既存建物の暖房時の省エネ

気候変動

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元から断つ

暖房時の省エネで第一に対策すべきは、建物の断熱です。特に熱損失の半分を占める窓の断熱が肝心です。事務室や会議室を夜、カーテン無しで暖房しているのはもったいない使い方の例です。既存建物での簡便な断熱対策を紹介します。

窓断熱グッズの方式は色々ある

下まで届く厚手のカーテンの使用がまず定石です。それで不十分な場合は、ネット検索すると沢山の断熱グッズが紹介されています。取付け場所、視認性、結露具合、施工性、価格などの要素で選択します。メーカの品揃えHPで各種方式が分かります。ニトムズ 

窓ガラス直貼りのプチプチ方式

プチプチは梱包用ではなく、三層構造の断熱用が適しています(例:ニトムズE1580窓ガラス断熱シートフォーム水貼り等)。厚みは各種ありますが、厚い方が効果的です。右写真は水スプレーで貼った例です。両面テープ不要で作業が早く、撤去しても跡が残りません。

窓ガラスから少し浮かして貼る方式

ガラス面直貼りではなくガラス枠を利用して若干の空気層を設ける方式もあります(「窓ガラス透明断熱フィルム」ニトムズ E0590など)。但し、サッシ枠に3cm以上のテープを貼るスぺースが必要なので、サッシ枠の凸凹の具合で取付けに適さない窓もあります。そこでFoE事務所では、高さ5mm程の透明ゴムのクッションで隙間を確保し、厚さ0.1mmのビニールシートを貼りました。透明でオシャレ感があり好評です。

透明カーテン方式

作業時間の短さでは群を抜いて簡便なグッズです。既存カーテンのガラス側に透明ビニールカーテンを共吊して床に垂らし、冷気の侵入を防ぐタイプです。特に隙間風のあるような場所に効果的です。ただし、カーテンフックに吊るすだけで密閉性は無いため、室内の湿度の高い空気がガラス面に触れて結露する現象を止める効果は無いことに留意する必要があります。

簡易内窓キット方式

建築的な内窓ほどしっかりしたものではありませんが、W1800×H900mmの窓用キットが8000円台で購入できます。中空ポリカ3 mm厚で適度の視認性があります。写真はFoE Japan事務所に取り付けた例ですが、レールを切って歪みなく枠を取り付けるのに多少時間を要しました。

温度グラフの赤線は室内の温度変化を示します。青線はガラスと内窓に挟まれた空間の温度です。閉めっ放しのため、昼間は日射で温度が上がっています。冬の昼間は内窓をオープンにした方がよいことが分かります。

夜はカーテンも閉めています。夜間は23℃程に暖房されており、22時の20℃から翌朝6時の14℃まで自然に下がっています。内窓の中(青線)はそれより7℃程低く、外気は更に下です。

部屋の温度は他の要素もあるので、内窓だけの効果評価はできませんが、外部との緩衝地帯を形成していることは読み取れます。

結露対策

冷たいガラス表面に室内空気が触れると結露が生じます。冬場は開けない窓であれば、密閉してしまうのも多少乱暴ですが一つの方法です。写真は配線モールを利用して透明ビニールシートを固定して出窓を密閉した例です。内側の白い物は塩化カルシウムの湿気取りです。

一方、窓内側の湿度を下げる対策もあります。サッシの換気シャッターを開けたり、換気扇を運転する方法があります。

すきま風対策もお忘れなく

すきま風が暖房を損ねている場合があります。写真は古いサッシの隙間をパッキンで塞いでいるところです。また風呂場の窓からの冷気が侵入しないように、脱衣室ドアの密閉性を上げるよう金具を調整します。

エアコンは均一な暖房が苦手

多くの事務所には天井にエアコン室内機が直接設置されています。中央式空調方式と異なり、個別にリモコン操作できる良さはあるのですが、吹出し温度と室内温度の差が大きいため、暖房では浮力が強く、天井部ばかりを温め(省エネに反する)、冷房では局所的な冷風直撃を生じてしまう欠点があります。

中小の部屋はサーキュレータで足元を温める

下記の温度グラフは「みらい館大明」の教室(9m×7m)のものです。エアコンを入れても足元温度(青)がなかなか上がりませんでした。そこでサーキュレータで空気を循環させることで右図のように足元を温めています。ただし長辺方向の対岸に気流をぶつけて循環させるには直径23cm型のサーキュレータ2台ではやや力不足のようです。サーキュレータは、取付けが許されるならば天井近くに強固に設置されるのが望ましいと云えます。

サーキュレータを動かすタイミング

エアコンの起動と同時に動かすと、冷たい気流が回ることになるので、天井近くの温度が上がってから運転します。ところが、人間はズボラなのでサーキュレータをON・OFFすることを忘れてしまいます。そこで、「みらい館大明」では自動発停装置を試作し取り付けて、天井近くのセンサー温度が21℃に上がったら動き出すようにしています。タイマーで夜9時前に自動OFFするようにしています。

大部屋のサーキュレータは何処に置くの?

実はサーキュレータ(扇風機でも可)の置き方は、部屋毎に結構工夫を要します。風が直接人に当たらないようにしないと「寒い!書類が飛ぶ」と嫌われます。そこで小部屋では、サーキュレータを真上や壁に向けて上向きの気流を作り、天井から周囲の壁に沿って降りる循環流をつくることで足元を温める方法が推奨されます。(https://news.mynavi.jp/articles/2015/01/27/cradle_aircirculator/

しかし大部屋では気流が対岸に当たる前に失速してしまうため、暖気を押し下げる力は残っていません(天井にサーキュレータを取り付けられたらよいのですが)。

部屋全体の循環流は作れないまでも、サーキュレータを高い位置に設置して、温かい気流を吹き下ろす手はあります。写真は実験的にサーキュレータを天井近くに設置したものです。水平距離で3m離れた足元温度が2℃程上がりました。なお噴流が直接床に沿って流れ、人が不快な気流を感じないように、吹き降ろし位置に椅子などの気流障害物を工夫しています。部屋が冷えるのは外周部からなので、冷える面に一定台数を設置すれば効果が期待できそうです。

大部屋で循環が難しい場合

「暖突」を使ってみよう

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