タイガの中でも、とくに高緯度地方にあるタイガは"永久凍土"(Permafrost)と呼ばれる凍った土壌の上に生育している。永久凍土は、強力な温室効果ガスとして働くメタンガスを閉じ込めており、「地球温暖化爆弾」などと言われているが、永久凍土上の森林が破壊されると直射日光が永久凍土を溶かし、大気中に大量のメタンガスが放出され、地球温暖化を進行させる要因となる。
永久凍土と森林の関係、永久凍土が地域の、また地球の環境に果たしている役割―については未だに解明されていないことが多いのですが、次ページの囲みにもありますように永久凍土の融解が地球規模での気候変動を加速していくサイクルが回りだす可能性も大きく、凍土の保全に国際的な監視の目を向けていく必要があります。
以上、4つの視点から、タイガの重要性を概観しました。
最後に、かなり学術的な表現が多いですが、1993年に出版された『ソ連の森林資源』という本に旧ソ連/ロシアの森林の重要性が述べられていますので、参考までに紹介しておきます。
「ソ連の森林の世界的意義は大きい。その意義は幾つかの一連の要素によって規定される。何よりもそれはユーラシア大陸の生物界の創出と維持に対して果たす、ソ連の森林の地球的規模の役割によって性格づけられる。ユーラシア大陸では本質的に、自然の変遷の安定を保証するほどの、それだけのスケールをもった他の自然の形成体はない。様々な自然環境における自然の変遷に対する影響という点で、ソ連の森林に類似するものは全世界のいかなる国にも存在しない。森林は、ソ連の全領域において自然の変遷を和らげ、生物界の全面的な自然の推移に対して緩衝的効果を与える。自然の変遷に対するソ連の森林の安定的効果は、ソ連の領域はもちろんその外部に対しても機能する。
ソ連の森林面積は地球の総森林面積のほぼ20%に当たる。(略)ソ連を除けば、世界で最も森林資源に富んでいる国は、カナダとアメリカ合衆国である。しかし両者を合わせても、その森林面積はソ連のそれよりも小さい。」
←戻る 次へ→