森が守る環境

森林保全2024.7.17

森林は、地球温暖化の抑制や生物多様性の保存、水資源の浄化と確保、洪水など自然災害の抑制、林産物の供給など多岐にわたった重要な役割を果たしています。また、世界の各地域によって異なる森林、自然環境が生物の多様性や文化の多様性を生み出しています。

森林は私たち人類だけでなく、地球上に生きるすべての生きものにとって大切なものです。

森の減少・劣化、なぜ?

世界の森林面積は約39億万haであり(2005年)、1990年から2000年の10年間に年間887万haも減少しました。特に生物多様性に富んだ熱帯地域の天然林は年間1420万haという急激な減少にさらされています。

  
森林減少・劣化の86%が、木材や紙パルプとしての伐採、大豆など穀物やパームプランテーション・牧畜用地への農地転換、木材生産用人工林への転換、燃料のための伐採、など私たち人間の活動に起因しています。

アマゾン、東南アジア、アフリカの熱帯林のみならず、最近ではロシアの北方林も急速に劣化しています。 日本は、木材需要の8割を海外から輸入しており、中国やアメリカ、EUと並ぶ世界屈指の木材輸入国。生産国の森林に大きな影響力を有しています。

一方で国内には、木材総需要に匹敵する生長量を持つ広大な人工林がありますが、1960年代に行われた木材輸入の自由化により、輸入材に押されて国内林業はすっかり衰弱。適切に管理されないまま放置され荒廃する森林が全国に広がっています。

森を守るしくみを

私たちの肥大化、合理化したライフスタイル、不均衡な経済構造によって与えている森林や山村社会への影響を見直さない限り、世界の森林の減少・劣化は止まりません。

森林の減少・劣化を問題視するだけでなく、森林減少・劣化を引き起こしている私たちの社会のあり方、それ自体を変革していくべきではないでしょうか。FoE Japanでは、森林問題を単に自然保護の観点ではなく、経済・社会構造から起こる問題としてとらえ、解決策を提示していきます。

用語解説

減少・劣化 ・・・減少は、森林として区分された面積が小さくなること。劣化は、森林の性質・属性(保水機能、生物の多様性、構成樹種や樹齢の多様性など)が低下すること。

人工林 ・・・特定用途(木材・紙パルプなど)のために有用な樹種を植林した森林。構成樹種・樹齢・生息生物の多様性は天然林に比べて著しく小さくなりやすい。植栽、下刈り、間伐などを通じて人間が手を加えないと荒廃することが多い。

北方林 ・・・ロシア、北欧、北米等の高緯度に広がる針葉樹林帯。タイガともいう。

 

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