一億総被ばくの国家プロジェクト… 8,000ベクレル/kg以下の除染土を 全国の公共事業に!?
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環境省は3月30日、東京電力福島第1原発事故後の除染で出た汚染土に関し、最終処分に向けた技術開発の戦略をまとめました。
8,000ベクレル/kg以下の汚染土を、「遮蔽および飛散・流出の防止」を行った上で、全国の公共事業の盛土材等の構造基盤の部材で利用できる方針が決まりました。例として挙げられているのは、道路・防潮堤・海岸防災林・土地造成・水面埋め立てなど。周辺住民などの追加被ばく量は年間10マイクロシーベルトに押さえられるとしています。
ちなみに、原子炉等規制法に基づく規則においては、原発の解体などによって発生したコンクリートや金属などの再生利用の基準は100ベクレル/kgとなっています。
今回の環境省方針は、この80倍となります。環境省の「省令」で規定するとしています。
非公開のワーキンググループで、「除染」「帰還」ありき
この検討会のもとにおかれた「放射線影響に関する安全性評価ワーキンググループ」は、これまで4回開催されましたが、非公開で実施されており、議事メモも公開されていません。よって、「住民の被ばく量は年10マイクロシーベルト」以下の根拠はしめされていません。
そもそも、この検討会は、最終処分量を減らすため、再生利用量を増やす、ということが前提となっています。
対象となる汚染土壌の総発生見込み量は、2015年1月時点における推計値で、約2.200万m3と見積もられています。
これを、「本来貴重な資源である土壌からなる除去土壌等を部分的に何らかの形で利用する」という発想で、汚染土壌を、様々な技術(分級処理、熱処理、洗浄処理)などで減容化し、8,000Bq/kg以下のものは再生利用するというのです。
現在の無理な「除染」「帰還」路線が前提で、そのためには、国民の被ばくもやむなし、ということなのでしょうか。
降雨・侵食・災害での大量拡散の危険性も
環境省は、「福島の復興、さらには東北の復興と日本の再生に向けた一大プロジェクトであるとともに、その成果は世界でも前例のない経験・知見として国際的な共有財産となる」と大見得をきっています。
しかし、「遮蔽および飛散・流出の防止」と書いたところで、そんなことは絵に描いた餅です。管理型の処分場でさえ、周辺や地下水の汚染は避けられないのに、ましてや公共事業の構造材では、なおさらです。降雨、災害、浸食などによる環境中への大量放出も懸念されます。工事中においては、工事従事者も通行人も被ばくします。
まさに、子どもも含めて、日本中の人たちを被ばくさせるために、壮大な「ナショナル・プロジェクト」にほかなりません。断じて許すわけにはいきません。
<参考>
環境省:中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会
https://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/effort/investigative_commission/
汚染土壌の再生利用は世界に前例の無い一大ナショナル・プロジェクト(おしどりポータルサイト)http://oshidori-makoken.com/?p=2059
最終処分、9割減量も=福島の汚染土、技術開発で-環境省(時事通信 2016/03/30-10:09)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016033000226&g=eqa
山本太郎議員の国会質疑(2016.4.13復興特別委員会)
https://www.taro-yamamoto.jp/national-diet/5801
(満田夏花/FoE Japan)