沖縄高江ヘリパッド建設における自衛隊ヘリコプター使用に抗議する防衛省交渉報告(9/15)
交渉の冒頭に、現地住民の会など10団体が連名する抗議文を提出。PDFはこちら
交渉には、電話で小口幸人弁護士とつないで行いました。市民側は、今回の自衛隊ヘリによる輸送は、自衛隊法から逸脱しており違法であること、沖縄県の意向を無視しており、住民の生活にリスクをもたらしていること、稲田大臣の答弁の矛盾などを追及。
Q:北部訓練場ヘリパッド建設にあたっての自衛隊ヘリによる資機材運搬は、自衛隊ができることをポジティブリストによって示した自衛隊法に違反しているのではないか。
回答:今回の自衛隊ヘリによる輸送は、自衛隊法に基づくものではない。防衛省設置法第4条第19項に基づくもの。民間ヘリでは輸送できないため、自衛隊のヘリを用いた。国民の権利と義務に影響を与えるものではない。
当方:まず、国民の権利と義務に影響を与える行為でなければ、自衛隊法から逸脱してよいというわけではない。自衛隊法(第六章第七十六条~第八十四条)は、ここに規定されていること以外はやってはいけないという意味で、ポジティブリストとよばれている。
第二に、自衛隊ヘリ輸送は、国民の権利に影響を与えている。わかりやすいのは騒音・落下の危険である。
自衛隊法に書かれている任務を超えて、自衛隊が出動した事例について教えてほしい。
→明確な回答なし。(これは後日回答をもらうことにしました)
当方:自衛隊法は、ポジティブリストですね?
先方:はい。
Q:ヘリコプターで運搬したすべての物品のリストを提出されたい。
回答:ダンプトラック(積載量4t)、キャリアダンプ(〃4t)、トラック2台(〃4t) 重量3.8トン
当方:稲田防衛大臣は、「民間ヘリで運べないものを運ぶ」としており、民間ヘリは最大5トンとのことである。おかしいではないか?
民間のヘリで運んだもののリストを提示してほしい。
Q:環境影響評価図書における輸送ルートと違う。県道を横切っている。なぜか?
回答:離発着時の安全を考慮してこのようなルートとなった。
Q:県道を横切ることは県民のリスクを高めている。県の了解をとったのか?
回答:承知していない。→(実際はとっていないものと思われます。回答待ち)
Q:ヘリは何回飛んだのか?
回答:6回。
(現地にいた人より、空の状態も含めて20回くらい飛んでいたとの証言あり。防衛省は、確認すると回答)
Q:今年7月に作成された沖縄防衛局の環境影響検討図書では、ヘリの騒音影響のところに「1日当たりの運搬回数は5回以下としている」と書かれている。それに反している。
回答:「5回程度」としている。(実際に、同図書p.2-35では、「5回以下」と書かれています)
Q:沖縄県知事が「法的根拠を示すまでは自衛隊ヘリでの輸送をすべきではない」とし、12日には、自衛隊ヘリ空輸を実施しないように求めた。それを無視したのはなぜか。由々しき問題ではないか。
回答:確認して連絡する。
Q:航空法79条に基づく地方航空局の認可は得たのか。
回答:自衛隊には特例がある。
当方:自衛隊法に基づかない任務なのに特例があるのか。
先方:確認する。
Q:県知事が、自衛隊ヘリでの輸送を行うべきでないと要請したら、どう対応するのか。
回答:真摯に受け止め、適切に対応する。(注:実際には、県知事は、自衛隊ヘリを飛ばさないように要請していたのですが、それは無視されてしまいました)
Q:今後も自衛隊ヘリによる搬入を行うのか?
回答:計画はされていない。
小口弁護士のコメントにもあるように、自衛隊法に基づかない自衛隊の出動は違法です。
自衛隊法の第六条にリスト化されている自衛隊の任務は、極めて厳格に自衛隊がやっていいことを規定しているものです。
これ以外にも、高江におけるヘリパッド建設を強引に進めるあまり、国側の法の逸脱ぶりは目にあまるものがあります。9月24日には、小口弁護士を迎えての集会、9月29日には防衛省・警察庁交渉も予定されています。引き続き、高江の問題を追及していきたいと思います。
※抗議文提出についてNHKで報道されました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160915/k10010687361000.html
※ポジティブリスト:「列記されている事項以外のことは禁止されている」というリスト
※自衛隊法第六章と防衛省設置法 PDFはこちら
「自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)は、自衛隊の行動及び権限を個別に規定しており、いわゆる「ポジティブリスト」であると認識している。」(「浜田和幸参議院議員提出の質問主意書に対する答弁書」平成二十六年六月三日内閣総理大臣安倍晋三)
自衛隊法第六章 自衛隊の行動
自衛隊の行動 | 条項 | 発令の状況 |
防衛出動 | 第七十六条 | 外部からの武力攻撃が発生した事態又は発生する明白な危険が切迫すると認められるに至った事態 |
防衛出動待機命令 | 第七十七条 | 防衛出動命令が発せられることが予想される場合 |
防御施設構築の措置 | 第七十七条の2 | 防衛出動命令が発せられることが予想される場合 |
防衛出動下令前の行動関連措置 | 第七十七条の3 | 防衛出動命令が発せられることが予想される場合 |
国民保護等派遣 | 第七十七条の4 | 都道府県知事から武力攻撃事態等における国民の保護に関する法律の規定による要請を受けた場合 |
命令による治安出動 | 第七十八条 | 一般の警察力をもつては治安を維持することができないと認められる場合 |
治安出動待機命令 | 第七十九条 | 治安出動命令が発せられると予想される場合 |
治安出動下令前に行う情報収集 | 第七十九条の2 | 治安出動命令が発せられると予想される場合及び武器を保持した者による不法行為が行われることが予想される場合 |
海上保安庁の統制 | 第八十条 | 防衛出動及び治安出動命令があった場合 |
要請による治安出動 | 第八十一条 | 治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合に都道府県知事が要請した場合 |
自衛隊の施設等の警備出動 | 第八十一条
の2 |
多数の人を殺傷し又は重要な施設を破壊する行為が行われる恐れがある場合 |
海上における警備行動 | 第八十二条 | 海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のための特別の必要がある場合 |
海賊対策行動 | 第八十二条
の2 |
海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律の定めるところ |
弾道ミサイル等に対する破壊措置 | 第八十二条
の3 |
弾道ミサイル等が我が国に飛来するおそれがあり、被害を防止するため必要があると認めるとき |
災害派遣 | 第八十三条 | 都道府県知事そのた政令で定めるものが災害に際して人命又は財産の保護のため、部隊等の派遣を要請した場合 |
地震防災 | 第八十三条
の2 |
大規模地震対策特別措置法に規定する地震災害警戒本部長からの要請があった場合 |
原子力災害派遣 | 第八十三条
の3 |
原子力災害特別措置法に規定する原子力災害対策本部長からの要請があった場合 |
領空侵犯に対する措置 | 第八十四条 | 外国の航空機が我が国の領域の上空に侵入したとき |
機雷等の除去 | 第八十四条
の2 |
海上における機雷その他の爆発性の危険物の除去及び処理が必要になったとき |
在外邦人等の保護措置 | 第八十四条
の3 |
外国における緊急事態に際して邦人の警護、救出その他の措置を行うことの依頼があった場合 |
在外邦人等の輸送 | 第八十四条
の4 |
外務大臣から外国における災害、騒乱その他緊急事態に際して邦人の輸送の依頼があった場合 |
後方地域支援等 | 第八十四条
の5 |
重要影響事態、大規模な災害、国際平和共同対処事態などに際して |
(所掌事務)
第四条 防衛省は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 防衛及び警備に関すること。
二 自衛隊(自衛隊法第二条第一項 に規定する自衛隊をいう。以下同じ。)の行動に関すること。
三 陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の組織、定員、編成、装備及び配置に関すること。
四 前三号の事務に必要な情報の収集整理に関すること。
五 職員の人事に関すること。
六 職員の補充に関すること。
七 礼式及び服制に関すること。
八 防衛省の職員の給与等に関する法律 (昭和二十七年法律第二百六十六号)の規定による若年定年退職者給付金に関すること。
九 所掌事務の遂行に必要な教育訓練に関すること。
十 職員の保健衛生に関すること。
十一 経費及び収入の予算及び決算並びに会計及び会計の監査に関すること。
十二 所掌事務に係る施設の取得及び管理に関すること。
十三 所掌事務に係る装備品、船舶、航空機及び食糧その他の需品(以下「装備品等」という。)の調達、補給及び管理並びに役務の調達に関すること。
十四 装備品等の研究開発に関すること。
十五 前号の研究開発に関連する技術的調査研究、設計、試作及び試験の委託に基づく実施に関すること。
十六 自衛隊法第百五条第一項 の規定による漁船の操業の制限及び禁止並びにこれに伴う損失の補償に関すること。
十七 防衛に関する知識の普及及び宣伝を行うこと。
十八 所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと。
十九 条約に基づいて日本国にある外国軍隊(以下「駐留軍」という。)の使用に供する施設及び区域の決定、取得及び提供並びに駐留軍に提供した施設及び区域の使用条件の変更及び返還に関すること。
二十 沖縄県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法 (昭和五十二年法律第四十号)第二条第三項 に規定する駐留軍用地等に係る各筆の土地の位置境界の明確化及びこれに関連する措置に関すること。
二十一 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和四十九年法律第百一号)第三条から第九条までの規定による措置に関すること。
二十二 駐留軍のための物品及び役務(工事及び労務を除く。)の調達並びに駐留軍から返還された物品の管理、返還及び処分に関すること。
二十三 相互防衛援助協定の実施に係る円資金の提供並びに不動産、備品、需品及び役務(労務を除く。)の調達、提供及び管理に関すること。
二十四 駐留軍及び相互防衛援助協定に規定するアメリカ合衆国政府の責務を本邦において遂行する同国政府の職員(次号において「駐留軍等」という。)による又はそのための物品及び役務の調達に関する契約から生ずる紛争の処理に関すること。
二十五 駐留軍等及び諸機関(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(以下この項において「合衆国軍協定」という。)第十五条第一項(a)に規定する諸機関をいう。)のために労務に服する者の雇入れ、提供、解雇、労務管理、給与及び福利厚生に関すること。
続く