リニア中央新幹線プロジェクトとは?

開発と人権2024.7.10

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1、事業の概要

事業主体:東海旅客鉄道株式会社(JR東海)
区 間: 東京から大阪までの約438km、67分(品川-名古屋間285.6km、40分)
最高速度: 505キロメートル/時
走行方式: 超電導磁気浮上式
着工:2014年12月
開業予定: 2027年(東京-名古屋)
建 設 費 : 約7兆400億円(東京-名古屋)
目 的:
・東海道新幹線の将来の経年劣化や大規模災害に対する備えとして、東京・名古屋・大阪を結ぶ日本の大動脈輸送の二重系化。
・リニアの高速性による時間短縮効果による日本の経済及び社会活動の活性化。

2、リニア中央新幹線の開発経緯・影響

1962年リニアモーター推進浮上式鉄道の研究スタート
1973年中央新幹線の基本計画決定(起終点:東京都~大阪市 主要な経過地:甲府市附近、名古屋市附近、奈良市附近)
1977年宮崎県日向市に「浮上式鉄道宮崎実験センター」(宮崎実験線)開設
1990年山梨リニア実験線の建設開始
1991年宮崎実験線で火災事故
1997年山梨リニア実験線の走行試験開始山梨実験線周辺各地で水枯れ発生
2011年全国新幹線鉄道整備法に基づき中央新幹線の整備計画を決定南アルプスルートの採用決定
2014年全国新幹線鉄道整備法に基づく中央新幹線の工事実施計画(品川~名古屋間その1)に認可環境影響評価公告政府が米国へのリニア技術無償提供を合意
2016年リニア新幹線沿線住民ネットワークによる認可取消訴訟
2018年工事実施計画その2に認可
2018年ゼネコン4社談合事件で起訴長野県大鹿村-中川村のリニア関連工事による土砂崩落事故名古屋名城非常口地下水湧出し大深度地下使用の認可
2019年大深度地下使用認可に対する審査請求岐阜基準値超える有毒物質を含む汚染土発生中津川山口工区にて陥没事故南アルプス市住民による工事差し止め訴訟山梨実験線で火災事故
2020年JR東海2027年開業が困難と表明長野県大鹿村釜沢地区、工事用道路・坑口周辺の大雨被害による工事中止(外環道工事により東京・調布市の道路が陥没)飯田市長リニアからの在来線乗り換え駅設置とりやめ        大井川水利者らが静岡地裁にリニア工事差止を提訴
2021年静岡県川勝知事が首相宛にリニア工事凍結を提案ストップリニア訴訟原告適格で控訴東京-名古屋間工事費1.5兆円増額大深度地下区間住民向けにシールドマシンに関して説明会都内住民がリニア工事差し止を提訴リニア大深度地下トンネルシールドマシン掘削開始岐阜県中津川市瀬戸トンネル崩落事故長野県豊丘村坂島工区トンネル崩落事故

3、リニア中央新幹線事業の問題点

リニア中央新幹線事業には、計画段階から様々な分野の専門家や沿線住民が、南アルプスの自然生態系を始め沿線地域への多大な環境社会影響について懸念を示してきました。1990年代に山梨実験線の開発が始まると、水枯れや水の湧出し、騒音や日照権の侵害、車両火災等の事故まで、様々な懸念が現実のものとなりました。

2014年から始まった静岡県以外での工事において、土砂崩落、陥没、ヒ素やフッ素等有害物質含有の残土の発生、地下水の湧出し、ダンプの往来による交通影響、ダイナマイト発破による騒音被害等、残土置き場による災害リスクの増加等、次々と住民の生活や環境を脅かす影響や事故が生じています。今後も立ち退き問題、岐阜のウラン鉱床の掘削等、大深度地下工事による住民の権利侵害とリスクの増加等、大きな問題が待ち受けています。また、これら工事影響に関するJR東海の住民への対応も、説明が不十分であったり、説明会への参加者を制限したりするなど、誠意が見られません。 

気候変動や世界的な感染症の蔓延に直面し、より持続可能な社会へのシフトを必要とする中、政府の掲げるリニア事業を核とする巨大都市圏構築というスーパー・メガリージョン構想は時代に逆行しています。今の時代に、新幹線の3 倍、原発1基分もの大量エネルギーを必要とし、さらに災害リスクを増加させるような大規模開発、交通機関が必要とされるでしょうか。安全性においても、地震等の災害時の対応や電磁波のリスクについても十分な対策や明確な説明がありません。

●計画・プロセスの問題

  • 「国家的事業」という民間事業
  • 透明性や責任の所在が不明確
  • ずさんな計画、環境アセスメント
  • 採算性の疑問、増え続ける工事費 
  • 財政投融資の活用(3兆円)
  • ゼネコン談合事件
  • 住民への不誠実な対応

●開発・運行による影響

  • 生態系への影響
  • 地下水、水脈、河川水への影響
  • 災害リスクの増加
  • 土地収用・住民移転
  • 10年にわたる工事による生活影響・・・騒音、振動、交通、粉塵
  • 度重なる事故
  • 操業開始後にも続く生活影響・・・騒音、振動、日照、電磁波、景観
  • 大深度地下使用による住民の権利侵害
  • 行き場のない大量のトンネル残土
  • コミュニティの混乱、分断

●交通機関としてのあり方

  • 持続可能な交通機関であるのか?
  • 一部の層の利便性や経済性の優先
  • 大都市への集中、地方衰退
  • 安全性への疑問・・・地震、火災、テロ、緊急時の対策は?
  • 健康影響・・・電磁波
  • 大量エネルギー消費=原発依存
  • 大規模な環境破壊
  • 地方の公共事業依存の助長 

4、沿線各地で生じている事故・影響の一部

  • 宮崎実験線火災事故(1991年)
  • 山梨県実験線での水枯れ
  • 山梨県日照、騒音被害
  • 長野県中川村リニア工事によるトンネル崩落事故(2017年)
  • 山梨県リニアまんが小中学校に配布(2018年)
  • 岐阜県中津川氏山口工区陥没事故(2019年)
  • 山梨実験線火災事故(2019年)
  • 名古屋名城非常口地下水湧出し(2019年)
  • 静岡県作業用道路土砂崩落(豪雨影響)(2020年)
  • 長野県大鹿村釜沢地区の工事中止(豪雨影響)(2020年)
  • 長野県大鹿村送電線ブナ伐採問題
  • 長野県、岐阜県、愛知県、山梨県、静岡県、神奈川県で残土置き場問題
  • 要対策土の処理の問題(岐阜県、長野県等)
  • 長野県、山梨県住民移転問題
  • 東京都・神奈川県・愛知県の大深度地下工事問題
  • 岐阜県ウラン、ヒ素・フッ素等要対策土の処理問題
  • 神奈川県相模原農業高校移転問題、クスノキ訴訟
  • 相模原残土利用が疑われる農場計画
  • 残土を活用した横浜港・川崎港整備への公的資金を使う問題
  • 静岡県大井川減水問題
  • 岐阜県中津川市瀬戸トンネル崩落事故 (2021年) 、等

5、住民・市民運動

●沿線の住民運動、訴訟等

6、各地の住民運動グループ

上記の他にも沿線各地に数多くの住民グループがリニア問題に取り組んでいます。

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