G7閉幕、先進国の足並み揃わず
イタリア・タオルミーナで開かれていたG7サミット(主要7カ国首脳会議)が、先週5月27日に首脳宣言(コミュニケ)を採択して終わりました。
もはやG7そのものが矛盾に満ちた現在の国際経済体制を体現する会合になっていますが、トランプ氏の参加により、これまで世界のリーダーが集まる場と繕われていたその体裁に大きな穴があいたようです。
科学を否定し気候変動問題は存在しないと主張するトランプにより、パリ協定の実施へのコミットメントはアメリカをのぞく6カ国のみが表明する形にとどまりました。
主催国イタリアは市民の安全をテーマに、アフリカや中東から危険な地中海を横断してイタリア、ヨーロッパに押し寄せている難民と移民の問題を取り上げようとしました。しかしとりわけアメリカの反対で、G7諸国の国境を守る権利や非合法移民の抑止など、難・移民の基本的人権よりも国家主権と安全保障を優先する短い段落が宣言に盛り込まれるという結果になりました。
G7会合直前に、紛争や機能不全におちいっている政府、気候変動の影響により深刻化している干ばつや食糧危機により、現在660万人が中東やアフリカ北部沿岸からヨーロッパを目指しているというドイツ政府の内部分析が報道されました。
G7の結果は、危機に直面している人々への本格的な救済や、背景にある貧困・経済格差の問題に目をつむり、一部受け入れすら拒否しつつある先進国の姿勢が大きく現れています。
今年1月からだけでも、アジア、中東、アフリカからヨーロッパへ越境を計る人々の数はすでに65万人にのぼっています。
先進国はリーダーシップを発揮するどころか、足並みを揃えることもできず終わりました。
(小野寺)