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企業の生物多様性に関する活動の評価基準検討委員会 第2回 議事録まとめ
主催:国際環境NGO FoE Japan
日時:平成21年2月28日(土) 15:15〜17:00
場所:地球環境パートナーシッププラザ EPO会議室
出席者:
(委員)足立委員(分科会委員長)、上田委員、岡本委員、畠山委員、日比委員、坂本委員、吉村委員
(事務局)宮崎、籾井、能勢、攝待  (委員一覧

※下記の議事録には、用語解説のためWikipedia等へリンクしているものがありますが、あくまで参考であり、リンク先の情報は必ずしも当団体Friends of the Earth(FoE)の公式見解を表すものではありません。

委員長:では中身の議論に入る。

(評価基準(案)説明。)

事務局パフォーマンス分科委員長から戴いた意見を見え消しで入れているので、コメントがあればお願いしたい。

委員長:「はじめに」の部分は、意見がないので問題がないとする。「2:企業理念・方針の中での生物多様性の位置づけ」についてはどうか。

事務局なお、生物多様性の定義は樋口氏の著書を参考にした。

委員長:何か付け加えることがあればお願いしたい。

委員:予防的アプローチと順応的管理がマネジメント指標やパフォーマンス指標にどのように反映されているか?

委員長:分科会委員長からそれぞれコメントはあるか?

P分科会委員長:あまり意識はしていなかったが、回避、低減、代償の中に予防的アプローチは回避に、順応的管理は代償に反映されていると理解している。しかしそれを明示すべきなのかもしれない。

M分科会委員長:14ページの基準M8で、「定期的に確認し・・・」という部分で、順応的管理という考えは反映されている。予防的な部分については弱かったかと思うので、明示するほうがわかりやすいか。その前の方も見てはみたが、予防して事前に影響を防ぐという明示がないので、他のところに盛り込んだ方がよいかもしれない。

委員:「2:生物多様性の価値」の部分、生物多様性は人類の存続の基盤である、とあり、その通りではあるのだが、(人間の)生物としてのサバイバル(のために重要)という印象を受ける。社会的・文化的価値への広がりを感じさせる文章にし、単に人間のサバイバルに限らない書き方をしたほうがいいのではないか。また、(企業にとって生物多様性は)生態系サービスを通じて企業活動に不可欠なサービスを提供していることを明示したほうがいいのではないか。さらに、予防的アプローチの部分であるが、条約の前文などを説明しているが、同じようなことが書いてあり少しくどいかと思われる。5ページ以降にかかってくるかと思うが、先住民族の部分に関して、これを読むと、現在国際社会がかかえる様々な問題があり、生物多様性はその一つであり、気候変動・温暖化は生物多様性に密接に関わっていると思われるが、そうした記述がない。生物多様性は企業が解決しなければいけない一つの独立した問題という風にとられるのはまずい。例えば気候変動対策のためにやることが生物多様性に悪影響を与えるなど、そういうこともあり得るため、それぞれの問題が密接に関わっているという点が読み取れないので修正をお願いしたい。

委員長:1点目の「人類の基盤」という表現についてのコメントについては、どういう風に修正すればいいか。

委員:企業向けのガイドラインなので、企業にわかりやすい書き方をしたほうがさっと捉えることができるのではないか。企業活動にも関わるという点を強調したほうが明確になるのではないか。

委員:企業の方々はまだそこまでの関係性を理解していない、という印象を持っているので、より明確にわかるような表現をしていただきたい。

委員:先ほどと同じ視点のコメントになるかもしれないが、この定義の中にもう少し人間が動植物に対して謙虚に生きる、という表現を入れることが良いのではないか。生物多様性によかれと思ってしたことがよくなかったという例もある、そして我々はもっと謙虚に生きる、という2点を解きほぐした表現を入れるといいのではないか。

委員:日本人の思想というのはまさに人間は自然界の一員、という認識はある。企業向けに書くのであればあえてそこを強調したほうがわかりやすいのかもしれない。人間は自然の一員というような表現を入れればより身近に感じるのかもしれない。

委員:今修正を入れていただいた部分であるが、「人類の存続のためにはもちろん」、という表現がいいと思う。

事務局人間の利益に関わらず、というような表現は後のほうにでてくるが、ここに書いたほうがいいか。

委員:例えば万葉集は7割は自然について謳った歌がある。生物多様性は奥が深い、というようなことが一般の人にわかるような表現にした方がよい。

委員長:入れるのであれば4ページの3行目くらいに入れるか?

事務局今のお話について、そうあるべき、ということはよく言われているが、必ずしも社会全体で許容されているのか、という疑問はある。一番最初に書くほうがいいのか?文献調査では人間にとって大切だ、という切り口から入る書籍が多いが。

委員:その通りであるが、この委員会が先進性があるというのであれば、文化にも影響します、と言葉だけで言っているのではインパクトが弱い。では文化とは何か。万葉集の例を参考に、自然が身近であったころを若い人が感じられるような表現で表現していただきたい。

委員:生物多様性の価値のことであると思うが、そういうことであれば最初に持ってきたほうがいいと思う。はじめのなかに、それを謳えばすべてにかかるわけであるから、そうすればどうか。

委員長:文学的な表現で、万葉集を引用するなどして、最初のほうに入れていただくということでいいか。原始時代は自然に密接した暮らしをしていたわけであるからそれを無視して暮らしていくわけにはいかないことを表現する。
また先ほどの意見であるが、環境から生態系サービスなど恩恵を受けて企業が活動していることを入れればよい。((3)企業の責務、に入れた。)
4番目の指摘は、文章上のことであるから修正していただく。
5番目は、先住民族のところについて。もう一度説明いただけるか。

委員:(6)は重要であるが、貧困問題がまったく触れられていない、という点でここの表現が弱くなっていると思う。貧困と生物多様性が密接な関係にあることがわかるような表現にしていただかなければならない。またもうひとつ、気候変動についての取り組みが多いが、生物多様性と切り離した活動を行っている企業が多く、部署も分かれているため縦割りアプローチがなされている。本来は原因は同じなはずであり、それを縦割りにするのは解決につながらないと思われる。

委員長:貧困と生物多様性は密接につながっていると自分にも思われる。

委員:気候変動対策そのものが貧困や地域の生態系サービスに影響を及ぼしているというようなことも入れてほしい。発展途上国の問題、気候変動の問題が生物多様性に密接に関わっていることを表現してほしい。

委員:先住民族が貧困という問題を抱えている、という表現であるが、それは我々の視点であり、生活が充足していて貧困と呼べない場合もある。また、生物多様性に依存している場合それを奪われて貧困を抱える場合がある。また、都会に出てきて貧困に直面する場合もある。別の問題で貧困という課題を抱えている上にさらに生物多様性を奪われてさらに貧困が悪化する場合もある。ぜひいろいろなケースをわけて表現していただきたい。
生物多様性は生きるための基盤であり、重要な資源である。また、これとは別として貧困の問題が生物多様性をさらに劣化させる場合がある、という2点を書けばいいのではないか。

委員:先住民族のところは、先住民の方々が生物多様性を保護してきたことがまず先にくるべきではないか。

委員:その点で、次の生物資源の配分について、それと今の部分がつながる。もうひとつは、守ることに関わるコストも公正・公平な負担という考えを入れるべきではないか。現在は先住民族の人々が一方的に負担しているため、その点を是正することも入れるべき。

委員長:(6)と(7)をよく考え、両方につながるように入れることでよいか。

委員:2の企業理念の並びであるが、(1)から(7)までの流れをよく見てみると、生物多様性は重要である、であるから生物多様性の保護は重要である。ということは書いてある。環境アセスメントの方法論を検討することだと会議の前に申し上げたが、まず生物多様性に対してどういう影響がどのくらいあるのか、を知らなければならないし、それを公表しなければならない。その項目を設けるべきなのか。何がどのくらい影響を与えているのかがわからないまま、回避や最小化を議論することはできない。

委員長:(3)に入れるのがよいかと思う。企業自身が生物多様性への影響を把握することを義務付ける。

委員:予防的アプローチとは要するに環境アセスメントのこと。予防的アプローチと順応的管理と同じならびでひとつ項目を設けたほうがいいのか。どのくらいの影響があるかを把握し公表するほうが次の政策に結びつくのではないか。

委員:今の問題はすごく難しく、環境影響評価であれば影響がわかるが、生物多様性はある書物によると8割がたわからないという。人間がよかれと思ってしたことが生物多様性に悪影響を及ぼしていることは多い。蜂が北半球で1/3ほどにまで減ったという話もあるが、モノカルチャーの影響であり、単一作物を大量に作っていることが蜂に影響を及ぼしている。我々の人智の及ばないところに影響が見られる、ということ。環境影響評価とは違う。

委員:環境影響評価の中に生物多様性の評価もあり、それはこれまで非常に限られたところで行われてきたが、二つは別物ではない。

委員:2つ意見があるが、生物多様性にどういう影響があるか、というのは環境に対しての影響だけではない。個体変動や文化的影響も対象にしているのが生物多様性モニタリング。人文社会的影響を調べる、というのが望ましい。サプライチェーン、バリューチェーンの部分で、人文社会的影響を入れてもらったと思うが、この中にも入れたほうがよいかと思う。

委員:今の発言であるが、科学的不確実性があるため予防的アプローチをとるわけであるが、内在的不確実性というような表現もあるわけで、そもそも生態系というのは本質的に予防的アプローチでなければならない。生物多様性は科学的にわかる、わからないに関わらず予防的アプローチを取らなければならない、ということ。

委員:科学的に生態系は本質的に予測不可能である、という表現を入れる。

委員:企業は科学的にわかっていてもやらない、という場合がある。生物多様性と予防的アプローチについては、科学ともう一つ、周辺の社会的状況をかんがみて予防的アプローチを取らなければならないという表現をしたほうがいいのかと思う。

委員:先進国の消費のあり方という言葉で表されるような、マーケティングのあり方自体を見直さなければならない。掘り起こした分だけ植林する、というよりは、掘り起こす前に絶対量を減らす、という考えを紹介すべきではないか。私は生物多様性を環境影響評価の一部という枠組みではなく、非常に大きく捉えている。この委員会で考え方を統一したいと思うが。

委員長:企業はもちろん利潤の追求を優先させるであろうから、本質的な問題だと思うが、あまり強調しすぎると敬遠されるのではないかという疑問もある。

委員:企業は利潤の追求のためにあるのか?社会の利便性に貢献するためにある、という考えで一致したのではなかったか。企業が全て悪者というわけではないし、社会の新たなニーズに応えるためにあるのである。そういう考えにたってこういう基準が必要なのではないか。

委員:先ほど別の委員が仰ったように、企業がこれを使う、という前提であれば、あまり難しい理念を入れても仕方がない。日本の経験で、公害系分野と自然環境系分野があり、公害分野は問題に対する明確な解決を提供するというやり方。自然環境については定量化するということに日本人には伝統的になじみがない。定量的に生物多様性を扱うことはやめよう、ということになって今日まで至っている。しかし国際社会を見るとそれはそうであろうが、何らかの努力の一環としてHEPなどがある。

委員:同感である。そういう意味でも予防的アプローチや順応的管理が大切になってくると思う。特に後者の必要性は漁業や林業などで顕著。自然資源の順応的管理。

事務局この部分で専門的なことをたくさん書くのは難しいと考えている。また、これは市民が使うものである。

委員:詳しく書く必要はないが、この視点は重要なので理解していただきたい。ちなみに環境省のガイドラインでも予防的アプローチと順応的管理というような表現が入っている。なのでこれから企業はこれを取り入れて活動しなければならない。

委員長:これぐらいでこの章については終わりにしたい。
次は6ページであるが、3の企業活動が生物多様性へ与える影響とそれへの対応について、意見やコメントはないか。

委員:修正部分を説明したい。様々な国などで生物多様性オフセットがすでに制度化されている、と書いてあるが、BBOPというのは国の法律ではなく自主的な取り組みである。ただし、なぜそういうことを企業がやっているかというと、こうした企業の国内ではノーネットロスというコンセプトがあり、オフセットを義務付けようという動きがある。日本の場合はやりっぱなしでよい、それなのにどうして急に基準が高くなるのか、というのは落差があると思う。諸外国の企業は母国の法律で義務付けがある、ということをどこかで説明するべきではないか。
また、BBOPでは、という表現が下にあり、オフセットの中身が箇条書きで出ているが、その前に各国政府や国際社会の事例が出てもよいのではないか。

委員:BBOPが出たので言わせていただく。BBOPの考え方も書き込んでいただいているが、ミティゲーションヒエラルキーと呼んでいるが、日本で聞くと「オフセット」は何もしないで他で代償すればよいという風に理解されてしまっているので、この点を書いていただきたい。

委員:ミティゲーションヒエラルキーというのはかなり海外では定着しており、日本ではかなり明確にすべき点。

委員:最後の手段、という部分であえて英語を書いたのは何か意味があるか?強調ということでいいか?

委員:最初にオフセットをやる、という風に考えられがちであるが、最初にしてしまったのではそもそもオフセットではない。生物多様性をきちんと位置づけて日本とは比べ物にならないような評価を行っている。今出している図はわかりづらいと思う。回避・最小化・代償の3段階はアメリカでまとめたもの。3段階の図のほうがいいと思われる。

事務局別の図を挿入する。

委員:パフォーマンス分科会委員長に質問だが、ミティゲーションについては、戦略的アセスメントが欧州などで進んでいると思うが、日本ではまだ進んでいない。ステークホルダー参画で決めていくのか、というようなことを教えていただきたい。

P分科会委員長:日本では国際社会と相当ずれている。アメリカの場合、最初から戦略アセスメント。この土地で開発を行うか行わないか、などということを検討する仕組みがNEPA(アメリカの法律で、National Environmental Policy Actの略)など。日本、EUはまず開発する土地が決まっている。戦略アセスメントという言葉であるが、段階を経て発展しており、本来EIA(環境影響評価)は戦略アセスメントでなければならない。1969年のNEPAが一番進んでいる。最初からステークホルダーが参画し、完全な回避がやれる仕組み。ただそういう仕組みがあるだけで、規則があるわけではないため、ケースバイケースで決まってくる。日本の環境アセスメントとは相当な距離がある。日本で戦略アセスメントと言っているのは複数案を検討するが、諸外国ではそれは事業アセスメントになる。SEA(戦略的アセスメント)というのはもっと早い、地域計画や総合開発計画のレベルでやる。その段階でもまだまだ日本は、国際社会ではプロジェクトレベルでやっているものを戦略アセスと呼んでいる。

委員:ミティゲーションバンクという言葉であるが、これは意味合いは否定的か肯定的か。

委員:ミレニアムアセスメントの中では経済的手法を使ったほうがいいだろうというようなサジェスチョンがあった。

委員:生物多様性条約の前文で、「科学的な証拠がないことをもって…すべきでない」という表現があるが、代償という行為をもってよりやりやすくする、という意味合いだと思う。バンクは必要悪としてこれからはこれもないといけないのかと思う。

委員:注意しながら、という表現を使っていくほうがいいのではないか。

事務局この部分は十分に事務局内でも議論している最中で、感覚的なものだけではない不安があり、特にこのバンクを導入したとき、市場メカニズムを導入するわけであるが、時間のスケールが違いすぎる。本当に管理できるのか。諸外国ではどのくらいの歴史があるのか把握していないが、日本の国土が小さいこと、地域に根ざした人たちがいる、というような歴史的背景の違うところでこれを導入するというのは抵抗がある。

委員:3.2直接影響への対応という章は、全体的な位置づけはどうなるのか?内容は興味深いがこの項目はやたらと詳しいと見えるが?こういうことが世界にあり、注目に値するという位置づけでいいのか?他に入れる場所があればいいかと思うが。企業活動が生物多様性へ与える影響、について、直接・間接、などの説明があり、このミティゲーションという言葉は目次にもあるほどであり、全体からするとバランスが取れていず、枠で囲むなど、対処すべきではないか?

事務局基準に出てくるノーネットロス、回避、最小化などを詳しく理解してもらうためのもの。内容が長いので項目を与えたわけであるが、少し整理したいと思う。

委員:別の委員が先ほど言った、回避・最小化、などの順番が大切である。インパクトに対してのミティゲーションである。日本の中ではミティゲーションは、代償ミティゲーションのことだという風に理解されることが多く、誤解を与えやすい。

委員:3.1をどう位置づけるのか、ということについてであるが…基準P1の最後の部分で、今後の課題というものがあり、「国情や環境との。。。に十分配慮し」という表現を入れていただいた。この部分は合意いただけるのかと思うが、3.1の位置づけは議論したほうがいいと思う。

事務局この部分はネガティブな意見もあるということを書きたい。

委員:ミティゲーションの定義を入れればいいかと思う。

委員:8ページに書いてはあるが、ミティゲーションという言葉で表される範囲が相当に広く、用語をかなり注意して書く必要がある。

委員:言葉の説明も別個設けたほうがいいのではないか。

委員:そういう意味では、言葉の定義が必要である。また、日本と海外では同じ言葉でも受け取られている意味合いが違う、ということを入れておいたほうがよい。後々失敗につながりかねないので、たとえばEIAやSEAはここまでのレベルを言う、というようなことを書いておいたほうが良い。

委員長:10ページの評価基準案、まずはマネジメントについてどうか?

委員:全体の方針の基準M1やP1という書き方であるが、例えば、「〜いること」という表現であるが、実際にはそれはどういうことなのか。もっと具体的に、「ガイドラインをもってそれを公表していること」というような書き方ができないか。

事務局文章中にあるように、経営方針に生物多様性について明記し、公表する、という風に書いた。

委員:M6、M9はある意味すべて他の基準にも関わることになるかと思う。最初の段階から参加させることが重要である。しかしこの文面だとそれが読み取れない。

事務局パフォーマンスの基準に、すべての段階で、ステークホルダーを参加させると書いてある。

委員:国境を越えた範囲を対象にしなければならない、ということを明記すべきである。

事務局明記したいと思う。

委員:レベル評価表と一緒に見ていただくとわかりやすいと思う。ある程度の進め方の筋道も入っているので、活動しやすい形で入れており、併せてみていただきたい。

委員:できているというのがレベル5で訂正していないのがレベル0、その間をちりばめているという印象。その間のレベルがわかりづらい。レベル3まで行ったほうがいいのか、4が理想なのか。非常に機械的な割り振りをしている。そもそもどういう風にレベルわけするかという議論からしなければ、この表だけではもっとブラッシュアップする必要がある。

事務局表を作った経緯であるが、レベル0は調べていない、知らない、ということも入るであろう。レベル5に達成するためには企業として途中段階でチェックする項目があるであろうから、わかりやすいものを1から順番に書いていった、という経緯である。

委員:4年ほど前、NSCで生物多様性の評価基準を5段階に分けて、実際に5−6人の委員を任命し、企業を対象に評価をしたことはある。その際レベルを5段階にすべきかどうか悩ましかった。3段階くらいでもいいのではないか。

委員:今の意見に賛成。今は6段階あるが、1,3,5くらいにしてはどうか。2、4は空白でもいいのでは。1.5、というようなつけ方をしなければならない場合もあると思う。

委員長:M1からM10まで、他にはないか。

委員:パフォーマンスとも関係するので申し上げるが、13ページのM5は、「企業活動が生物多様性に与える影響を把握し…」とあり、これが私が最初に言ったことになるのだが、1が企業理念への反映、2が影響の把握、次に影響への対処、という順番になるのではないか。PのほうにはM5に相当するものがない。影響を分析することなしに対策をたてることはできるのか?

事務局影響を把握することは、その影響がどの程度であるかという評価には関係がないので、マネジメントの評価基準ということで整理したもの。

委員:M8のところに言葉としては予防的アプローチという言葉が入ってはいるが、例えば基準M2の部分で、影響をすべての側面で量的・質的に回避・低減すること、ということを明記し、基準の説明部分で、予防的アプローチを入れればどうか。M8の方はそうすると順応的管理ということでいいのかと思う。

委員:回避はぜひ入れていただきたい。これが一番のポイントになると思う。1−10までの大きさがそれぞれ違うようにも感じている。例えば、M1は明らかに経営方針、M2やM5はそこに入るのではないか。しかしあまり複雑に階層化することも反対である。

委員:23ページに出ているような区分になっており、それほど並列的ではないと思う。

委員:それもあるし、それほど見通しが悪いわけではないと思う。

委員:表を最初に持ってくるのがいいのではないか。

事務局表は前のほうに持ってくる。

委員:M10であるが、研究機関を入れたほうがよい。また、Mの中でステークホルダーが参画したことに対してそれをどう公表するか、であるがいかがか。

事務局同じページのM9の部分にある。

委員長:ではパフォーマンスのほうに進みたい。P1-6まで、ご意見はあるか。

委員:ネットゲインとネットロスを評価する、とあり、「具体的には下記を。。。」とあるが、これが具体的であるかが疑問である。ここで書かなければならないのは、ミティゲーションシークエンスの話と、ノーネットロス、この二つの定量評価、の3つを示すのがよいのではないか。
また、M5のような影響をまず分析する、という文言がないが。。。

事務局これはマネジメントに入るという考えで整理している。

委員:そうすると全体の構造がプレスリリースの案の裏にある、M評価基準の「実施」のなかに入っていると思うが、それはパフォーマンスなのではないか。これはパフォーマンスに入れてもいいのではないか。

委員:それについてはマネジメントの最初の部分に書いてあったのではないかと思う。4.1の部分であるが、「マネジメント努力を評価する」とある。実施についてのマネジメント、という分け方をしていて、今話している部分というのは、これは個々のプロジェクトではなく全体の話ではないのかと思う。

委員:10ページのパフォーマンス基準の説明書きには書いてある。どの程度の影響を与えるかを明らかにする、ということがパフォーマンスの部分には書いていない。

事務局整理としてはマネジメントに入れておいたほうがいいと思う。直接影響のP1については、もともと与えるかもしれなかった影響を定量的に評価して公表する、ということを入れるか否かの議論ではないか。回避や最小化の前にどのような議論をしたか、ということをP1で考えるのではないか。

委員:その議論は環境アセスメントでずっと議論してきた。影響の度合いを定量的に評価するかどうかは非常に重要。やはりP1ではなく、別個に項目を設け、影響を定量的に把握し公表する、ということを入れなければならない。今のままだと何をもって回避・最小化・代償したのか、基準がまったくわからない。企業によっては影響を調査はしたが回避できなかった、という場合もあると思うが、影響を評価したそのこと自体が評価されるべきであり、ぜひ項目を抜き出していただきたい。

事務局企業が当初考えていた案の評価というのは、環境影響評価の文章中に出てくるのではないかと思うが、その結果として企業は実施の段階でどういう影響を与えるか、というのがポイントになると思う。壮大な案を作成し、回避が大きくできた、という風に言うこともできるわけで、実際に回避し、最小化した後の影響を把握することでいいのではないか。M5については現状を把握する、ということで、プロジェクト以外にも当てはまるということで、マネジメントにいれたほうがいいと考えた。

委員:回避・最小化・代償は、何を回避しているかがわからなければ意味がない。直接影響を与える企業活動そのものについて、何を回避・最小化・代償した、ということを最初から最後まで示す必要がある。

事務局現実的にそういうことが十分可能であるのであれば、P1をやったかどうかを公表する場合に、当初の計画、回避の分量、などを書けばいいのではないかと思う。

委員:日本のアセスでは何を回避・最小化・代償しているかが把握されていない。まず定量的にどれぐらいのインパクトを与えるのかを国民・市民に知らせることが重要である。こういう対策をしたということだけを書くのでは、手前味噌になってしまう。現実はそういうアセスが横行している。ぜひ何が影響なのかを定性的・定量的に押さえるようにしていただきたい。

委員:基本的にパフォーマンス分科会委員長に賛成。生物多様性と自社の関係を認識しない企業が多く、まず影響がどうなのか、ということを明確にやるのは重要である。M5には同じようなことが書いてはある。が、P1,2,3あたりとM5との関係は明確ではない。

委員:M5では全体と個別を評価するのか、M5は個別も入るのであれば問題ない。

事務局M5では会社の活動すべてについて現状を把握し公表する、というつもりで書いている。定量的に評価する、という点についてお伺いしたいが、すべて現実的に定量的に評価できるのか。

委員:できるだけ定量的に、ということ。定量的に評価できないからやらない、というのは認められない。時代や科学の発展に追いついていかなければならない。こういうガイドラインを作るうえは、抜け道を作るようなことは避けたい。

委員:パフォーマンスの方に調べる・評価する、という文言があったほうがすっきりする。マネジメントの方は相対的な話なので、文言はこれから考えなければならないが、すっきりすると思う。逆に何か問題があるか?

事務局そういう整理の仕方がいいのであればそうすることも可能。

委員:影響は、何を持って影響とするのか、ということが何も書いていない。Inventory assessment くらいは入れなくてもいいのか?どんなものがそこに生息しているか、などなど。先ほどのマネジメントのところでそれだけ把握できるのか?これは個別のプロジェクトレベルで把握するしかないのではないか。さらに、インパクトを把握することと、ミティゲーションを比べると、インパクトを把握するほうが相当難しい。お金と人材を確保してやらない限り、できない部分である。

委員:改めてM5を見ると、分析の内容など詳しく書いてあるため、それをP0に持ってきて、M5はマネジメントでは調べるという方針を持つとすれば、いいのではないか。

事務局それであればすっきりすると思う。

委員:インパクトの評価を分析するのは非常に重要。企業の各報告書を見ると、インパクトについて報告しているケースは見たことがない。世の中に与えている影響を公表しているケースはほとんどないが、こちらのほうがむしろ重要。

委員:統合影響評価というものがあり、これは影響を評価した、ということになっているが、個別の影響をみているか、ということになると難しい。そうした手法はいくつかあるが、通常は総量を出すのは企業は嫌がるため、総量は乗っていないが。

委員:さっきの意見に同感だが、アセスメントで開発事前から関わったことがあるが、開発そのものが妥当かどうか、ということの前に何を調査するか。どういうステークホルダーがいるか、ということまで含めて、MとPが関連していればいいのかと思う。

事務局P0にM3,4,5とP1,2,3が関連していると書くということか。

委員:この表が一番最初にくると、わかりやすくなるのではないか。

事務局少しわかりやすく表の位置を整理をしたい。

委員:日本では国立公園は自然公園の一部であるから、削除したほうがよい。種の保存法の指定種の生息地も付け加えていただいたほうがよい。どこまで詳しく書くか、は事務局の判断でよいと思う。世界遺産地域は開発できないことになっているが、どうして書いてあるのか?

委員:海外を想定すると、世界遺産地域では開発しないというルールを決めている例もある。

委員長:どちらにしろ、整理が必要ではないか。海外、国内、県レベルなど。

事務局整理をする。

委員:IUCNの自然保護地域というのはどういうものかよくわからないが、key biodiversity area というものなどあり、非常に重要かと思う。既存の保護区でカバーされていないところはかなりあり、非常に重要ではないか。ホットスポットはどうかと思うがキーワードにはなっている。
また、P1の最後のところとP2の地域社会の影響、はどういうわけ方になっているのか。前の部分で生態系サービスのことを述べているが、生態系サービスに着目した評価やモニタリングも重要な視点ではないか。P6の社会貢献の部分であるが、3段落目の途中、「また、」というところから、この部分は地域経済に対しての配慮は当然であるが、グローバルな観点が重要になってくる。地域だけに限定するのはどうかと思う。また、社会貢献についてはある意味難しい部分があり、植林をしたとして本当にそれが生物多様性保全に役にたっているのか、など。本来もっとやるべきことがあったかもしれないのに、植林を安易に選ぶ例もあり得る。社会的なニーズはどこにあるのか、事業を絞り込むプロセスが必要。P6はちょっと弱いかと思う。

委員:非常に重要な指摘である。P6の中に入れてもいいと思う。影響の全体像に比べて貢献度はどうなのか、ということ。

委員:社会貢献事業は社会に貢献しているかが問われるべき。

委員:2004年か5年に評価基準を作ったとき、レベル0−5までつくり、サイドに生態系に対するマグニチュードをつけた。レベル5の無限大はほぼ自然と同じ、レベル4は自然に近い状態、という具合にした。屋上にビオトープを作った、という例ではレベル1。レベル3になるようなものは、1ヘクタールの土地を開発する場合、100ヘクタール購入し残りの99ヘクタールをNPOに寄付する、など。GEFの資料の2004年か2005年版に載っている。

委員:企業が社会貢献としてやっている場合、インパクトを考える必要があり、現状では何らかの問題に対応する形で対応することが望ましい。しかし問題を明確にしなければならない。屋上緑化はなんでもレベル1というわけではないし、その地域で何らかの生態系のコリドーの分断化問題に貢献する、などの場合はより高く評価されなければならない場合もある。

委員:考え方として費用対効果を考えずに社会貢献をしている場合が多い。例えばオーストラリアの砂漠に1000万円分の植林をやった、という場合、そのお金はもっと効果的に利用できたのではないか。

事務局会社が本業で生物多様性へ影響を与えている影響はネットでゼロとすることが基準となっているので、社会貢献では、本業での影響に対してどの程度の社会貢献を、という風に考えるのではなく、社会貢献として正の影響を与えているかどうかで評価してはどうかと考えたもの。また、企業が社会のすべての問題を解決する、というわけにはいかないので、これはわけて考えた。

委員:今は直接・間接影響での影響をゼロとしようとせず、社会貢献だけをしている企業がほとんどである。企業の事業全体のバランスで考えていくべき。地域社会への貢献というのは、義務的に考えたほうがよい。

委員:今の意見に賛成。また、生物多様性という観点から考えると、事業の影響をゼロにしたという場合、その企業自体が与える影響に関しては責任を果たしていると思うが、それ以外にも問題は残るわけであり、そこに対処するのが社会貢献の部分。そもそも補償できているかどうか、というのは整理して考えたほうがいいのではないか。

委員:用語の使い方でP3直接影響の部分で、企業は事業の〜「ライフサイクル」という言葉があり、これは通常使う用語か?

事務局英語では使われているが、日本語では使っていないのであれば説明をつける。

委員:24ページであるが、P5(金融)の部分で聞きたいが、対象となる事業者が行う事業活動が、とあるが、これはプロジェクトの活動か、それとも会社を評価するのか。

事務局IFCではプロジェクトの評価であり、本基準でもプロジェクトを想定している。

委員:これは根本的な問題である。既に企業ベースで評価している金融機関もある。レベル5は会社ベース、レベル3か4かわからないが、中間的な評価はプロジェクトベースということにするなどの方法があり得る。

事務局企業ベースで評価するように修正したい。

委員長:これでいいでしょうか?プレスリリースと今後の予定を事務局から説明。

事務局今後の予定を説明。

委員:評価基準のレベル表については、例としてつけるということではどうか。

事務局そのように説明を付けて、評価基準案にレベル表を入れる。

●質疑応答

委員長:傍聴者から意見などがある方は発言してください。

傍聴者定量評価できる部分は、明確にできる部分だけでも定量化すべきであると書いておいてはどうか。

委員:企業は定量化したいので、すべて定量化できないことを明記してはどうか。

●マネジメント評価基準(たたき台) 修正点について

委員長:CBD(生物多様性条約)貧困問題と、先住民族のや生態系サービス予防原則。「サプライチェーン」を含めた「バリューチェーン」とPDCA単層林環境アセスメント(EIA)経団連原油。「ステークホルダー

傍聴者生は条約性(里山

全員:ありがとうございました。

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