温暖化と森林 CO2吸収源としての森林

森林保全2024.7.17

CO2吸収源としての森林|森林NGOの視点|解説(吸収源REDD)|REDDへの意見

日本の森林で3.9%のCO2を吸収出来るか?

97年京都での国連地球温暖化防止会議で採択された京都議定書。アメリカの議定書からの離脱などの障害もありましたが、議定書の発効までロシアの批准を待つのみというところまできました。

議定書で決められた目標は、先進国全体で2008~2010年までの約束期間中に、90年に比べて5%の温室効果ガスの削減をするというもの。日本に与えられた削減目標は6%です。

この目標を遵守するに当り、日本政府は日本の温室効果ガス削減分の6%のうち、3.9%を森林によるCO2の吸収効果に頼ろうとしています。(2002年3月決定の「地球温暖化対策推進大綱」より)

しかし、3.9%と言う数字が政治的に決まってしまった経緯からして、真に実現可能なのか、甚だ疑問であると言わざるを得ません。「3.9%吸収」に対して、FoE Japanは次のように考えます。

1.温室効果ガス削減は、森林の吸収にできるだけ頼らない分野でまず努力を
森林にCO2排出量削減を期待するのは問題。自然エネルギー推進、産業界の排出削減、ライフスタイル見直しなどに努力するべきである。

2.森林保護・林業活性化のためには、「3.9%」は単なる旗印として利用を
「森林の吸収源という機能」を旗印として保全・育成の資金と人材を確保する。財源には、環境税・炭素税・水源税など。

3.「森林の多面的機能-CO2吸収」の理解を広め、森林保護や林業活性化に光を当てる手段に
森林面積・資源蓄積が増えれば一時的でも温暖化抑制に繋がる。林業活性化や国産材利用木造住宅の推進につなげる。

4.吸収量をカーボンクレジット(排出削減量)として商取引の対象とすることには充分な監視を

5.森林によるCO2の吸収は過渡的な削減でしかないと認識し考慮を
森林資源の循環利用は、長期的には「Carbon Neutral (※)」である。光合成によるCO2吸収だけでなく、温暖化によって呼吸作用が活発化し酸素消費が増大することもある。
※自然界の炭素循環系の中で、長期的には炭素の排出・吸収量は同等であるというもの。

林野庁「地球温暖化防止森林吸収源10 カ年対策」を発表

林野庁が「地球温暖化防止森林吸収源10 カ年対策」を発表しています(2002年12月26日)
https://www.rinya.maff.go.jp/puresu/h14-12gatu/1226ondanka/1.pdf

「地球温暖化対策推進大綱」では、3.9%の森林の吸収量を確保することを目標としていますが、現状程度の水準で森林整備、木材供給、利用等が推移した場合、確保できる吸収量は3.9%を大幅に下回るおそれがあること、2003年から2012年までの10年間において、地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策を展開することが位置づけられています。

「10ヵ年対策」は、この「地球温暖化対策推進大綱」に基づいて、2003年から2012年までの10カ年にわたり、森林整備、木材供給、木材の有効利用等の取組をすすめ、森林による3.9%の吸収量を目指したものです。「10ヵ年対策」の目標としては以下の4つが掲げられています。

1. 健全な森林の整備

  多様で健全な森林整備を展開する。

2. 保安林等の適切な管理・保全等の推進
  水源涵養など保安林の目的機能を維持するための管理・保全を推進する。

3. 木材及び木質バイオマス利用の推進
  地域材の利用、残材の木質バイオマス利用を推進する。

4. 国民参加の森林づくり等の推進
  国民の直接参加による森林の整備・保全活動や森林環境教育を推進する。

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