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気候変動の影響 ヤンドゥア村 |
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ヤンドゥア村は、国際空港のあるナンディーから車で南に1時間ほど南下したところの海岸線沿いにあり、海に直面している村です。ここでは、気候変動や海面上昇の影響などの要素が重なって住民の生活に変化が生じてきています。
■農作物への被害
農業はこの先海面上昇や気候変動が加速すると特に影響のでやすいセクターです。現在でも、様々な要因が重なって変化が出てきています。
ヤンドゥア村の脇を流れるタートル川を、海岸から500mくらい上流に上がったところにある土地では、潮の干満によって農業に影響を及ぶようになりました。 |
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海面が上昇することによって、満潮時には海水が川へと逆流するようになり、以前淡水の土壌だったところが、今は塩化してしまっています。そして、塩水に耐性を持たない作物は育ちません。そうした現象が起こり始めたのは、過去5年のことだそうです。
「ここでは、5年前は米やサトウキビを栽培することができた。しかし、今は海面上昇によって海水が上がってきて、土壌は塩化し、もう作物を育てることはできなくなってしまったよ。」
とヤンドゥア村で生まれ育ったトゥイさんは語ります。
「魚が取れなくなってきたり、作物が取れる土地が少なくなってきたために、同じ土地に作物を植える必要が出てきている。使える限られた土地が限られているからね。土地は一度耕作に使うと、そこにもう一度栄養分を戻すために、2年は休ませなければならないんだ。
でも、今は同じ土地で作物を栽培するしかなくなっている。だから、人々は農薬に頼るようになった、さらに悪いことにその農薬が海に流れ込み、サンゴ礁や海の生態系を荒らしている。そこに海面上昇も起こってきて追い討ちをかけているというわけさ。こうした変化は人々の食生活にも変化を生じさせていて、最近輸入品が入ってきただろ。こういうものを食べるようになったから、糖尿病や高血圧が最近増えてきている。」
とトゥイさんは教えてくれました。
「農業をする場所が無いから、人々は新しい耕作地を作るために焼畑をしてしまうんだ。これは悪いことだろ。だってCO2を出してしまうんだからね。温暖化の加速は自分たちも悪いんだ。」
とエピさんは語りますが、焼畑のCO2が温暖化を促進する割合など、先進国の産業活動に比べれば無にひとしいものです。エピさんがいったことを聞いて、私は言葉を失ってしまいました。
「向こうに見えるのがサトウキビだよ。つい最近まではこの辺り一帯でサトウキビが取れたんだ。でも、今はこの辺で農業をする人はいないね。満潮になると海水が入ってくるんだな。ほら見てみな、そこのサトウキビトロッコのレールだけ錆びているだろ。潮が上がってくるところにレールは敷かない。今は、レールのところまで海水が来てしまうようになってしまったんだよ。レールは一年に一回ほど取り替えているらしいよ。もったいない話だ。」
とサイモン・タカラさん(54)はいいます。
そのレールを見ると、確かに干潮時には満潮時に水につかっていただろうという跡を見ることができます。また、レールもそこの部分が著しく錆びています。
こうした状況に適応する策としては、作物の種類を変えるということがあります。たとえば、海水に強いタロイモを栽培するという試みを行っているところもあるが、その種は育つのに最低5年はかかる上、育っても今のタロイモほどの味の質はなく、大きさも小さくしか育たないといいます。これは、住民の食生活に大きな被害をもたらします。実際年間3万フィジードルほどの被害が出ているということです。
また、その周辺は、海水であることの証拠として、普通海辺に生息している生物が、これまで淡水域であったところでも生息しているのす。
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■海岸の浸食
ヤンドゥア村では、海岸の浸食も最近加速しているといいます。
「海岸線は昔はここから60mくらい向こうにあったんだ。干潮時にはリーフの端まで歩いて魚を獲りに行くことができたんだよ。でも、今は海面が上昇してしまったから、潮が引いていても危なくて行くことができない。」
とエピさんは語ります。
土地がだんだんと削り取られており、その侵食スピードは、毎年毎年加速しているといいます。
ここでは、海岸の浸食による被害の回避策として、家を内陸に移す人も出てきています。しかし、これは内陸にうちを移動すればいいというような簡単な問題ではありません。フィジーの人々は土地に愛着を持っていて、そして土地所有制度という強い文化が根ざしているために、簡単にほかの土地に移るということはできません。その土地で農業を営んできた人々にとっては、深刻な被害となっています。
「防波壁(Seawall)を作っても、この通りさ。2〜3年で壊れてしまうよ。」
とエピさん。
「Seawallは直立型(Vertical)のものを作ってもだめなの。斜め(near horizontal)にしないと波の力が分散しないから、エネルギーが集約してSeawallの下の部分が削られてしまう。こうして、かえって侵食を促進してしまうことにもなりかねない。こうした情報を広めないといけないんだけど、なかなか難しくてね。」
と、一緒に村を回っていた南太平洋大学のロージーが教えてくれました。
■海洋資源の減少
「最近は魚の取れる量もかなり減ってしまったね。すぐそこで取れていた魚が沖に出ないといないようになってしまったよ。やっぱり一番の原因はサンゴ礁に元気がなくなってしまったことだろう。海面上昇すると、サンゴ礁がどうやら被害を受けるらしい。ここから見える情景は前とは似ても似つかなくなったよ。だから魚が逃げていくのだろう。それと、魚が取れなくなってきたから、農業の生産高を上げる必要が出てきた。そのためには農薬を使わなければならない。その農薬が生みに流れ出して、サンゴにも影響を及ぼしていると考えられる。」
とエピさんは語りました。
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「サンゴはサンゴ虫と褐虫藻が強制する形で形成されている。海面上昇が発生すると、サンゴ虫に光合成をして栄養を与えている褐虫藻に光が届きにくくなって、光合成ができなくなってしまうの。そうすると、サンゴは死んでしまう。これはここでも壊滅的な打撃となっているわ。」
とロージー。
どうやら、海面上昇をはじめとする様々な要因が重なって、魚の獲高は減ってきているようです。
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