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地元の教会・農民関係者からの決議文 (2004.09.18) |
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2004年9月18日
「サンロケ多目的ダム(SRMDP)の操業の中止および撤去を求める決議文」
サンロケ多目的ダムの建設および操業は、サン・ニコラス町、サン・マニュエル町、イトゴン町、またその他の町において、幅広く、かつ、大規模な物理的・経済的混乱を引き起こしてきた。
・ ダム建設、また、その貯水池のため、およそ5,000ヘクタールにもおよぶ肥沃な土地が、農民の手から強奪されてしまった。
・ 741家族が彼らの家、また、地域社会の安全性を奪われ、259,000人がこれまでに、また、将来にわたり、彼らの生計手段を喪失。さらに、アグノ川統合灌漑計画(ARIIP)やポポント集水池およびバヤムバンのショートカット水路など、サンロケダムの建設に関連した事業が敢行されれば、より多くの人が家や生計手段を失うことになるだろう。これらの事業は、ポポント低湿地帯やマンガブルといった何千ヘクタールもの肥沃な土地と滋養分の多い環境を破壊するだろう。バヤムバンの10の村、また、バウティスタの2つの村、タルラックの12の村にサンロケダムからの水の70%が分水されれば、それらの地域は洪水の下に沈むことになる。土砂堆積・堆砂が水とともに確実にその地域に入り込み、農業に合わない土壌にしてしまうことだろう。
サンロケダムのため、人々は大洪水を受けやすくなった。サンロケダムは、最近、パンガシナン州およびその他の近隣の州で起きた破壊的な洪水の原因でもある。豪雨と台風の間、ダムは貯水池に入り込んでくる大量の水を貯水するが、もし、それ以上、水を維持することができないレベルに達すると、その大量の貯めた水を放水することになる。したがって、パンガシナン州の低地部に突発的に大規模な洪水をもたらすことになるのである。まさに最近の洪水では、台風は並みの大きさであったにもかかわらず、パンガシナン州の44町のうち42の町と4つの都市が洪水に見舞われた。3億3,800万ペソにあたる穀物、漁業、インフラストラクチャー、その他の資産などが破壊された。これはダムの放水のために起きたのである。
サンロケダムの操業が続けられているため、住民の生活、生計手段、安全、また、権利も絶えず脅威にさらされ続けている。サンロケダムの存在は、インフラストラクチャー、家屋、農作物、土地、漁業、資産、共同灌漑施設、家畜、生計手段などが不変かつ半永久的に破壊されることを意味する。サンロケダムが建設されて以降、これまでパンガシナン州の人々が経験してきた洪水とは異なり、より広範囲にわたる、また、より悪い結果をもたらす洪水が、パンガシナン州を襲うようになっている。サンロケダムの操業により、食糧安全保障・土地・安心感といった基本的人権、および、立ちはだかる危険から解放された生活を送る権利が奪われてしまったのである。
半永久的に続く大規模な環境・生態系の破壊はサンロケダムの、そして、その操業の影響である。
・ 1999、2000、2001年にサン・マニュエルを襲った鉄砲水は、ダムの建設資材を賄うために行なわれた採石作業が招いた直接的な結果である。
・ 対照的に、アグノ川が農地を灌漑するための唯一の水源となる乾季には、ダムが川に放水する量を管理するため、水田は乾き、不毛の土地となってしまう。というのも、ダムは、ダム自身の目的のために水を貯めるため、人々の水を奪ってしまい、地域社会の水資源に関わる権利を侵害する。川での採石作業によって、地下水のレベルが下がってしまったため、浅い井戸でさえ枯れてしまう。
・ 上流の広範囲にわたり土砂が堆積していき、土砂堆積および洪水の逆流もアグノ川の上流やアグノ川の支流にある地域社会を脅威にさらす。
・ 至るところで起こっている土砂侵食や土砂崩れは、ダムが放水する度に水量が増加するため、アグノ川沿いの土地を脅かしている。これらの土地のほとんどは、農地、もしくは、居住地域である。最近、台風が来た際には、アグノ川の土手で土砂侵食が増え、悪化するケースが見られるところがあった。
・ ダムの貯水池に貯められた水とともに、天然の栄養分もそこに堰き止められる結果となり、低地部の平野では土壌に含まれる栄養分の量が減少するだろう。そのため、農民は、減少する川からの栄養分を増加させるため、より多くの化学肥料を利用しなくてはならなくなる。
ダムの構造物本体から、分水路を含むダムのサイトの近くにかけては、3つの断層(Digdig、San Manuel、San Jose)があり、パンガシナン州、および、近隣の州の住民の生活を絶えず脅威にさらすことになる。断層Digdigは、サンロケダムと貯水池の位置するルソン島北部に甚大な損害をもたらした破壊的な地震を1990年に引き起こした。この他に、貯められた水の圧力が、上述した3つの断層が動く原因になりうるという、貯水池による誘発地震の恐れもある。地震が起これば、水がダムから溢れ出し、さらに悪いことには、ダムの侵食や破損が少しずつ進むことにもなりかねない。
サンロケダムは、これまで、競争価格で電気を提供することは一切なく、その代わりに電気料金の増加をもたらした。フィリピン電力公社(NPC/NAPOCOR)の契約によれば、NPCは、サンロケダムの発電コストとは別に、SRPCに対し、毎月固定の設備容量費および操業費1,000万米ドルを支払わなくてはならない。NPCが現在の破綻状況のなかで、この額を賄うには、電力消費者からの収入に頼る他、財源はない。サンロケダムは、フィリピン国民の更なる負担になるのである。
サンロケダムは、フィリピンをよりひどい債務状況に追い込む。フィリピン政府は、SRPCの融資の保証人となっている。フィリピン経済の現状から、負債が増えれば増えるほど、その負債の返済に充てられる割合も大きくなる。つまり、社会サービスへの予算割当てがより小さくなっていくのである。それに加え、バヤムバンのショートカット水路およびポポント集水池の建設事業への融資、また、これから出されることが予測されているサンロケダムの灌漑部門への融資は、そうした事業が影響住民に破壊的な状況をもたらすのみではなく、社会サービス予算の削減や税金を通じて、影響を受けるまさにその住民に、その融資の返済を迫ることになるのである。その一方で、大企業、関連銀行、汚職にまみれた政府の役人、そして、その同列に組する人々は、ダムの操業や上述の事業によって、あり余るほどの利益・恩恵を受けるのである。
したがって、サンロケダムの操業中止および撤去とアグノ川のリハビリテーションを要求することが、唯一の適切かつ正当な要求である。同事業はすでに広範囲にわたって、住民の生計手段、環境、生活に損害を与えてきた。そして、操業が続けられれば、確実にさらに多くの損害がもたらされるだろう。ダムの操業中止と撤去以外に、これらの問題に対する回答はないだろう。
決議が求められていたため、オルダネータ・シティーのここACTSにて2004年9月18日、サンロケダムの操業中止と撤去を要求する決議文がパンガシナン教会・農民会議(CPC-Pangasinan)により決議された。
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