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国際協力銀行(JBIC)は、サンロケダム事業の社会・環境問題の状況をチェックするため、年に2回、JBICのモニタリング担当チームをフィリピンへ派遣しています。10月初め、JBICの委託する独立環境コンサルタント1名を含む、計5名の派遣団が約1週間、フィリピンを訪問。10月5、6日の2日間は、サンロケダムのある地元を訪れました。そして、そのうち6日の夕方には、地元の住民グループと会合を持つ機会がありました。
会合には、ダムの建設により影響を受けた約150名の農民や砂金採取者が参加。現在、村は水稲の収穫期で、朝早くから収穫を始める農民にとって、会合の開かれた夕方は非常に疲れている時間でもあります。それにもかかわらず、7台の車をチャーターし、約1時間かけて、JBICとの会合場所であるサンロケダムの敷地内まで出向きました。
住民グループは、ダムの建設によって影響を受けた土地、また、失った生活の糧に対する早急かつ適切な補償などを求めるレターを、この日、JBICに手渡すために用意。彼らの抱える問題や要求に対する回答をJBICに求めました。また、会合中には、住民が直接、自分達の懸念を伝え、JBICの責任を追求する場面もありました。
――「親の代からここで砂金採取をしてきた。砂金採取ができた頃は、子供を楽に学校に行かせることができたが、ダムの建設後、砂金採取ができなくなり、生活が貧しくなった。この砂金採取に対する適切な補償をちゃんともらいたい。融資を出しているのだから、JBICもちゃんと責任を取るべきだ。」
――「昔、砂金採取をしていたが、現在は農業しかできない。でも、その農地も8月末の洪水で一部が侵食されてしまった。JBICは何ができるのか。自分は砂金採取ができるのであれば、またやりたい。」
こうした住民の生の声は、この日、住民が約1時間もかけて会場に来なければ、JBICは聞くことはなかったでしょう。
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<住民グループ サンロケダム敷地の入口に到着> JBICとの会合のため、約150名の住民が車7台をチャーターし、約1時間かけて、サンロケダムの敷地まで来た。(2004年10月 FoE Japan撮影)
<ダム敷地の入口で荷物検査を受ける住民ら> 入口ではガードマンによる荷物検査が住民約150名に対し、一人ずつ行なわれた。(2004年10月 FoE Japan撮影) |
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