「ソ連の林業は、森林資源を"採掘" 事業のごとくに扱っている」
(米国シアトルパシフィック大のキャスリーン・ブラーデン準教授、1991年)
「ここ10年間の急激な情勢変化は林業の経営システムを変え、森林保護への支出を減少させ、森林資源をコントロールする条件を悪化させた。自然保護局によると、ロシア全体では、5,000万立方メートルの針葉樹丸太が道路端で腐るにまかされ、3,000万立方メートルの工場廃材が燃やされたり地中に埋められたりしている。平均、1ha辺り20立方メートルの木材が無駄になっている。しかし、極東とシベリアでの状況はさらに悪い。ハバロフスク地方では60立方メートルを無駄にしている企業もある。」
(「ロシア極東林業の実態と対日輸出 − 国内需要の減退で強まる輸出依存」1997年)
「いま沿海地方やハバロフスク地方で伐採事業を行っている会社のほとんどが、課税対策として伐採量を実際の1/2程度に過小申告しています。たとえば、申告された伐採量が100万立方メートルであった年は、実際に売られた木材の量はその倍の200万立方メートルほどあったと考えられます。そしてご承知のようにこの地方の伐採現場では、伐られた木の50%前後が放置されていますから、この場合、実際に現場で伐り倒された木の量は400万立方メートルに達していてもおかしくはない」(沿海地方の森林専門家、1998年)
「−とくに伐採企業の数が急激に増加した。しかし公式統計によると極東での伐採量の75〜80%は旧来どおりレスプロムホーズで行なわれることになっている。これはきわめて疑わしい。なぜなら新規参入者は税金対策などのために、正確な実績を発表したがらないからである」
(「ロシア極東林業の実態と対日輸出 − 国内需要の減退で強まる輸出依存」1997年)
統計上は一見無尽蔵の森林があるように見えるロシアで、ここ数十年間の間に、森林破壊が起っています。
破壊や問題が起こるのは、統計の上ではなく現場であり、現場で問題が起こる理由はロシアという国の様々な条件や制度、現状にあります。それらの部分に目が向けられない限り−都合の良い数字にだけ目が向けられている限り−"ロシアの森林は無限"
という神話はこの先も生き続けるのでしょう。
何がタイガの破壊を起こすのでしょうか?
何が問題なのでしょうか?
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