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フィリピンのルソン島中部・北部が過去最悪と言われる洪水被害に見舞われてから約1ヶ月が経ちました。しかし、洪水がもたらした農業被害の爪痕はまだ色濃く残っています。
先週、サンロケダムの建設された地元パンガシナン州サン・マニュエル町を訪れました。ダム建設時に村の一部が採石場として使われていたサン・ビセンテ村では、その跡地で再び農業を始めている人々がいます。今回、ダムの放水後に下流に押し寄せた大量の水は、その水田の一部もさらっていってしまいました。その後に残されたのは、激しい水の流れに乗って上流から運ばれてきた土砂の堆積。今は洪水の水も引いていますが、その場所でまた耕作するには、その土砂堆積を取り除く必要があります。
「昨年、5,400ペソ以上(注:フィリピン政府によれば、この地域の貧困ラインは5人家族の場合、月収5,307ペソとされている。)かけてブルドーザーを賃借りし、この土地を再び水田として使えるようにしたんだ。これまで3回程この場所で収穫をしてきたけど、今回の洪水で水田は土砂で埋まってしまった。この土砂を取り除くには、またブルドーザーが必要だ。せめて、ここにたまった土砂に砂金が含まれてくれていれば。」ある68歳の老人はそう言い、土砂で覆われてしまった水田で砂金採りをしようと、スコップで土砂をかき集めていました。
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<サン・ビセンテ村の農地> 8月末の洪水で稲が土砂に押し流されてしまった水田。残された稲がまばらに見える。(2004年9月 FoE Japan撮影)
<サン・ビセンテ村の農地> 土砂で覆われた水田の上で砂金採りをする老人(2004年9月 FoE Japan撮影) |
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