気候危機とたたかうアジアの人々」第1部

気候変動

はじめまして、インターンの竹内美玖です。

7月20日に開催された国際シンポジウム「気候危機とたたかうアジアの人々」に参加しました。このブログでは、その概要と一緒に参加したインターン生たちの感想をお届けしたいと思います。

第1部では、3名の登壇者からアジア諸国での気候変動による被害についての報告を聞きました。温室効果をほとんど排出していないにも関わらず、莫大な被害を受けている地域の現状を知り、何かしなければならないが自分にできることは何なのか、という複雑な感情が湧きました。報告の内容は以下の通りです。

バングラデシュにおける気候変動による損失と被害(FoEバングラデシュ Syeda Rizwana Hasan氏より) 資料(日本語) 

バングラデシュでは、大災害が50年前と比べて10倍となっていること、またインフラが整っていないため災害を復旧するのにも時間がかかり、直しているうちに次の災害が起きるという負の連鎖が起きていることなどが報告されました。住民たちは、海面上昇に伴い土地を守るために砂の入った袋で防波堤を作ったり、淡水を入手しに塩水の中を歩くために皮膚が荒れてしまったりと、一個人の生活にも悪影響が及んでいることを知り、心が痛くなりました。また、自然災害により多くの移民を生んでいることが衝撃的でした。気候危機はそこに住んでいる人の人権や文化まで奪ってしまうのだと感じました。

バングラデシュにおける気候変動による損失と被害:資料 15ページより

パプアニューギニアの事例(FoEパプアニューギニア Vicky Amoko氏より)資料(日本語) 

パプアニューギニアでは様々な部族が暮らし、文化や生物が多様であるが、自然災害によりそれらが失われつつあるという現状を知りました。気候変動による損失と損害が大きい国です。長い干ばつや洪水と自然災害のリスクが高く、2024年の地すべりでは2000人以上が亡くなったそうです。彼らが抱える自然災害の多さに、とても心が痛みました。気候変動で感染症の環境的要因も生じるため、健康面への大きなリスクも忘れてはいけないことが分かりました。また、かつては温室効果ガスの吸収源だったのに、LNG事業開発や森林破壊により、今では排出源に移行してしまったそうです。政府の事業開発は気候、環境、人権に影響を与えるものです。

FoEパプアニューギニア Vicky Amoko氏

イベントに一緒に参加したインターンの中村千博さんは、気候変動で人々の命が奪われているのにも関わらず、多くの化石燃料プロジェクトは気候変動の影響を最も受ける国々で進められている。世界的にLNG(液化天然ガス)の拡大が見込まれているが、気候危機の被害がこれほどまでに深刻化し、誰もが命のリスクを抱える差し迫った状況で、石炭から再生可能エネルギーへの移行エネルギーとしてLNGに依存する余裕はあるはずがないと強く感じたと感想を共有してくれました。多くの人が気候危機を要因として命を落としている現状に、今すぐ行動しなければならないと痛感しました。

インドネシアの事例(WALHI、FoEインドネシア Zenzi Suhadi氏より)資料(日本語) 

先進国の人間が次の休暇で何をしようと考えている時、私たちは次の季節にどのような災害が起きるかを考えます

とSuhadiさんが述べていました。それは、自分の暮らしを思い返し、心に残る一言でした。

インターンの宮脇直樹さんにとっても印象的だったようで、「気候危機や環境問題はタイムリミットがある話題であって、その場しのぎの議論が繰り返されていてはいけない」と話していました。

排出を続ける先進国の裏で島や資源が消えている現状について、知り広める必要性があると強く感じました。政府に依存するのではなく、1人1人が立ち上がりコミュニティ・経済・森林を循環させる仕組みづくりが必要だと学びました。権力ではなく経済を成長させる流れを消費者として、選択する必要性が重要であることを認識できました。

第1部を通じて、インターン内で以下のことを話し合いました。

・現状の気候変動の影響は適応できるレベルを遥かに超えていると感じる。

自分の国が、気候危機の進行に大きく寄与している事実は、本当に苦しい。

・気候変動によって日常生活を脅かされている人々が “すでに” いるという現実を先進国で暮らす人々はどれくらい知っているのか強く疑問に思った。

・日本を含む先進国がいかに間違った気候変動対策をしているかや途上国での被害の大きさを想像以上に知ってしまった

ゲストの皆さんが、前向きに目標を語りながら進めている姿がとても印象的だった。

若者の一員として、友人の一人として周囲に広めていく義務をしっかり果たしていきたい

参加したインターンのメンバー

不安や疑問が多い中でも、明るい未来に近づけるために動く必要があると思いました。現状を知ること、広めること、選択肢がある際に何を選ぶのか責任を持つことが1人の力で直ぐにできることだと思いました。自ら情報をキャッチして、選ぶ責任をもって生活していきたいです。

インターン報告:国際シンポジウム「気候危機とたたかうアジアの人々」第2部 へ続く
インターン報告:国際シンポジウム「気候危機とたたかうアジアの人々」第3部

【国際シンポジウム】気候危機とたたかうアジアの人々〜「公正な移行」の実現にむけた日本の役割〜
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