【声明】辺野古埋め立て不承認を支持します~かけがえのない命の海を守ろう
沖縄県名護市辺野古で工事が進む米軍新基地建設に関して、防衛省による設計変更申請を、11月25日、沖縄県が不承認としました。
FoE Japanは、沖縄県による辺野古埋め立て不承認を支持します。
埋め立てが進む海域は、河口にはマングローブと干潟が見られ、浅瀬には沖縄本島周辺で最大規模を誇る海草藻場、沖には泥場や砂地が広がり、湾内には美しいサンゴ礁が発達しています。大浦湾で確認されている生き物は5,334種。そこには262種もの絶滅危惧種が含まれています。まさに「生命のゆりかご」です。 沖縄の人たちの明確な反対の声にも耳をかさず、世界有数の生物多様性を誇るこの海が、現在、着々と埋め立てられています。
建設予定地の大浦湾には、「マヨネーズ」並みの軟弱地盤があります。軟弱地盤は、最深で水面下90メートルにも達します。これを7万本もの砂杭を打ち込んで、地盤改良するというのです。環境に与える影響はさらに甚大なものとなるでしょう。
本体工事には15年かかるといわれています。総工費は当初計画の約2.7倍に当たる約9,300億円に膨らみましたが、さらに膨らむでしょう。沖縄県の試算では2兆5,500億円となっています。
軟弱地盤の問題は、かなり前から指摘されてきていました。最近の報道では、埋め立て開始の3年前から、地質調査を実施した業者が軟弱地盤について政府に報告していました(注1)。それにもかかわらず、防衛局はぎりぎりまで軟弱地盤の問題を隠し、変更申請を引き延ばして、無理な工事を続けてきました。
活断層の存在も指摘されています。
今回の変更申請は、当然、明確にしなければならない重要な事柄(地盤改良工の面積、杭の本数、地盤沈下、埋立土砂の採取場所・量、運搬経路など)が明記されない内容になっています。
設計変更に伴う環境影響についても、地盤改良工事のための敷砂投入・砂杭打設、浚渫等による汚濁の拡散は深刻であり、不可逆的な変更を引き起こすのにもかかわらず、「当初計画と同程度か、それ以下」とし評価していません。このように大規模な設計変更を行うのであれば、環境アセスメントを新たに実施しなおすべきでしょう。
前回実施された環境影響評価の後に発見された、周辺海域で新種や日本初記録種の生物の発見、珍しい長島の鍾乳洞などについての評価や、埋め立て土砂の調達予定地を明確にし、調達や土砂を移動させることに伴う環境影響を評価すべきです。
また、沖縄島東海岸に生息していたジュゴン2頭が行方不明となっていましたが、最近になりジュゴンの音声らしき音が計198回記録されています。この音声について防衛省は公開を拒んでいますが、その理由は不明です。ジュゴンについても評価すべきでしょう。
辺野古の新基地建設は、沖縄県民が何度も建設反対の民意を示したのにもかかわらず(注2)、強引に進められてきたという経緯があります。
かけがえのない命の海を守るためにも、今こそ政府は、辺野古新基地建設を中止・撤回する決断を行うべきです。
注1)「辺野古沈下の懸念把握、防衛局 埋め立て3年前、業者が報告」共同通信2021年11月28日
注2)2018年の沖縄県知事選挙では、辺野古米軍基地建設反対をかかげた玉城デニー氏が圧勝。辺野古新基地建設の是非を問う2019年2月24日の沖縄県民投票では、新基地建設反対が 43万4273票72%を獲得。すべての市町村で反対が賛成を大きく上回った。