南極に迫る気候危機
毎年4月25日は世界ペンギンデーです!
ペンギンたちも住む南極は、地球上でもっとも手つかずの自然が残るといわれてきました。しかし、資源乱獲や気候変動によって大きな打撃を受けています。
この3月には南極で平年の記録を30℃以上も上回るような記録的な高温を記録しています。温暖化とこの高温の因果関係について専門家の意見は慎重で、明確な関係性はまだ立証されていませんが、例えば、コンコルディア基地の3月の最高気温の平均は-49℃のところ、37℃も上回る-12.2℃まで上がりました。
3月には南極の海氷の大きさが過去最少になっていると報告されました。この海氷の減少については、自然の変動によるものと指摘されていますが、温暖化による影響の可能性も同時に指摘されており、さらなる研究が待たれます(Nature, 2022)。温暖化による南極の植生変化も指摘されています。
気候変動以外に、南極の自然に対する脅威となっているのは、資源乱獲や違法漁業があります。
かつてアザラシやクジラ、コオリウオ科の魚などが乱獲されたり、たくさんの海鳥が漁網にかかって死んでしまったことがありました。その後は対策が進み、こうした被害は減りましたが、最近ではメロ漁やオキアミ漁の拡大が問題となっています。日本はアメリカとならんで世界最大のメロ輸入国で、私たちの食卓にも並ぶ身近な食材です。
FoE Japanは、国際的な南極保護のネットワーク(ASOC)に加盟しており、南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)の会合にオブザーバーとして参加して南極における海洋保護区(MPAs)設定のための提言活動をするなど、南極保全に関する政策提言活動を行っています。しかし、海洋保護区設定や違法漁業の取り締まりに関してはまだまだ結果が出ていないのが現状です。
CCAMLRが南極海における海洋保護区システムに取りかかって10年以上になりますが、これまでに海洋保護区に指定されたのはロス海とサウスオークニー諸島の二つです。東南極、ウェッデル海、南極半島の三海域の保護区指定に向けて、今後も提言活動を続けていきます。